Lest Darkness Fall:
Rome in Crisis
#234 February 2006

Lest Darkness Fall : ローマ帝国の危機

235〜285年の半世紀、ローマ帝国は「五里夢中」と形容するにふさわしい危機をくぐりぬけた。各地の軍隊は自軍の司令官を「皇帝」に推戴して政争を繰り広げ、半世紀の間に26人の皇帝が乱立した。ゲルマン人とペルシャ人は大規模な侵攻作戦をローマ帝国に挑み、この非常事態に対し、ローマ帝国は共和政の伝統だけを残し、古い時代のシステムを形の上で温存することで帝国を維持しようとした。

付録ゲーム「Lest Darkness Fall」は、1ターン10年、1ヘックス162kmの戦略級ゲームで、プレイヤーはローマ帝国と、ゲルマン人・ペルシア人・パルミュラ人およびローマ帝国内の反乱軍とに分かれて戦う。ローマ帝国側は、ゲームの終わりまで版図が縮小しなければ勝ち。


東部戦線の双方の兵力バランス
付属の表の通り(本誌P55〜60の表を参照)、第二次大戦中、ソビエト軍の兵力は、どのような観点からもドイツ軍のそれを凌駕していたとは言えない。実際のところ、付属の表の兵力数については、錬度や火器コントロールにおいて優れていたドイツ軍の方が、戦力数がソビエト軍と同じであるなら、いちじるしく優勢であったと解釈されなければならない。ソビエト軍が勝利できた理由は次の点に要約できる。

戦略的集中
ソビエト軍は戦車部隊や砲兵師団の戦略的リザーブを持っていた。これらの予備ユニットは、前線の決定的な地域に投入することができた。それに対しドイツ軍は、ほとんどの機械化部隊を前線に配置し、それらは戦闘が始まると消耗するだけだった。東部戦線におけるドイツ軍の予備ユニットの数は、せいぜい数個師団しかなかったのである。緊急の場合、必要な部隊は他の戦線から引き抜かれたが、それも連合軍が1943年にイタリア、1944年にフランスに上陸すると不可能になった。

(記事では、他に「奇襲と欺瞞」「縦深作戦」をソビエト軍勝利の原因として分析しています。)

For Your Information

第二次大戦におけるスイス
スイスは1674年から国際紛争において中立を保ってきたが、その中立の基礎はスイス国内の兵役制度と十分な数の予備役、そして険しい地形にあり、それでも中立の維持に十分とは言えなかった。

1938年、ドイツがオーストリアを併合すると、スイス議会は国民に「最後の血の一滴まで搾り出し」国防に備えるよう公式に声明した。そして、1939年8月30日、スイス議会はHenri Guisanを将軍に任命したが、この地位は戦争状態もしくは国家的危機の場合にしか任命されないポジションだった。

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プリンツ・オイゲン公: 啓蒙の時代の武将

1663年10月18日、パリで生まれたサヴォイア・カリニャーノ公子オイゲン・フランツは、サヴォイア家の血筋を引くフランス貴族であり、生涯を通じて優れた軍歴を残した。
若い頃から軍人志望だったオイゲン公は、自分の母親のもとをしばしば訪ねていた太陽王ルイ14世にフランス軍の士官となることを申し出たが(一説には、オイゲン公の母はルイ14世の愛人だったと言われる)、「この私に対し、まるで怒ったハイタカのように、そのような横柄な発言をした者はいない。」とルイ14世は一蹴したのであった。
1683年、オイゲン公は、ハプスブルク家のレオポルト1世に仕え、オーストリア軍の将校となり、生涯、フランスと敵対することになる。

1943-44年の空軍戦: Luftwaffe対RAF

第二次大戦中のもっとも大きなキャンペーンのひとつは、イギリス空軍による第三帝国への戦略爆撃である。

一般的に、RAF (Royal Air Force) のドイツ本土への夜間爆撃は心理的効果以上の成果はなかったとされるが、実際には驚くべき軍事先端技術が投入されていた。そしてドイツもイギリス空軍の夜間爆撃に対し、最新の科学技術で対抗していた。

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SEALOADS


「SEALOADS」とは、South-east、Asia Lake、Ocean、River and Delta Strategyのそれぞれの頭文字から成る作戦名である。Elmo Zumwalt提督が実施したこの作戦は、メコンデルタを制圧するための、海軍、河川哨戒艇、陸軍、空軍による兵科総合作戦であり、数々の成功をおさめている。

