Sniper!(SPI)

ビニールの兵士から紙の兵士に


"(SPI) Sniper!"までの歩兵戦ゲーム
アバロンヒルがウォーゲーム出版をはじめるまで、ウォーゲームとは、軍隊の兵棋演習か、模型を使って対戦するアクチュアル・ウォーゲームを指していました。1972年のホビージャパンの「ウォーゲーム特集」も1/76の模型を使うゲームでした。

「1ユニット1人のウォーゲーム」という発想自体、SPIがSniper!を発売する以前から珍しいものではなく、"Move Out (1971, ADA)"、"PBI (1972, Third Millennia)"は、紙のマップとユニットを使う1ユニット1人のウォーゲームです。いずれも狭い時代の範囲と戦場を扱う自費出版ゲームであり、印刷は粗末で、ルールもアマチュアじみたものだったと思われます。

Sniper!の底本
(SPI)Sniper!の底本は二冊あると言われ、それは"Modern War in Minature (1966、Michael F. Korns)"と"Combat in Cities Report (1972、United States Army Infantry School, Fort Benning)"です。
"Modern War in Minature"は、弾薬を一発ずつ規定する戦術級ロールプレイングで、移動はきわめて単純化されていました。対戦するにはゲームマスターが必要で、彼が神となって、あらゆることを決めるルールでした。

ジム・ダニガンは、(SPI)Sniper!の発想について「それは突然来た。すべてはいっぺんに思い浮かんだ。何年も前から考えていたが、さまざまな問題 - 特にゲームスケールに対する時間とモーションの問題が解決しなかった。ところが、突如思いついたんだ。」と語っています。

雑誌「Moves」によれば、"Modern War in Minature"と"Sniper!"との類似点は基本戦闘結果表と白兵戦ルールなどにみられるだけであり、ダニガンの独創性が否定されるものではありません。事実、ダニガンは戦術級ゲーム"Tac 3(1970)"の製作過程で、1人1ユニットのスケールから分隊レベルまでのルールを検討していました。

"Tac 3"は最終的に小隊- 中隊レベルのゲームになり、後にアバロンヒルから"PanzerBlitz"として発売されたわけですが、"PanzerBlitz"が成功しても、ダニガン、アバロンヒルともに、1人1ユニットのゲームに需要があるとは考えていなかったわけです。

ガンファイト・OK牧場
ダニガンが"Sniper!"をデベロップした直接のきっかけは、1972年に外部のデザイナーがSPIに送った"ガンファイト・OK牧場"と言われています。その頃、SPIは外部デザイナーのゲームを発売しないと決めたばかりでした。"ガンファイト"に触発されたダニガンは、1人1ユニットのゲーム製作をはじめたのです("ガンファイト"は製品化されなかった)。

このように見るならば、(SPI)Sniper!の革新性は、1人1ユニットのゲームであったことよりも、ダニガンが考案した戦闘システムに負うところが大きいと言えます。

Sniper!のゲームコンポーネントも当時の基準ではデラックスなものでした。タイポグラフィーを生かしたサイモンセンのパッケージデザインは、このゲームが特別なものであると予感させるのに十分なものでした。

ゲーム
(SPI)Sniper!は当初"House-to-house fighting in Stalingrad"というタイトルでしたが、リサーチが進むにつれ、第二次大戦全体の市街戦にテーマが改められ、マップもより抽象的な市街に変更されました。

建造物は、当初、直行する道路ヘクス沿いに建てられていましたが、おそらく、水平方向の弾道がジクザグの経路をたどるのはおかしいという理由から、道路と建物はひし形になりました(ついでに装甲車も)。スターリングラードの市街戦を前提としていた時に描かれていたマップエッジの川は削除され、建物のデザインはダニガンの好みから、1910年ごろのニューヨークの町並みを模しているそうです。

ゲームスケールは1ヘクス3m、1ターン3秒、プロットによる同時移動で、視認できるユニットを表にして戦闘を行います。ゲームタイトルは"Sniper!"ですが、扱っているのは市街戦で、狙撃兵はオプションで登場します。 手榴弾(およびライフル・グレネード)は、視認できない相手に攻撃できる数少ない手段です。
CRTはどんなに火力が低くても確率1/2で「Wounded(負傷)」となる凄い表なので、戦闘が始まると兵士がどんどん除去されていきます。

