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「CBI」 DESIGNER’S NOTES

Joseph Miranda


付録ゲーム「CBI」のデザインの目的は、第二次大戦における最大のキャンペーンを一晩でプレイできるゲームにすることだった。マルチインパルスによるゲームシークエンスと補給物資の消耗が引き金となるイベントは、そのためのものである。長期の準備の後に、激しい戦闘が続くようになっている。

戦闘システム
日本軍と英国軍を同じ基準で比較することは難しい。編成と武装のスタイルが異なるからだ。日本軍は連隊ないし大隊級の歩兵から成るが、英国軍は、師団級の重砲を主力としている。ユニットに印刷された攻撃力はそれぞれの部隊のトータルの戦闘力だが、日本軍と連合軍とに異なるCRTを提供することで、両軍の攻撃方法の違いを表現している。

連合軍のCRTは、よりベーシックなものである。より大きな攻撃力であるほど、より少ない犠牲で敵を撃退できる。これは、師団級および非師団級の火砲を集中する結果によるものだ。一方、日本軍の場合、攻撃力を集中すればするほど敵を撃退するチャンスは増大するが、自軍の犠牲もまた大きくなる。これは、よりたくさんの歩兵を前線に投入するためだ(バンザイ攻撃のことである)。また、日本軍の場合、奇襲攻撃に頼る傾向があるので、中程度の戦力の場合がより連合軍にダメージを与えることができるようCRTはデザインされている。これにより、低い攻撃力でもサイコロの目によっては大きな戦果を日本軍は得ることができる。
二種類(以上)のCRTは、両軍の戦闘スタイルの違いを表している。日本軍は損害を覚悟で戦闘する傾向があったが、同じ状況において、連合軍は撤退する傾向があった。それゆえ、連合軍のCRTは日本軍より頻繁にDW(防御側撤退)やAW(攻撃側撤退)が戦闘結果として出るようデザインされている。日本軍プレイヤーは、連合軍を壊滅させるのではなく降伏させたり、退路を断ったりして戦果を上げる。

戦闘序列
すぐれた文献のおかげで、戦闘序列は容易に判明した。司令部ユニットの戦闘力は、非師団級砲兵、偵察およびその他のフォーメーションを表す。キャンペーン中、日本軍連合軍ともに、たくさんの独立した連隊を用いたが、ゲームでは平均的な編成しか表していない。なぜなら、連隊はしばしば師団に取り込まれたからだ。英国軍の独立連隊には砲兵がないので、日本軍の連隊より弱い傾向がある。日本軍の連隊には砲兵が編成されているのだ。

ランダムイベント
ルールを最小限にしながら、より多くの出来事を表現するためにランダムイベントを導入した。特に政治的状況を表現している。史実において、双方は異なるタイミングで主力を戦場から撤退させている。「撤退イベント」は、撤退のタイミングが事前にあまりに明白にならないためのものである。

空中戦
制空権を得るための空軍戦は、地上の戦闘と同じくらい重要なものだった。そこで空軍戦をどのように表現するかも大切な検討課題だった。歴史的には、中国のフライングタイガー、1943年のカルカッタの空軍戦、インパールやその後のキャンペーンにおける空軍による補給戦が重要である。キャンペーンにおいて、空軍基地をめぐる戦いが決定的だったので、地上補給の中に空襲を含めた。

補給
戦争では常に補給が勝敗の鍵をにぎる。補給ユニットを導入することで、補給路にわずらわされないゲームにした。必要な場所に補給ユニットを動かすだけでよいのだ。補給をどのように拡大するかは、戦略的判断の主要な部分を占める。補給ユニットを、攻勢のために用いるか、除去された地上および空軍ユニットの再建に使うか、前線の強化に使うかはプレイヤー次第である。終盤において、補給はゲームの流れを決定する。


PLAYERS’ NOTES 
Japanese Early War (1941-42)

  1. 目標
    日本軍は、戦略目標をシンガポールかラングーンかのいずれかに定めなければならない。ひとたび決定したらすべてをその目標のために集中する。目標を達成したら、より多くの戦果を得るために攻撃の主軸を変更する。
  2. 攻撃のテンポを維持する
    連合軍のユニットを撃退したなら、より増強された連合軍側の反撃が不可避的に発生する。ジャングルなどのラフな地形において、連合軍のユニットを分離することができる。
  3. 補給、補給、補給!
    強調しすぎることはないほど重要。それぞれのターンにおいて、司令部は活性化していなければならない。常にひとつ先のターンを予想して、できうる限りの対策を講じておくべきである。地上、空軍、海上を通じての補給体勢、ユニットの再建のための補給など。増援部隊の上陸のための前進基地として、バンコックの占拠は決定的な意味を持つ。
  4. 空軍力
    それぞれのターンにおいて、空軍力を使い切らないとするなら、空軍を無駄にしていると言える。空軍による近接支援は、地上戦のオッズを大きく変える。近接支援できる地上ユニットが少ない場合は、可能な限りの阻止空爆(インターディクション)を行い、連合軍の作戦を妨害するべきである。

Japanese Mid-War (1943-44)
日本軍は、戦線を維持するために地上部隊を配置し、可能ならインドに最後の攻勢をしかけるべきである。しかしながら、増大する連合軍の空軍力にも備えるべきであるし、自軍の減少する補給も考慮に入れなければならない。インドを攻撃しないのも良いアイデアだが、ランダムイベントによって強制的な攻勢(Mandatory Offensive)が強制される場合もある。

Japanese Late War (1945)
この時機の日本軍の補給はほとんど絶望的だが、連合軍の進行を遅らせ、重要都市を守ることは可能である。

Allies Early War (1941-42)
連合軍の部隊の戦力は弱く、空軍力も欠いている。それゆえ、Burmaを放棄しIndiaに戻るべきである。しかし、撤退が早すぎると、あまりに早く勝ちを譲ることになる。駆け引きが重要だ。日本軍のミスを最大限に利用しよう。たとえば、BurmaとMalayaに日本軍が兵力を二分するなら、限定された反撃で時間が稼げるかもしれない。モンスーンの期間を持ちこたえるなら、日本軍はRangoonに到達できないかもしれない。

Allies Mid-War (1943-44)
連合軍は、空軍力と補給を強化するべきである。補給ユニットを、地上および空軍ユニットの再建に使うか、反撃のために使用するか、迷うかもしれない。しかし、連合軍の地上部隊は依然として弱い。いくつかの特別部隊を、日本軍を分断するために使うことができるが、それを成功させるには重砲のある師団の支援が必要である。いつ反撃を行うかを決定しなければならない。早すぎると、反撃しても負けてしまう。遅すぎると、日本軍と戦っているうちに時間切れになってしまう。

Late War (1945)
この時には、連合軍は最終攻勢をかけるだけの兵力を持っているが、適切にセットアップしないと、MalayaとIndochinaにたどり着くことができない。