HUE 日本語ルール第二版
SDC, Mayfair Games Inc.(1973, 1982)
ゲームデザイン: John Hill
第一版デベロップメント: Dana Lombardy
カバーアート: Darch Clampitt
マップアート: Jim Clouse

翻訳: En hommage a SPI

このページの配布、保存、印刷などは自由です。

 

 

解 説
このゲームは、1968年1月の北ベトナム軍(NVA)とベトコン(VC)による奇襲攻撃から始まり、南ベトナム共和国軍(ARVN)第一師団と米海兵隊(USMC)による再占領までを描く。
Hueの攻防においてユニークな点は、中世の城塞都市が近代兵器によって攻撃を受けた事である。旧市街をとりまく堀と城壁は、戦術上の大きな問題となった。双方が機械化された兵器を持ちながらも、戦闘は、中世の篭城戦と第二次大戦の市街戦を混ぜたものになった。
ルールに独自のものを感じるなら、それは独自の戦いをルール化した結果である。

Hueへの攻撃は、南ベトナム内の100箇所の作戦目標に対する一斉蜂起 -テト攻勢- の一環として行われた。グエンザップ将軍ら一部の軍人はテト攻勢に否定的で、作戦目標を占拠することはできても、制空権を持たないNVAが拠点を持ちこたえることは不可能であると考えていた。一方、北ベトナムの政府指導層は、この作戦によってアメリカ軍に勝てなくとも、大きな打撃を与えることができるなら、南ベトナムによる搾取と政治的腐敗に不満を持つ市民層も立ち上がり、最終的な勝利が年内に得られると考えていた。

テトの旧正月は休戦期間のはずだった。奇襲の前日、フエの市街には屋台が並び、家族連れが行き交う通りには爆竹が投げられていた。奇襲は1968年1月31日02h30(第1ターン)からはじまり、NVA/VCはその日のうちに城塞内に侵入、この攻撃はUSMC/ARVNがまったく予期しないものだった。NVA/VCは、08h00にはHueの王宮旗台に解放戦線の旗を掲揚した。午後までには、Le Loi通りの県庁舎、財務部、病院、郵便局、ラジオ局などの主要な政府建造物も占領、革命政府の樹立が宣言され、反革命主義者や南ベトナム政府への協力者の逮捕がはじまった。MACVとARVN司令部だけが敵の猛攻に耐えた。飛行場もNVA/VCの手に落ちなかったが、これらは奇跡のようだった。城塞内にまったくintelligenceを置いていなかったUSMCは、その日の終わりになっても、どれぐらいの敵がいるか把握できなかった。31日の夜、ウェストモーランド参謀総長は、アメリカ統合参謀本部議長アール・ホイーラーに「ユエの敵はおよそ三個中隊、約500名である」と極秘電報を送ったが、実際にはその20倍のNVA/VCがいた。

翌日のPhu Bai基地からの救援隊はNVA/VCの待ち伏せにあい、城塞南門への海兵隊の突入ははじき返され、いずれも多数の犠牲者を出していた。

ゲームの初期設定では、NVA/VCプレイヤーは敵のZOCでなければ、Hueの城塞内や王宮にもユニットを配置してよいことになっている。これは08h00頃のNVA/VCの状態を表していると思われる。

[1.0] ゲームコンポーネント
[1.1] パーツリスト

- 156枚のユニット
- ルールブック
- ターン/増援記録シート
- マップ
- 六面ダイス2個

[1.2] マップ
マップはHue市に直接隣接する地域を描く。家屋の絵はオーバースケールで描かれている。
次の地形が重要である。
"Palace of Peace": マップ中央の"Wall"に囲まれた7ヘクスが"Palace of Peace"である。
"Inner City": "Moat"と"Wall"の内側すべてのヘクスを指す。河川の中の島ヘクスも"Inner City"である。"Inner City"はゲームの終了条件に関係する。"Wall"の内側は"citadel(城塞)"とも表記されている。
"Outer City": "Inner City"に含まれないすべてのヘクス。
"武器庫(Armory)": MACVとARVNの武器庫は異なる場所にある。マップ右下の「MACV」の武器庫ヘクス(1ヘクス)、「ARVN 1st Div HQ」の武器庫ヘクス(1ヘクス)。
"bunkers": MACVとARVNの武器庫ヘクス、および"Quon Loc School"ヘクス。