このゲームでは身をさらすこと=「死」であり、映画のヒーローのような真似をすると即死します。20ヘクス離れていても60メートルの距離でしかないことを考えれば、Sniper!の殺傷率の高さは、シミュレーションとしては正しいのかもしれません。オプションルールのSupersoldierを採用すると、映画のヒーローのように強い兵士を登場させることができます(Supersolderは、コミックブック「Sgt. Rock」の主人公から来ています)。

CRTがブラッディなことがわかってくると、双方が遮蔽物の陰に隠れて撃ち合いが成立しなくなります(あるいは早くゲームを終わらせるために西部劇の決闘みたいなことをすることになります)。流れを変えるには、煙幕で接近したり、戦車を投入したり、二階、三階から攻撃するわけです。このゲームは直接射撃ルールだけで対戦するよりも、手榴弾、ライフル・グレネード、戦車、対戦車兵器までのフルセットで対戦する方がよいと思います。

ダニガンによれば、Panicルールは、敵の攻撃の結果生じたパニックを表しているのでなく、"通常の行動の中で、兵士達は錬度に応じて一定の割合で、本来すべきことをしない"ことを表現しているのだそうです。1ターン3秒であることを考えれば、一定の確率で3秒ぐらい無駄に時間を使うことはおかしくないかもしれません(しかしTSR第二版ルールでは、Panicは敵攻撃のストレスによって生じるように変更されています)。

Sniper!は後期のSPIのゲームと異なり、十分なプレイテスト後に発売されたようですが、ルール明確化が必要な場面がいくつかあります。しかし、人間の身体活動のすべてをルールで規定することは不可能であり、それを試みるなら、ルールブックは膨大なボリュームになるでしょう。Sniperのルールは10分程度で説明できるほどコンパクトであり、シミュレーション性に過度にこだわらないなら、ルールに不明確な部分が生じたとしても、それはゲームの欠点にはならない思います。

少なくとも、子供の時にビニールの兵士を並べて行った戦争ゲームよりは、はるかにフェアな歩兵戦ができます。

 

シナリオ
遭遇戦を描いたPatrolシナリオ、篭城する敵を殲滅するBlock Cleaningシナリオ、ハーフトラックで市街を通過する敵を待ち伏せるAmbushシナリオ、敵のトラップから脱出する非常線シナリオに大別されています。

 

対戦記録
2017年8月27日
YSGAで入門シナリオを対戦。

2017年10月14日
YSGAで入門シナリオを対戦。

2017年10月28日の対戦
シナリオ12「Caen 1944」は、アメリカ兵10名が、建物に立て籠もるドイツ兵9名を襲う。"Block Cleaning"オプションは、篭城する側は建物から出てはいけないという極限の設定である。果たして、第二次大戦でこのような極端な状況がどれぐらいあったのだろうか?
アメリカ兵には戦車の擁護と火炎放射器、投擲爆弾がつく。ドイツ兵は3本のパンツァーファーストと3丁のMGを持つ。

ライフルや機関銃による攻撃と異なり、戦車は部屋ごと敵を吹き飛ばす。車載機銃だけでもかなりの脅威となる。

戦車を前面に押し立てた攻撃に対し、小火器しか持たない歩兵は無力である。歩兵が戦車を無力化することは容易でなく、防衛手段は煙幕ぐらいしかない。だからといって、戦車が敵歩兵の10ヘクス以内(30メートル)に近づくのは危険である。20ヘクスぐらい離れて撃つのがよい。戦車と歩兵との関係が理解できるゲームだった。

高低差をわかりやすくするために、アクリルでブロックを作ってフロアの高さを表現した。煙幕マーカーも透明のアクリル板に印刷した。

ゲーム中にプロットした初期配置。直線は「機会射撃」の射線を表す。

初期配置を俯瞰した図

篭城側(ドイツ兵)の配置(上図)
赤線が事前にプロットしたロケットランチャーの機会射撃の射線。青はライフル・グレネードの機会射撃ライン(MGを除く)。

9名の兵士を、二階、三階、屋上に分散している。建物裏面の中庭に対しては、マシンピストルに手榴弾を持つ兵士一名が防御する(二階)。階段からアメリカ兵が階段を登ってきた場合、屋上の三名の兵士が交代で手榴弾を落とす。