S&T#245に収録予定の本ゲームのマップは、サイゴン南からメコンデルタ、カンボジア国境までをカバーし、河川、運河、湾岸都市などが主な地形である。地上ユニットには歩兵大隊の他にSEAL、ARVN海兵隊、レンジャーなどが付属、空中騎兵隊、B-52ユニットも含まれる。共産軍側のゲリラマーカーは裏面を上にしてマップに配置し、それらは待ち伏せ地点、武器貯蔵庫、民間人であったりする。

戦闘は、作戦級インパルスシステムを採用、プレイヤーはコマンドポイントを消費しながら移動を行う。敵ユニットと遭遇したら戦闘が開始される。戦闘開始に先立ち、双方のユニットの情報力が比較され、ダイスを振った後により高い情報力を持つユニットのプレイヤーが、先制攻撃を仕掛けるか、撤退するかを決める。戦闘は同時に解決されないので、先制攻撃を行う側が優位に立つことができる。

攻撃側プレイヤーはさらにコマンドポイントを消費して攻撃を継続するオプションが与えられる。プレイヤーは攻撃を仕掛けてさっさと川を下る「ヒットアンドラン」戦法を用いることができる。しばしば、より卓越したリーダーシップを持つ側が、数に優る敵ユニットに勝つことができる。

勝利条件は、撃破した敵ユニットの数、補給物資、戦略目標の占拠などの勝利ポイント制である。ゲームには、1966年、テト攻勢、1969-70年の三つのシナリオが付属する。

デザイナー: Joseph Miranda

過去のS&T

50号前#184
Tsilight's Last Gleaming

S&T30周年を記念して、Dave IsbyとAl Nofiがウォーゲームの考察の記事。1812年の戦争をCharles Diamond。Tim Kuttaがドイツ空軍のKG200について。Joseph Mirandaが東部戦線、David D'Alessioが中国空軍。

150号前#134
Anzio Beachhead

1944年のイタリア上陸作戦をVance on Borries。Danny Parkerが彼のお気に入りのテーマ、バルジ作戦。Jim Bloomが未来戦争。

150号前#84
Operation Granade

Joe BalkoskiとRed Simonsenが1945年のパットンのラインランド侵攻をゲーム化。Al Nofiがトラファルガー海戦。

200号前#34
Armageddon

Stephen B. Patrickが古代エジプト、バビロン、ホメロス・ギリシャの戦術級シュミレーション。Al Nofiがアメリカ独立戦争。Rod WalkerがDiplomacyの記事を続行。

 

S&T 予告

S&T#235の付録ゲームは、Cold War Battles。1956年ブタペストと1987年アンゴラの戦い。
その他、紀元前一世紀のローマ帝国の内乱鎮圧、ベトナムにおけるオーストラリア陸軍、Rocroiの戦い、の記事を予定。


 

予定ゲーム

#236 They Died with Their Boots On, vol.1: 1775〜76年のケベックの戦い
#237 No Prisoners!: 1915〜18年のアラビアのロレンス
#238 Marlborough: スペイン継承戦争
#239 Operation Winged Horse: 1965-66年のベトナム戦争キャンペーン
#240 1066: バイキングのイギリス侵略を戦略的視点から
#241 Twilight of the Ottomans: 第一次大戦前後の中東
#242 They Died with Their boots On 2: パーシング将軍

#243 SEALOADS: メコンデルタの河川作戦
#244 Drive on Moscow: ドイツ中央軍団が南でなくモスクワを目指す
#245 Triple Alliance War: ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイの戦争
#246 Manla '45: 太平洋のスターリングラード
#247 Holy Roman Empire: 16世紀初頭
#248 First Blood Mane: 1918年の第一次大戦、作戦級。
#249 Forgotten Napoleonic Battles: あまり知られていない二つの戦闘をJoseph Miranda

#250 Cold War Battles 2
#251 Cobra: SPI/TSRの更新版。D-Day後のノルマンディ。
#252 War in Far West: ミシシッピにおける南北戦争
#253 Kursk: Ty Bomba
#254 Great Medival Battle 2
#255 Battle over Britain: WWI: 複葉機、ツェッペリン、気球、その他たくさん!
#256 Sun Never Sets 2: アメリカ植民地時代のキャンペーン

#235〜242は確定。
#243〜249は、2006年に開発を終え、レイアウトなどに入る予定。
#250〜256は、様々な開発状態。