 
MACV武器庫
 
ARVN 1st Div HQ武器庫
 
Quon Loc School

家屋の絵が描かれているヘクスが "City"ヘクスである。"City"と"Moat/River"が両方描かれているヘクスは"Moat/River"ヘクスとみなす。(訳注:"City"と"Moat/River"が両方描かれているヘクスは存在しない。「"Clear"と"River"ヘクス」の間違いと思われる。いかなるユニットも"River"ヘクスに止まることができない。(ルール[4.1] 参照 ))

[1.3] ゲームスケール
1ターン = 1日、1ヘクス = 約160メートル、ユニット = 分隊 〜 中隊。

[1.4] ユニット
明るい緑色がUSMC、暗い緑色がARVN、赤がNVA、黒がVC。ユニットの最初の数字は「戦闘力」、最後の数字は「レンジ」を表す。
兵科が白で印刷されているユニットは、機械化・装甲・砲兵で、移動と間接砲撃に影響する。VCはすべて白で印刷されているが、これは例外である。

 

機械化・装甲・砲兵・機械化砲兵・ロケット

[1.5] 兵科

[1.6] NVAユニットの変換 (P2)
NVAプレイヤーは、歩兵と重火器ユニット(Heavy Weapons)を"HAC(Heavy Assault Company)"に変換することができる。
NVAプレイヤーは「1.NVA/VC移動フェーズ」に、同一ヘクスに置かれた歩兵(1枚)と重火器ユニット(1枚)を除去し、そのヘクスに"HAC"ユニット(1枚)を置く。
ゲームでは6枚の"HAC"が提供され、これがNVAプレイヤーが利用できる最大数である。

NVA/歩兵
 
Heavy Weapons
 
HAC

[1.7] ターン/増援記録シート
ターンの記録とそのターンに投入できるユニットは、ターン/増援記録シートに記載の通り。

[2.0] セットアップ
すべてのユニットを「ターン/増援記録シート」に置く。USMC/ARVNプレイヤーが第一ターンの枠内のユニットをマップ上に配置する。次にNVA/VCプレイヤーが第6師団のユニットを配置する。ただし、NVAプレイヤーは、敵ZOCにユニットを置くことはできない(ゲームが始まったらZOC内に移動することができる)。

[3.0] ゲームシークエンス

1. NVA/VC移動フェーズ
 はじめに、NVA/VCの増援を行う。
 次に、NVA/VCプレイヤーは増援ユニットを含むすべてのユニットを移動する。
 「NVAユニットの変換([1.5])」もこのターンに行う。

2. First Fire
 「1.NVA/VC移動フェーズ」で敵のZOCに入ったNVA/VCユニットは、USMC/ARVNによるレスポンス・ファイヤー([5.3])を先に受け、戦闘結果は直ちに適用される。
 次に、 双方のユニットはレンジ内で視線が通る敵ユニットを攻撃する。攻撃は同時に行うとみなされ、戦闘結果の適用はすべての戦闘解決後に行われる。

3. USMC/ARVN道路移動フェーズ
 はじめに、USMC/ARVNの増援を行う。
 次に、USMC/ARVNプレイヤーは、道路ヘクス上にあるすべてのユニットを道路移動してよい。移動できる道路ヘクスの数は無制限だが、道路移動するユニットは敵ZOCに入ってはならず、移動中/終了後に道路ヘクスから離れることはできない。
 USMC/ARVNプレイヤーは艦砲射撃([5.8])を行うことができる。