Supersoldierルール(35.0)を用いないかぎり、手榴弾を部屋の中に投げ込んで爆発と同時にMGで掃射する、というアクションができないので、部屋から部屋への攻撃は攻撃側にも大きな犠牲が出るはずである。一階と二階に兵力をほとんど置かなかったのは、下のフロアから天井ごしに上のフロアを撃つことができるからである。

戦車は建物後方(黄色矢印)から来ると予想していたが、実際には違う方角から来た。

実際のアメリカ軍の攻撃
下の図が実際のアメリカ軍の進路。三名の戦車狙撃手(ドイツ)が反対側の部屋の窓に移動し、3フロアから同時にパンツァーファーストを発射した。戦車の砲塔と駆動部が破壊され、乗員二名が負傷した。

待ち伏せするドイツ兵と、戦車を盾にするアメリカ兵。プライベートライアンごっこ。

窓から身を乗り出して撃ったため、パンツァーファーストの位置がアメリカ兵に発見され、戦車後方の歩兵7名から一斉射撃を受けた。ドイツ兵は一名死亡、一名が重傷を負った。これら一連のアクションは、6秒で発生したとみなされる。

この後、アメリカ兵は煙幕弾を投げて建物に突入したが、階段に達したところで二名のドイツ兵が上から手榴弾を落とした。二階で二対一の白兵戦がはじまり、一階の階段がアメリカ兵の死体で一杯になって登れなくなったところでゲーム終了。

室内の激しい戦闘もさることながら、「戦車は歩兵戦の華」であることがよくわかるシナリオだった。

 

【ルール覚書】
Oppotunity Fireをしたユニットは、次のターン中は表にしなければならない。
Sniperによる照準の周辺の6ヘクスへの攻撃力は1/2。
Rifle-Granade-Sniperは照準ヘクスのみ(通常の攻撃力)。
R-Sniperは撃った結果、表にしなくてよく、どのSniperユニットが撃ったかも言う必要はない。
Rifle-Grenade-Sniperは、Rifle-Grandeのルールに従う。
Automatic Weapon-Sniperは撃った結果、表にする。Rifle Sniperは撃っても裏返しのまま。
プロッティングチャートは、1枚1ターン。
[38.0]高低差表の見方
"High Man"は高い位置にいる側(通常、見下ろす側)。
"High Man"2階が"Low Man"地上を見下ろす場合、1、2、3階すべてが障害物となる。
"High Man"4階が"Low Man"地上を見下ろす場合、3階建すべて、2階建ては"High Man"と見ている地上の対象物との間の1/3以内に2階建てがある場合、障害物とならず地上の対象を見ることができる。(低い建造物のほうがより遠くにあっても障害物とならない。)

DFをするために自発的に身をさらしているユニットが敵からDFの照準を受け、その直後にPanicになった場合、その兵士は敵からの射撃を受けるか?受けない(Moves)

1階階段から3階階段を見ることができるか?できない。
1階階段から3階階段を射撃できるか?できない。
二階分登る時は2ターン必要か?必要。
自発的に表にするユニットは、Sightingフェーズ中にプロット表で印をつけ、Shightingフェーズ終了時に表にする。
任務を与えられていないユニットはPanicチェックの対象になるか?
Hand-to-HandはMUSTアタックか?
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MOVESのQ&A、errata、TSR第二版ルールから

同一ヘクスの敵に射撃できないルールの例外: 同じ建物内で1フロア上か下かの敵ユニットに対しては、1フロアの差を1ヘクスとして距離に加算し、射撃できる(注:階段ヘクスと思われる)。(Q&A)

Sniper!にはゲーム終了ターンがない(いずれかの勝利条件が成立するまでゲームを続ける)。(Q&A)

"Patrol"シナリオでは、視認が発生したら直ちに(残りのユニットは)既定のルートからはずれて自由移動ができる。(Q&A)

