第二次大戦
第二次大戦が終わった時、世界でもっとも強力な海軍を有する国はアメリカとイギリスだった。太平洋では連合軍の空母と潜水艦が、大西洋では空母と対潜水艦作戦が連合国に勝利をもたらした。ソビエト海軍が両国海軍の覇権に挑むのは、冷戦時代になってからである。
第二次大戦は航空母艦が最強であることを証明した戦争だった。戦争の流れを決定付けたもうひとつのタイプの艦船は潜水艦だった。大西洋ではドイツU-ボートが連合軍側の輸送船を荒らし、太平洋ではアメリカ軍の潜水艦が日本軍の海上補給を壊滅させた。
戦後の軍事ドクトリン
第二次大戦中に実証された空母と潜水艦の優位性は、冷戦時代になって、航空母艦と潜水艦のどちらが優れているかという議論を生んだ。すなわち、航空母艦の長大な攻撃力は他のすべての艦船の攻撃力に優るという「空母優位派」と、原子爆弾が水上のすべてを破壊するのだから、海底に隠れる潜水艦が最も優れているという「潜水艦優位派」とが生まれた。
米ソが軍事ドクトリンを開発する際、この航空母艦と潜水艦の議論に、それぞれの戦略的展望が反映された。アメリカは、自国ならびに同盟国の海上通商と交通を守る必要性から世界最大の海軍をつくり、戦力の中心は航空母艦となった。
ヨーロッパ、中東、中国と地続きであり、自給自足が可能であり、地上軍が中心であるソビエトは、敵対国の海上支配を阻害すればよいのだから、潜水艦中心の艦隊を創った。西側諸国と対等に交戦できない他の国、たとえば中国も潜水艦優位のドクトリンを採用した。
航空母艦の防衛戦術
アメリカ海軍の空母の防衛戦術は護衛艦による縦深を持つ。典型的な空母機動部隊は、1隻の空母、1〜2隻のAGEIS艦、4〜6隻の巡洋艦、あるいは駆逐艦、フリゲート艦から成る。それと別に1〜2隻の補給艦が随行する。
護衛艦は、それぞれの戦闘システムが最大の効果を発揮する距離を保つ。機動部隊のディフェンスは、外郭ゾーン、中郭ゾーン、内郭ゾーンに分かれる。
The
Outer Zone
最初のディフェンスラインは、機動部隊の中心から100海里のゾーンであり、哨戒機および戦闘機による戦闘空中哨戒(Combat Air
Patrol)である。E-C2Hawkeyeは200海里離れた敵艦および400海里離れた敵機を発見でき、収集した敵の情報はNTDSデータリンクで機動部隊に送信される。機動部隊は空母からAMRAAM
(advanced medium-range air-to-air misslie)、JDAM (joint direct attack
munition)搭載のA/F18、F-35を発進、発見した敵艦隊を叩く。攻撃は、敵艦が攻撃ミサイルを発射する前であることを目的とする。
The Middle Zone
機動部隊から6〜100海里のゾーン。AEGIS艦およびSAM搭載の駆逐艦が防衛する。航空機と艦船から発信する妨害・欺瞞電波によって敵の火器統制レーダーとミサイルの誘導システムを無効にする。
The Inner Zone
護衛艦によって張られた内部スクリーン、および空母である。これらの艦船は通常、完全な電子的静謐状態を作る。ESM (Electronic
Support Measures、電子支援手段)およびパッシブセンサーによって敵脅威を察知するが、司令官が静謐状態が有効でない、と判断した時、アクティブな電子戦がはじまる。
護衛艦は、Sea Sparrow (米)、Sea Wolf (英) などの短距離SAM、多重目的艦載5inch、4.5inch砲で防衛する。第二の方法として、チャフ散布と欺瞞ジャミングで偽の目標を作り、敵ミサイルを誘導する。これらが役に立たない時、SR-BOC
(米)、Sea Gna t(英) による短距離チャフ散布と航路変更を行う。それでも進入してきた脅威には20-mm Pharanx、30-mm
Goalkeeperオートキャノン砲が最後の防衛を行う。 |