4. USMC/ARVN通常移動フェーズ
 河川移動[4.5]はこのフェーズで行う。USMC/ARVNプレイヤーは、前フェーズで道路移動をしたユニットを含むすべてのユニットを通常移動させることができる。

5. Second Fire
 「3」と「4」の移動によって敵のZOCに入ったUSMC/ARVNユニットは、NVA/VCによるレスポンス・ファイヤーを先に受け、戦闘結果は直ちに適用される。
 次に、 双方のプレイヤーは「2. First Fire」と同じルールで攻撃を行う。
 USMC/ARVNプレイヤーは艦砲射撃([5.8])を行うことができる。

 

すべてのフェーズが終了したら、ターン記録マーカーを次のターンに移動する。ゲームはすべてのNVA/VCユニットが"Inner City"から除去されるまで行い、その間、双方のプレイヤーは勝利ポイントを蓄積する。

[4.0] 移動
[4.1] 通常移動
NVA/VCユニットは、兵科・地形に関係なく6ヘクス移動できる (注: "Wall"、"Moat/River"を含む)。
USMC/ARVNユニットの移動は次の通り。
歩兵: 地形に関係なく2ヘクス
砲兵: 1ヘクス。ただし"道路/橋"のない"City"、"Moat/River"ヘクスへは入ることができない (注: "Clear"、"Park/Jungle"、"Airfield"は普通に移動できる。原文には砲兵は"Wall"は通過できないとは書かれていない)。
装甲/機械化: 4ヘクス。"道路/橋"、"Clear"、"Park"、"Airfield"のみ (注: 当然、"Wall"は通過できない)。

いかなるユニットも"River"ヘクスに止まることはできない。"Barbed Wire"、"Bunkers"はいかなるユニットの移動も妨げない。歩兵は通常の移動力で"Moat/River"ヘクスを移動できる。

訳注: このゲームでは地形によって移動力が変わることはない。USMC/ARVNの「砲兵・装甲/機械化」の移動をブロックする地形がある。例: NVA/VCユニット(6移動力)は"Puerfume River"の橋のない部分を通常移動で横断できる。一方、移動力が2のUSMC/ARVNの歩兵は"Puerfume River"の真ん中で停止せざるを得ないから、結果的に渡河できない (例外:歩兵の[4.5]河川移動)。USMC/ARVNの「砲兵・機甲・機械化」は橋でしか渡河できないので、そもそも"Moat/River"ヘクスを横断できない。"River"ヘクスに少しでも"Clear"が描かれている場合は、"River"と解釈する([1.2] 英文ルールP1)。

[4.2] 道路ヘクスへの増援後の移動
USMC/ARVNユニットの増援は「3. USMC/ARVN道路移動フェーズ」に行われる。もし増援に指定されたマップ端の道路ヘクスにNVA/VCユニットが置かれている場合、USMC/ARVNの増援ユニットは、そのマップ端直線上のどのヘクス(非道路ヘクス)からでも登場できる(敵ZOCをのぞく[4.4])。ただし、このようにして登場したユニットは、そのターンの「4. USMC/ARVN通常移動フェーズ」からしか移動できない。このようにして登場したユニットは、移動フェーズ中に、道路ヘクス上で増援を妨害しているNVA/VCユニットに隣接する位置に移動してよい(移動力が許すなら)。
増援ユニットをマップ端の登場ヘクスに置く行為は、それが道路ヘクスであるか否かにかかわらず移動とみなさず、移動力を消費しない。

[4.3] スタック制限
NVA/VC: 1ヘクスに1枚しか置くことができない。
USMC/ARVN: 中隊ユニット1枚(兵科問わず)を、1枚の小隊もしくはHQもしくはPoliceユニットとスタックできる。あるいは、小隊とHQとPoliceを、どのような組み合わせでも計3枚までスタックできる。
(注: スタック制限は移動の終わりに適用されるものと考えられる。でなければ「[1.5] NVAユニットの変換」ができない。)

+
or
or
中隊
 
小隊
 
HQ
 
Police

 
+
+
小隊
 
HQ
 
Police

 

