Manila'45:
Starlinglad of the Pacific
S&T #246 October 2007
(Decision Games社の許可を得て翻訳し公開しています。)

日本語訳第三版 2007年11月19日現在
変更箇所: [5.2][9.2][10.8][10.10][10.12][10.14][10.17][10.19][10.21][10.23][11.2]

 

[1.0] イントロダクション
[2.0] コンポーネント
[3.0] セットアップ
[4.0] 勝利条件
[5.0] シークエンス
[6.0] スタックと戦場の霧
[7.0] 増援と交替
[8.0] 移動
[9.0] 防御側射撃
[10.0] 攻撃側射撃
[11.0] 間接砲撃

  注:
逐語訳に近い部分は黒、意訳はグレーです。(ウォーゲーマーにわかりきった部分は訳していません。)エラッタ、掲示板で訂正されているルールは青です。
このページの転載、印刷、配布などは自由です。
Original game components such as a map, units, and rules of the game are necessary to play this game.
 
[1.0] はじめに
  「Manila'45:Starlinglad of the Pacific」は、難易度の低い2人用の対戦ゲームである。このゲームは1945年3月4日からはじまったアメリカ軍によるフィリピンの首都解放を描いたものである。
難易度の調整と戦闘に参加した司令官の視点を表現する目的から、戦術級のゲームマップとユニットに作戦級のゲームターンを採用している。アメリカ軍プレイヤーが通常攻勢側で、ゲームターンの終わりまでにマニラ市から日本軍ユニットを完全に除去することを目的とする。
[1.2] ゲームスケール
  1ゲームターンは3日に相当する。ヘクスの大きさは辺から辺までの長さが.05km(0.3マイル)、ユニットの単位は中隊、砲兵隊から大隊であり、1ユニット100〜1,000名規模である。
[2.0] コンポーネント
[2.1] ゲームに含まれるものはルールブック、マップ、176個のユニットである。プレイヤーは6面ダイスを一個用意しなければならない。
[2.2] ゲームマップは1945年のマニラ市を表したものでヘクスが印刷されている。それぞれのへクスには4桁の数字が付属し、たとえば1812は「Fort McKinley」、2119は「Psychopathic Hospital」である。
[2.3] シーティング
  日本軍プレイヤーはマップの西側に座り東側を向く。アメリカ軍プレイヤーはその反対側に座る。
[2.4] カウンター
  146枚のカウンターのほとんどは戦闘部隊を表す。それ以外の30枚のカウンターは過去のS&Tのバリアントカウンターである。
[2.5] 戦闘ユニットの例
 

ユニットは、国籍と編成が色で区別され、部隊番号(歴史上の識別記号)、兵科、部隊規模、攻撃力、レンジ(射程力)が印刷されている。

 

ComsinWorld: アメリカ軍支援空軍ユニットに印刷された「3」の数字は「ターン3から登場」、「10」は「10戦闘力」を意味する。

[2.6] 色の識別
 

アメリカ軍ユニットは色によって編成が区別されている。日本軍ユニットは文字の色で移動可能なユニットかそうでないかが区別されている。

アメリカ軍  
第一騎兵師団
第十一空挺師団
第三十七歩兵師団
第XIV軍団
   
日本軍  
固定ユニット
移動できるユニット
[2.7] 歴史的識別
 

ユニットに印刷されている略語の意味は次の通り。

CF Central Force
EF Eastern Force
HQ Headquarters
HQS Headquarters Sector
Ind Independent
IS Isthmus Sector
K Kempetai
KS Kusunoki Sector
NF Northern Force
NP Northern Port
NS Nichols Sector
P Provisional
SF Southern Force
SP Southern Port
SS Sakura Sector
T Toshio
TS Tachibani Sector
82C 82nd Chemical Mortar Battalion

ノート: 日本軍の砲兵ユニットは即席の編成であるため、口径(ミリメートル)で表している。

[2.8] 部隊規模
 

I: 中隊もしくは砲兵部隊
II: 大隊
アメリカ軍の支援空軍ユニットは、本ゲームスケールで表された一単位ごとの空襲を表す。

[2.9] 移動力
  他のウォーゲームと異なりユニットの移動力はカウンターに印刷されていない。本ゲームにおいて、すべてのアメリカ軍ユニットおよび移動可能なすべての日本軍ユニットの移動力は16である ([8.0])。
日本軍の固定ユニットは、初期配置の位置から動くことはできない ([3.2])。
[2.10] ユニットタイプ
  すべての戦闘ユニットには主要な兵器タイプが定められており、兵器タイプは戦闘解決において重要な役割を果たす ([9.0]、[10.0]、[11.0])。
ユニットはまた、「装甲」と「非装甲」とに別れ、これらは防御の力として考慮される。これに関する説明は[10.14]を参照。
[2.11] 特殊な戦闘機能
 

次の記号が印刷されているユニットは特殊な戦闘機能を持つ。

間接砲撃 ([11.0])
近接攻撃 ([10.17])
対装甲攻撃 ([10.14])
[2.12] その他のカウンターはマーカー類である。
 
ゲームターン記録マーカー ([5.2])
橋梁破壊マーカー ([10.19])
残骸マーカー ([10.20])
アメリカ軍支援空軍ユニット ([10.23])
 
