マールバラ公ジョン・チャーチルは、イギリスの歴史のみならず、「理性の時代」の主要な人物である。
彼が戦ったスペイン継承戦争は結局のところ何も解決しなかったが、マールバラ公は、火打ち式マスケット銃とソケット型銃剣を運用した最初の司令官であり、ナポレオン時代に全盛をきわめる横隊戦術のパイオニアだった。ナポレオンと異なり、マールバラ公は一度も戦争に敗れたことはなかった。
付録ゲーム「Marlborough's Battles」
Richard H. Bergデザインによる「Marlborough's Battles」は、中程度の難易度のゲームである。1へクス約200mで、歩兵ユニットは2,000〜3,000名、騎兵は600騎、砲兵ユニットは12〜18門をあらわしている。戦闘ルールは、火打ち式マスケット銃とソケット型銃剣で武装した歩兵を表現する。
マールバラ公の時代、歩兵が戦場の華だった。マスケット銃は歩兵の攻撃力を高め、銃剣は敵の騎兵に有効だった。
マスケット銃を持つ歩兵によって、三十年戦争時代の槍による密集隊形は廃れ、やがて槍そのものが使われなくなった。密集陣形の代わりに主流になったのは、横列陣形だった。マスケット銃の威力を最大限に発揮できたからである。
この時代、大砲は移動が困難だったので、戦場における決定的な戦力ではなかった。ナポレオン時代の師団級、軍団級のフォーメーションはなく、最大の部隊単位が連隊か旅団だった。これを再現するために、ゲームでは指揮単位をひとつずつ活性化するシステムを採用した。
ゲームターンが時間を現していないことも、このゲームのユニークな点である。マールバラ公の時代の戦争はしばしば均衡状態になって双方の動きが止まったという事実を反映するため、1ターンは軍の活動量を表している。
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