[4.4] ZOC
通常移動で敵ZOCに入ったユニットは直ちに移動を止めなければならない。
道路移動では敵ZOCに入ることができない。
敵ZOCから敵ZOCへの移動はできない。敵ZOCから敵ZOCの外に移動することはできる。敵ユニットの占めるヘクスへの移動はできない。
(注:敵ZOCの外に出たらそこで移動を停止するルールはない。ZOCにいる敵ユニットは、地形にかかわりなく攻撃することができる[5.5])。)

[4.5] USMC/ARVN歩兵の河川移動と堀移動
河川移動(the river): 河川移動とは、USMC/ARVN歩兵による"Perfume River"の移動を指す。河川移動を行うUSMC/ARVN歩兵ユニットは、前のターンの終わりまでに、"River"ヘクスに隣接するヘクスに移動していなければならない。前ターンでのそのヘクスまでの移動は、道路移動によるものであってもよい。
河川移動を行う歩兵は、そのターンの道路移動と通常移動ができない。
河川移動は「4. 移動フェーズ」で行う。"Perfume River"の対岸の"River"ヘクス(半分Clearであるヘクスを含む)に隣接するいずれかのヘクスまで移動を行い、そこで停止する(注: と解釈できる)。
堀移動(Moats): 堀移動を行う歩兵は、「4. 移動フェーズ」開始時に、"Moats"ヘクスに隣接するヘクスに移動していなければならない。堀移動では、"Moats"ヘクスを20ヘクスまで移動でき、移動の終わりに"Moats"ヘクスに隣接するヘクスまで移動する。
(訳注: 堀ヘクスを取り囲む小川のようなヘクスは"Perfume River"ではない。SDC版では小川のようなヘクスと"Perfume River"ヘクスの色が異なる。)

[7.3 Option] LCM (機動揚陸艇)
チャンティエン橋(場銭橋、Truong Tien)が落ちた場合、USMC/ARVNの機械化・装甲ユニットによるフオン川(Perfume River)の渡河は困難になる。USMC/ARVNの機械化・装甲ユニットが、LCM (the landing craft mechanized)による渡河を行う場合、ユニットは河川に隣接するヘクスで丸1ターン移動を行わず、次のターンで対岸のいかなるヘクスにでも渡ることができる。このようにして河川移動したユニットは、そのターンの「3. USMC/ARVN道路移動フェーズ」「4. USMC/ARVN通常移動フェーズ」の両方で移動してよい。


[4.6] 増援 (P3)
[4.6.1] USMC/ARVN
USMC/ARVNの増援は「3. USMC/ARVN道路移動フェーズ」の最初に行われる。登場ヘクスは「ターン/増援記録シート」に記載の通り。

[4.6.2] Airborne (P3)
ARVN空挺部隊 (第三ターン) : ARVN空挺部隊(10枚)の増援は"Airfield"ヘクスに対して行われる。"Airfield"ヘクスは敵の直接攻撃の範囲外でなければならないが、間接攻撃内(砲兵、ロケット)であってもよい。
"Airfield"ヘクスに置かれた空挺ユニットは、そのターンの道路移動はできないが、そのターンの通常移動はできる。

 
(X 1)
(X 9)

[7.10 Option] Airlanding under fire (P7)
[4.6.2]の"Airfield"ヘクスがNVA/VCの直接攻撃内でありながらARVN空挺部隊の増援を行う場合、NVA/VCプレイヤーは、降下するARVNユニット1枚ごとに直接攻撃を行うことができる。直接攻撃できるユニットが一枚の場合、その一枚は降下する各ARVNユニットごとに一回の直接攻撃ができる。この攻撃は、通常のゲームシークエンスとは別の、フリーの直接攻撃である。

[4.6.3] Airlift (P3)
USMC第五連隊第一大隊海兵隊 (第七ターン):次の三枚が"Clear"ヘクスに対して増援される。"Clear"ヘクスは、敵の直接/間接攻撃圏内でもよい。
"Clear"ヘクスに置かれた空挺ユニットは、そのターンの道路移動はできないが、そのターンの通常移動はできる。

 