[3.0] セットアップ
[3.1] 準備
 

ゲームターン記録マーカーをマップの「Turn 1 3-5 Feb」 (2月3〜5日)に置く。

[3.2] 日本軍のセットアップ
 

日本軍プレイヤーが最初にユニットをマップに配置する。アメリカ軍プレイヤーはその間離席し、日本軍プレイヤーがどこにどのユニットを置いたかを見てはいけない。
日本軍プレイヤーは、ゲームに付属するすべての日本軍ユニットを初期配置の時にマップに置くことができる。日本軍ユニットはマップ上のどこに置いてもよい。ただし、スタック制限 ([6.3])、戦場の霧 ([6.5])、サドンデス勝利条件 ([4.3])に留意する。
さらに日本軍プレイヤーは初期配置において、マップの端のへクスもしくはそれに隣接するへクスに自軍ユニットを置いてはならない。

例: 初期配置で日本軍ユニットを置くことのできないへクスは、3401、3402、1613、1712、3532、3531などである。これは初期配置時のみであり、ゲームがはじまってから日本軍ユニットがこれらのへクスに移動することは可能である。

[3.3] アメリカ軍のセットアップ
  アメリカ軍ユニットは、ゲーム開始時にマップ上に存在しない。アメリカ軍プレイヤーは、すべてのアメリカ軍ユニットを、第一騎兵師団、第十一空挺師団などの色の分類ごとに分け、マップ外に保管する。([2.6])
[3.4] アメリカ軍の登場
 

アメリカ軍はすべての支援空軍ユニットをのぞくすべての戦闘ユニットを初期配置時にマップに置かなければならない。
日本軍プレイヤーの初期配置が終わったなら、アメリカ軍プレイヤーは次のへクスからマップにユニットを侵入させる。

  • 第十一空挺師団は3401と1900のへクス、およびその間のすべてのへクス (マップ南側)
  • 第一騎兵師団、第三十七歩兵師団、第XIV軍団は2532と4233のへクス、およびその間のすべてのへクス (マップ北側)

マップに入ったユニットは、直ちに通常の移動力でマップ内を移動できる。移動を終えた場所をそのユニットの初期配置とする。移動力の消費は最初にユニットが侵入するへクス(マップ端のへクス)からカウントする。
初期配置中の移動において防御側射撃([9.0])の条件を満たす場合、日本軍プレイヤーによる防御側射撃が直ちに発生する。
ユニットは、すべて異なるへクスから入ってもよいし、同じへクスから入ってもよい。他のユニットが既に侵入に用いたのと同じへクスから別な新しいユニットが入る場合でも、その新しいユニットは通常の移動力を当該へクスに対して費やして侵入しなければならない。

ユニットをマップに登場させる時は以下の順序と制限に従う。

  • すべての師団ユニット(第一騎兵師団、第十一空挺師団、第三十七歩兵師団)は、第XIV軍団がマップに登場するより以前にマップ内に入らなければならない。
  • 師団ユニットが入る時、師団の順番はどの師団が先になってもよい。ただし、すでに入った師団に属するすべてのユニットが入り終えた後でなければ、次の師団グループのユニットはマップに入ることができない。
    例: 第一騎兵師団、第十一空挺師団、第三十七歩兵師団のいずれが先にマップに入ってもよいが、もし第十一空挺師団のユニットがひとつでも先にマップに入ったなら、第十一空挺師団に属するすべてのユニットが入り終えるまで、次の師団(第一騎兵師団もしくは第三十七歩兵師団はマップに入ることができない。)

デザインノート: 実際の戦場は10 X 5マイル四方ではなかった。1ゲームターンが3日であることを考えると、ユニットに与えられた移動力16は寡少である。すなわち本ゲームの移動力は物理的な移動力ではなく、任務ベースの移動力と解されるべきである。それゆえ、本ゲームでは多くのウォーゲームが採用している「隊列による入場」ルールを設けていない。[3.5]を参照。

[3.5] 第XIV軍団
  第XIV軍団のユニットはすべての師団級ユニットが入るまでマップに入ってはならない。
ゲームターン1における第XIV軍団ユニットの移動力は通常の半分である8移動力である。第XIV軍団ユニットはマップの南側から侵入してはならない。
 
[4.0] 勝利条件
[4.1] 一般的に、アメリカ軍プレイヤーは、マップ全体において攻勢側であり、史実と同様にあるいはそれより早期に作戦を遂行することを目的とする。史実では、日本軍の抵抗は、ゲームターン10 (3月4日) に終わっている。
[4.2] 通常の勝利条件
 

ゲームターン10が終わった時点でマップ上に一枚でも日本軍ユニットが残っているなら、日本軍プレイヤーの勝利となる。マップに一枚も日本軍ユニットが存在しないならアメリカ軍プレイヤーの勝利である。
もちろん、ゲームターン10以前にすべての日本軍ユニットが除去されたなら、その時点でアメリカ軍プレイヤーの勝利である。本ゲームに引き分けはない。

