China - Burma - India:
1941 - 1945
#227 March 2005

CBI: 1941〜45年の東南アジアの戦争

1942年2月15日のシンガポール陥落は枢軸軍側にとって最大の勝利のひとつであっただけでなく、イギリス軍史においての最大の降伏でもあった。
実際のところ、シンガポール陥落は、第二次大戦においてだけでなく、植民地国に対する西欧諸国の優位という神話が崩壊したという点で、世界史におけるターニングポイントでもあった。

1930年代、ロンドンは既に太平洋周辺における日本軍の攻勢を予想していたが、状況はイギリスにとって有利と考えられていた。インドシナを植民地化していた同盟国フランス、西太平洋を制圧していたオランダとアメリカによって、地勢的にシンガポールは守られていた。そして、シンガポールの背後には、インドに駐留するイギリス軍が存在し、有事の場合、イギリス海軍はペルシャ湾ないしスエズ運河から急行することができると考えられていた。

1939年、ヨーロッパで始まった第二次大戦が東南アジアの政治状況を大きく変えた。ドイツ軍があっというまにポーランド、デンマーク、ノルウエー、オランダ、ベルギー、フランスを占領したため、インドシナ、スマトラは宗主国によるコントロールを失った。イギリス海軍は、大西洋と地中海でドイツ・イタリア海軍との海戦に釘付けとなり、スエズ運河が通行不能になると、イギリス海軍はインド洋に出るためには南アフリカを迂回しなければならなくなった。
1940年、ビシー政権のフランス領インドシナに日本軍が進駐すると、シンガポールは、日本の脅威に直接脅かされることになった。

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フライングタイガー

1937年、中国本土に侵攻した日本軍は、湾岸部をすばやく制圧した。そして、中国全土の上空は日本軍の天下だった。中国側に有効な空軍も対空砲も実質上存在しない中、日本軍は勝手気ままに内陸部の軍事目標や都市を空襲することができた。
中国人は満月を「爆撃の月」と呼び、日本人パイロットはその優位を誇示するかのように、空襲の直前に即興の空中ショーさえ行う事があった。その日本軍に立ち向かったのが、アメリカ陸軍の退役軍人Claire Chennault大尉の率いるアメリカ義勇空軍(AVG)だった。

日本海軍陸戦隊
海軍陸戦隊は、1932年の上海事変、1941年のウェイク・グァム島攻略で攻撃の先鋒をつとめ、その後のタワラ、サイパン島で激しい防衛を行った。
付録ゲーム
Vinger Joe's War: CBI Theater

1941〜45年までの東南アジアにおける日本軍とイギリス軍の戦いを16ターン(1年が4ターン)で描く。ユニットには、日英軍の陸上部隊の他、アメリカ、中国軍、現地のゲリラ、航空機、艦船も含まれる。
日英軍の戦い方の違いを表すため、双方が異なるCRTを用いる。補給と空軍力がキャンペーンの流れを決めるという。

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「Last Darkness Fall: Rome in Crisis, A.D. 235 - 285」が進行中

ローマ帝国が混乱の極みにあった3世紀の軍人皇帝時代を描くゲーム。
235年〜285年の間、70人の軍人出身の皇帝が各地に次々と擁立され、彼らは殺されたり、戦死している。不安定な内政は、辺境の防備を手薄にし、蛮族の侵入の激化をもたらした。

大きめのヘックスを使用したマップはライン川、ドナウ川までのヨーロッパと中東を含む帝国周辺を描き、ローマ帝国プレイヤーは、パルティア王国やゲルマン人の侵入と戦う。
ゲームシークエンスはシンプルで、一日でプレイできるようデザインしている。各プレイヤーは、移動、攻撃、要塞化、裏切り、イベント・チット、などを順番に行う。 1ターン10年。
ローマ帝国プレイヤーは、パルティア王国の首都クテシフォンまで版図を広げることができる。これが実現されていたなら、ローマ帝国の衰退は30〜50年遅らせることができたかもしれない。

ゲームは、S&T#234で発売予定。Ty BombaとJoseph Mirandaの共同制作。

過去のS&T
50号前#177
「百年戦争」

Joseph Mirandaによる英仏百年戦争。イギリスの長弓、フランスのジャンヌダルクが登場し、疫病ルールもある。Tim Kuttaの軍事ハイテクトレンド、George Nafzigerの独立戦争の記事など。

100号前#127
「US War with Mexico」

Raymond Speerによってデザインされたゲーム。S&Tがメキシコ戦争を付録にするのは、#63「Vera Cruz」以来だった。その他、「2nd Fleet」のJoe Balkoskiが記事を寄稿している。

150号前#77
「Paratroop!」

もはや古典となったCrete、Eban Emael、Arnhemの空挺作戦のミニゲーム。Jim Dunnigan、Hoe Perez、John Butterfield、Red Simonsenによってデザインされたこのゲームは、それぞれシステムが異なりながら、シンプルで効果的だった。Stephen B. Patrickの空挺作戦に関する記事や中世の戦争など。

 

S&T 予告

S&T#228の付録ゲームは、第一次大戦を扱った「The Old Contemptibles」。英国遠征隊のモンスの戦いを描く。「Back to Iraq 3」のバリアントも付属。
その他、同盟国の戦略、第三帝国の空軍防衛、スヴァーロフ将軍の普通でない経歴、などの記事を予定。そして、#229はモンゴル帝国の興隆を描く「Khan」