[7.5 Option] Heliborne Landing (P6)
[4.6.3]の"Clear"ヘクスが敵の視線内である場合、NVA/VCプレイヤーは、通常のゲームシークエンスとは別の、フリーの直接攻撃をそのヘクスに行うことができる(砲兵、ロケットによる間接攻撃はできない)。この攻撃に生き残った場合、その海兵隊ユニットはそのターンの「4. USMC/ARVN通常移動フェーズ」で移動できる。

[4.6.2] NVA/VCの増援
NVA/VCの増援は「1. NVA/VC移動フェーズ」に行われる。増援の数はダイスを振って決める。
1 Feb: VCユニットを2d6だけ敵に隣接しない"City"ヘクスに置く。
4 Feb: 3枚のNVA2-4ユニットを増援表に従って配置。
6 Feb: HQ (3248Bで歩兵の兵科記号の左下に線が伸びている1ユニット)、Heavy Weapons、砲兵に対して、それぞれ1d6を振り、1〜3の場合、増援として登場する。それ以外の目が出た場合、そのユニットはゲームに登場しないが、USMC/ARVNの勝利ポイントとはならない。
さらに2d6を振り、出た目の数だけ3248B歩兵師団ユニットが増援として登場する。
いずれのユニットも、マップの東端から14 Febターンまでに登場しなければならない。

 
(X 1)
HQ
Heavy Weapons
砲兵

 
(X11)
3248B歩兵師団

[4.7] 武器庫の占領 (P2、P5)
MACV武器庫およびARVN武器庫(1ヘクス)がNVA/VCユニットによって完全に1ターン占められた場合、その武器庫は「占領」されたものとみなされる。
MACV武器庫の占領: 1d6の数のNVAプレイヤー6th Divisionの歩兵がHeavy Weaponユニットに変換される。
ARVN武器庫の占領: 2d6の数のNVAプレイヤー6th Divisionの歩兵がHeavy Weaponユニットに変換される。
さらに両方の場合において、NVA/VCプレイヤーは、1d6のVCユニットを増援として得る。増援のVCユニットはUSMC/ARVNユニットが隣接しない"City"ヘクスに登場する。
(訳注: 史実では両武器庫とも占領されていない。)

 
6th Division
 
Heavy Weapons

[4.8] 武器庫の破壊 (P5)
NVA/VCによる武器庫の占領を防ぐため、UCMC/ARVNプレイヤーは次の手順で武器庫を破壊できる。
ARVN武器庫の破壊: 「4. USMC/ARVN通常移動フェーズ」のはじまりにARVNユニットが武器庫ヘクスに存在しなければならない。プレイヤーは武器庫の破壊を宣言し、このARVNユニットを2ヘクス、武器庫から離れた方向に移動する。この時、武器庫に隣接するUSMC/ARVNユニットが存在するなら、そのユニットも2ヘクス移動しなければならない。1d6で1〜4の場合、武器庫は破壊される。
USMC武器庫の破壊: 上記と手順は同じだが(USMCユニットが破壊を行う)、ダイスを振る必要はない。
破壊された武器庫は、依然としてbunkerとして機能するが、そのヘクスに対する間接砲撃の戦力が1/2になることはない (「[5.6] 間接攻撃」参照)。

[5.0] 戦闘
[5.1] 戦闘結果
攻撃側ユニットのすべての戦闘力を合計し、地形効果を加えた後、1d6で戦闘結果表を参照する。戦闘結果は1枚から複数の防御側ユニットに適用される。レスポンス・ファイヤーを除き、ユニットの除去は、すべての戦闘結果の判定後に行う。

[5.2] 地形
地形効果表の値を用いる。地形効果の恩恵を受けるのは防御側(内側)のみで、外側にいるユニットは恩恵を受けない。地形効果は累積して用いられる。たとえば防御側が"Park"ヘクスにいて、攻撃が"Wall"ごしに行われる場合、+1と+2が適用され、合計+3となる。同一ヘクス複数の地形効果が存在する場合、もっとも防御側に有利な数値を用いる。複数のヘクスから攻撃を受け、そのうち攻撃側の1枚のユニットのみが"Wall"ごしに攻撃してきた場合でも"Wall"は適用される。
戦闘はMAY ATTACKである(敵に隣接する場合でも)。
(注: ルール[5.7]により、"Wall"にも内側と外側がある。"Barbed Wire"は「内側」に描かれている。)