トラックとハーフトラックの運転手は、シナリオの戦闘序列の中から選らばなけばならない。これらの運転手の"Unmodifed-arm"はRかMPである。(Q&A)


【手榴弾】

手榴弾を持つ兵士が"Killed"か"Incapaciated"されても、手榴弾が爆発することはない。(errata)
Proneの兵士が手榴弾の爆発範囲(6ヘクス)にいる場合、ダイスの目に2を加える。手榴弾の落下ヘクスにいるProne兵士にはこの修正はない。(errata)

手榴弾が爆発したエリア(ヘクス)に対してApartureヘクスサイドを隔てて隣接するヘクスに存在する兵士は、「身をさらしている」場合に限り、爆発の影響を受ける。(errata)

【Rifle-Grenade】
Prone兵士はRifle-Grenadeの準備ができない。(errata)
Rifle-Grenadeを機会射撃で使う時、Scatterの計算の根拠の距離を二倍にする。


【Stunned】
「Stun」は、それが発生したターンでは影響せず、次のターンのみ影響する。"Stun Recuperation Phase"は、ゲームターンの終わりに行う。(errata)

【チット】
チットを引くのは、兵士のステータスが変わる時のみである。"Incapaciated"に"Wounded"が加わってもチットは引かない。"Killed"が"Killed"されてもチットは引かない。(errata)


【戦車】
戦車内の"Killed""Incapaciated"を隣接する席に移動するには、同一ヘクスの兵士1名で行う。この兵士はターンのはじめに同じヘクスにいなければならない。トラック、ハーフトラックも同じだが、この場合、隣接する路上に下ろすこともできる。(errata)

【ハーフトラック】
ハーフトラックの車載MGを使う兵士は、"Unmodifed-arm"を"Un-armed"しているとみなされる。

【TSR第二版ルール】
10.1 階段
階段で上下に移動するには全移動力を使う。そのユニットはターンのはじめに階段ヘクスにいなければならない。
階段にいる兵士は、1フロア上か下を攻撃できる。階段にいる兵士が他の階段ヘクスから撃たれる場合は2の防御力を持つ(注:当然、同じレベルの階段ヘクスに敵味方がいる場合は白兵戦となり、撃ちあいは出来ない)。

階段で手榴弾およびかばん爆弾を使用できる。攻撃側は、階段ヘクスか階段に隣接するヘクスにいればよい。爆発の範囲は、上か下の階段ヘクスおよびそれに続く上か下の階段ヘクスすべてであり、ドアや窓の外に及ぶことはない。階段で攻撃される兵士は2のDRMを持つ。ただし、爆発と同じヘクスの兵士にこの修正はない。

13.6 Quick Throw
手順: 先に手榴弾を投げ、次に移動する。
Qucik Throwの準備を終えた兵士が"Stunned""Panic"した場合、その準備は失われる。
"Stunned""Panic""Wounded"の兵士は、Quick Throwできない。

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[7.3] R,AR,MG can fire through interior walls and floors. Only one interior wall hexside may be crossed by fire.

Men in buildings may not direct their weapons at targets on different height levels in the same building, with TWO exceptions.

1. R,AR,MG may be fired through ceilings at targets that are ONE level above the shooter. This fire may not simultaneously pass through any other type of wall or door. No weapons can be fired down through the floor. Granades cannnot be tossed through unbreached ceilings. Each height level crossed is equivalent to one hex when computing range.

2.Any weapon can be fired up or down one level in a staircase hex. The blast from a Grenade which detonates in a staircase hex extends through all levels in that hex. Grenades can be thrown up or down one level in a staircase hex.


[11.1] A soldier who is prone and adjacent to this parapet cannot be seen from the other side of the parapet unless he has a sighting or exposed marker.


[11.3] Terrain Effects on Line of Sight
If at any point a line of sight drawn from the center of the attacker's hex to the center of the target's hex crosses blocking terrain, the line of sight is blocked and the garget cannot be seen. Blocking terrain is an interior or exterior wall hexside, or the other terrain as indicated by the Terrain Effects chart.

Interior walls and ceilings prevent a target from being seen but not from being shot at. R,AR,MG can fire through interior walls and ceilings, although the target gets a large defensive multiple.