 

[5.3] レスポンス・ファイヤー
「1. NVA/VC移動フェーズ」で敵のZOCに入ったNVA/VCユニットは、それに続く「2. First Fire」フェーズにおいて、USMC/ARVNの直接および間接攻撃を先に受けなければならない。これによってもしそのNVA/VCユニットが除去となった場合、結果は直ちに適用され、そのNVA/VCユニットはリターンファイヤーを行うことができない。
前述のUSMC/ARVNユニットは、レスポンス・ファイヤーを行わず、「2. First Fire」フェーズにおける通常の攻撃によって、他の攻撃可能なUSMC/ARVNユニットと戦力を合わせてZOCに入ったNVA/VCユニットを攻撃してもよい。この場合、通常の攻撃なのでNVA/VCユニットもまた何らかの攻撃を行うことができる。
「5. Second Fire」フェーズでは反対にNVA/VCのZOCに入ったUSMC/ARVNユニットがレスポンス・ファイヤーを先に受ける。

[5.4] 複数のユニット
スタックしているユニットを攻撃する場合、攻撃側はそのうちのどの1枚が攻撃対象かを決めなければならない。ただし、防御側の地形がClear、Moat、Bridge、Airfieldである場合、スタックするすべてのユニットが攻撃対象となり、戦闘結果はすべてのユニットに適用される。

[5.5] 射線
敵ユニットを攻撃するには射線が通らなければならない。City、Park、Bunker、Wall、敵味方いずれかのユニットが占めるヘクスは、射線を妨害する。ZOCにいる敵ユニットは、地形にかかわりなく攻撃することができる。
射線の判定は、攻撃側ユニットの占めるヘクスの中心と、防御側ユニットが占めるヘクスの中心を直線で結び、射線をブロックするヘクスに少しでもかからないなら、射線および間接射撃用のスポッティングが通るとみなされる。攻撃側と防御側が占めるヘクスは、射線の判定に用いない。あくまで中間のヘクスが問題となる。
(注: ZOCにいる敵ユニットに間接攻撃用の射線(スポッティング)が通るかどうかは明記されていない。これができないと"Wall"の内側への間接攻撃がいちじるしく制限され、USMC/ARVNに不利になる。隣接すれば"Wall"ごしのスポッティングができるかどうか取り決めが必要。)

[5.6] 間接攻撃
装甲、ロケット、砲兵は間接攻撃を行うことができる。間接攻撃は、ブロックする地形を超えて攻撃できるが、レンジは半分になる。
間接攻撃が行われるヘクスは、他のユニットによってスポッティングされていなければならず、そのユニットは間接攻撃を行うユニットと同じ国籍で同じ陣営でなければならない。
スポッティングを行うユニットは同時に敵ユニットを直接攻撃してもよい。たとえば、隣接するユニットを間接攻撃のためにスポッティングしながら、2ヘクス離れたユニットに直接攻撃するなど。
NVAユニットでスポッティングできるのは、Heavy Weapons、HAC、HQ、2-4歩兵のみである。さらにNVA2-4歩兵は「2. First Fire」でしかスポッティングできず、スポッティングするターンに移動できない(Heavy Weapons、HAC、HQにはそのような制限はない)。
VCユニットはNVAユニットのためにスポッティングできない。
レスポンス・ファイヤー([5.3])によって除去されたユニットはスポッティングすることができない。
NVAの砲兵・ロケット、USMC/ARVNの砲兵・装甲がbunkerヘクスを間接攻撃する場合、攻撃力は1/2になる。
NVA砲兵は4ヘクス未満の敵を間接攻撃できない (原文: "NVA artillery may not fire at targets less than FOUR hexes away.")。
間接攻撃はレスポンス・ファイヤー([5.3])として使うことができる。たとえば、USMCユニットがNVA Weapon CompanyのZOCに移動した場合、そのNVAユニットはNVA砲兵(ロケットではない)のために、そのUSMCユニットをスポッティングできる。
間接攻撃の例: USMC 4-4歩兵が3ヘクス離れたNVAを、USMC砲兵のためにスポッティングした。このUSMC砲兵はNVAユニットから16ヘクス離れている。このNVAユニットへの攻撃力は12(4+8)である。

[5.7] 橋とWall
Wallヘクスサイドの内側のユニットが攻撃された場合、ダイスの目に+2の修正を受ける。この修正は、Wallヘクスサイドの一部が橋によって切れている場合でも有効である。
さらに、Wallヘクスサイドの内側のユニットは、Wallの外を2ヘクスまで視認できるが、Wallの外側からは内側を視認できない。

[5.8] 艦砲射撃
「1 Feb」ターンから最終ターンまで、USMCプレイヤーは8攻撃力の艦砲射撃を行うことができる。この攻撃は、USMCの間接攻撃として行われ、「2. First Fire」「5. Second Fire」いずれか、あるいは両方に攻撃力を分割して使うことができ、複数の目標に分割してもよい。

[5.9] NVA/VCの装甲への攻撃
NVA 1-4HQ、2-4歩兵、VCユニットがUSMC/ARVNの機械化・装甲ユニットを攻撃する場合は隣接していなければならない。

[6.0] 勝利条件
USMC/ARVNプレイヤー: NVA/VCユニットを1枚除去するごとに1ポイントを得る。Heavy Assault Companyの場合、2ポイントを得る。"Inner City"からすべてのNVA/VCユニットを除去した場合、20ポイントを得る。
NVA/VCプレイヤー: USMCユニットを1枚除去するごとに2ポイントを得る。ARVNユニットの場合、1ポイントを得る。NVA/VCプレイヤーは、"Inner City"に1ユニットでも存在する場合、そのターンに1ポイントを得る(訳注: たぶんターンの終わり)。
(訳注: 史実では2月25日に"Inner City"内の掃討が終わっている。:NVA/VCはすべての部隊が最後まで篭城戦を続けたわけではなく、2月20日には夜陰に乗じて、南西のHuu門とNha Do門から脱出した部隊がいる。USMC/ARVNはこの動きをまったく知らなかった。)

 

オプションルール

[7.1] NVA/VCの隠れたユニット
NVA/VCプレイヤーは、すべてのユニットを裏返しにして対戦する。NVA/VCプレイヤーは「2. First Fire」「5. Second Fire」で交戦したユニットのみ表にし、戦闘が終了したら再び裏返しにする。スポッティングしながら間接攻撃が行われなかった場合、そのユニットは表にする必要がない。

[7.2] 橋の破壊
NVA/VCプレイヤーは、堀や河川に架かる橋を破壊できる。
堀にかかる橋を破壊するには、NVAユニット(VCは不可)が「1. NVA/VC移動フェーズ」の終わりに、堀のかかる橋に隣接する位置で移動を停止する。ダイスを振ることなく、これで橋は破壊される。
Perfume川にかかる橋を破壊するには、NVA Heavy Weapon Company(3-6)が「1. NVA/VC移動フェーズ」で橋に移動し、そのターンの終わりまでいかなる攻撃も行わない。次の「1. NVA/VC移動フェーズ」でHeavy Weapon Companyは橋から移動し、これで橋は破壊される。

[7.4] 橋の再建
Perfume川にかかる橋は再建できない。
堀にかかる橋を再建するには、USMC/ARVNいずれかのユニットが破壊された橋に隣接するヘクスに移動し、「3. USMC/ARVN道路移動フェーズ」と「4. USMC/ARVN通常移動フェーズ」でまったく移動を行わない。次の「3. USMC/ARVN道路移動フェーズ」から橋は再建されたものとみなされる。

[7.5] 天候
史実では、天候不順により、アメリカ軍は戦術偵察がほとんどできなかった。これを反映するため、各ターンの「3. USMC/ARVN道路移動フェーズ」の開始時に1d6を振り、6が出たなら、そのターン中、マップ上のどの位置でも、USMC/ARVNともに空中からスポッティングができることなり、地上ユニットによるスポッティングなしに間接攻撃を行うことができる。
このルールは、「[7.1] NVA/VCの隠れたユニット」とあわせて使うなら、NVA/VCプレイヤーに天候の良い日の攻撃を躊躇させる結果になるだろう。

[7.6] 神聖な王宮
王宮 (Palace of Peace)は神聖なエリアであるため、両プレイヤーとも砲兵と装甲ユニットでこのエリアを攻撃できない。プレイヤーは歩兵で攻撃しなければならない。
(訳注: 2月10日に前進観測兵を配置した際、ARVNのゴーグアンチョン司令官(Ngo Quang Truong)は王宮への砲爆撃を禁止している。)

[7.7] 史実による配置
このゲームはNVA/VCプレイヤーが自由にユニットを配置する前提で作られている。しかし、もし歴史に忠実な配置を望むなら、NVA/VCプレイヤーは次の軍事目標を占領するために、それぞれ一個大隊のNVAユニットを配置しなければならない。
1) Quoc Hoc High School
2) Palace of Peace
3) Airfield
4) Gia Hoi地区
5) MACV区画
6) ARVN 1st DIV HQ
7) "Inner City"に通じる東側の橋 (チャンティエン橋、Truong Tien)
8) 西側の鉄橋
さらに、すべてのmorterとrocketユニットは"Inner City"の外側に配置しなければならず、第二ターンまで"Inner City"に入ってはいけない。その他のNVA/VCユニットは自由に配置してよい。
いうまでもなく、これは軍事的に優れた展開とは言えず、兵器庫の占領はより困難になる。しかしながら、この配置は、市のすべての目標を一度に占領するというNVAの政治目的を表している。

[7.8] 視界の変化
モンスーン中に戦われたユエの攻防では、視界は頻繁に変化し、多くは悪い視界がさらに悪くなった。
これを反映するため、次のルールを設ける。
各ターンの「2. First Fire」と「5. Second Fire」のそれぞれにおいて、最初の戦闘が発生した時に2d6を振り、ダイスの目の和をそのフェーズの「視界」とする。たとえば「視界」が3である時、4ヘクス離れた敵に直接攻撃を行うことはできず、3ヘクスを超えるスポッティングもできない。

[7.9] 戦闘後前進
移動フェーズで敵ユニットに隣接する位置まで移動し、そのユニットが敵のレスポンス・ファイヤーで生き残り、それに続く通常の戦闘で、隣接する敵ユニットを除去した場合、そのユニットは戦闘後前進をしてよい。

[7.10] CS催涙ガス
催涙ガスの有効性は実戦で証明されていたが、「毒ガスの使用」として国際社会から非難される可能性があった。これを表現するためのルールは次の通り。
USMCユニットは、いつでも、敵ユニット(注: 単数)に隣接する時に「催涙ガス」の使用を宣言できる。宣言を受けた敵ユニットは、それに続く戦闘フェーズにおいて、レスポンス・ファイヤーができない。ただし、NVA/VCプレイヤーは、最初の「催涙ガス」使用で3勝利ポイント、二回目の使用で2勝利ポイント、三回目以降の毎回の使用で1勝利ポイントを獲得する。
(訳注: 実際に城塞内の戦闘で米軍は催涙ガスを多用している。)


 

Bunkersまとめ:

"bunkers": MACVとARVNの武器庫1ヘクス、および"Quon Loc School"1とヘクス。

防御側 +3の修正

[4.8] 武器庫の破壊
破壊された武器庫は、依然としてbunkerとして機能するが、そのヘクスに対する間接砲撃の戦力が1/2になることはない。

[5.5] 射線
Bunkerは、射線を妨害する。

[5.6] 間接攻撃
NVAの砲兵・ロケット、USMC/ARVNの砲兵・装甲がbunkerヘクスを間接攻撃する場合、攻撃力は1/2になる。