ComsinWorld: 勝利条件を満たすために日本軍ユニットは必ずしも「Urban」ヘクスに存在する必要はない。ターン10の終わりに「Clear」へクスに一枚でも日本軍ユニットが存在するなら、日本軍プレイヤーの勝利となる。

[4.3] アメリカ軍のサドンデス勝利
 

ゲームターン3 (9-11 Feb) が開始されるよりも前に、「Pasing River」より北、「San Juan River」より西の範囲にいるすべての日本軍ユニットが除去されたならアメリカ軍プレイヤーの勝利となる。この範囲に含まれるへクスは2623、2923、3522、4123、4131、2830、3526などである。

デザインノート: マニラに立てこもった日本軍司令官は、マニラ市全体を守れると考えていた。そして最初の数日は、実際にそのように行動した。それゆえ、サドンデス勝利[4.3]がなければ通常の勝利条件[4.2]は成立しない。

 
[5.0] ゲーム手順
[5.1]

各ゲームターンはフェーズから成る。一度そのフェーズが終了したなら、プレイヤーは前のフェーズに戻って忘れていたことをやり直したり、取り消したりすることはできない。ただし相手方プレイヤーが許可した場合はこの限りではない。

[5.2]

常にアメリカ軍プレイヤーが先に行う。日本軍プレイヤーのターンが終えた時点で、ゲームターン記録マーカーをひとつ進める。

I. アメリカ軍ターン
  A. 増援/交替フェーズ
  B. アメリカ軍の移動/日本軍の防御側射撃フェーズ
  C. 攻撃側射撃フェーズ
II. 日本軍ターン
  A. 日本軍の移動/アメリカ軍の防御側射撃フェーズ
  B. 攻撃側射撃フェーズ
[5.3]

シークエンスの特徴

  日本軍に増援はない([7.0])。アメリカ軍の移動中に日本軍の防御側射撃が行われ、日本軍の移動中にアメリカ軍の防御側射撃が行われる。
[5.4] ゲームターン1、2における制限
 

ゲームターン1における第XIV軍団ユニットの移動力は8である。([3.4]、[3.5])
ゲームターン1および2においてアメリカ軍プレイヤーは、防御側射撃において、直接砲撃であるか間接砲撃であるかを問わず、いかなる「Urban」および「Heavy Structure」へクスも攻撃できない。さらに、ゲームターン1および2において、アメリカ軍プレイヤーは火炎放射器/ガソリン攻撃ができない([10.22])。
ゲームターン1および2においていずれのプレイヤーも、橋梁および「Heavy Structure」へクスを破壊することができない。([10.19] - [10.21])

デザインノート: 戦闘の初期段階において、マッカーサーはマニラ市を無傷で制圧すること、すなわちインフラストラクチュアを大きく破壊せず、住民に死傷者を出さないことを望んでいた。それゆえ[5.1]の制限が設けられている。しかし彼はそのコンセプトが間違いであることに気づき、ゲームターン3開始時にこの戦術上の制限を撤廃している。
同様に、戦闘の初期段階において日本軍はマニラ市を防衛できると信じていたため、それがもっとも容易にできた時期に橋梁や建造物の破壊を行わなかった。

[5.5] ゲームの終了
  サドンデス勝利([4.3])、もしくは通常の勝利条件([4.2])を満たした場合、ゲームは終了する。あるいはいずれかのプレイヤーが勝つ見込みがないと判断し降伏した場合も同様である。
 
[6.0] スタックと戦場の霧
[6.1] スタックとは同一へクスに二枚以上のカウンターを重ねて置く行為である。本ゲームにおいて、各プレイヤーは最大2枚まで同一へクスに自軍ユニットをスタックすることができる。スタック枚数を計算する場合、ユニットの戦闘力や編成にかかわらず、1ユニット1枚として数える。
[6.2] アメリカ軍のスタック
 

アメリカ軍は、たとえ一時的なものであっても、異なる師団ユニット([2.6])をスタックすることはできない。ただし師団ユニットと軍団ユニットはスタック制限[6.1]の範囲内で可能である。従って、アメリカ軍のスタック構成は、同じ師団のユニット二枚、師団一枚と軍団一枚、軍団二枚、のいずれかとなる。
(訳注: 支援空軍ユニットは日本軍ユニットの上に置かれるので、アメリカ軍地上ユニットとスタックすることはない。)

[6.3] 日本軍のスタック
  日本軍は、どのようなユニット同士でもスタック制限[6.1]の範囲内でスタックできる。ただし固定ユニットもスタックの枚数に含まれ、固定ユニット同士はスタックできない。すなわち、日本軍のスタック構成は、移動ユニット二枚、固定ユニット一枚と移動ユニット一枚のいずれかであり、固定ユニット二枚のスタックはできない。
[6.4] スタック制限は、ユニットの移動中にも適用される。すなわち、一時的なものであってもスタック制限を越えることになるなら、そのへクスへの移動はできない。ユニットは常に、一枚ずつ移動しなければならない。スタックでユニットを移動することはできない。もしルールに違反するスタックが発見された場合、非手番プレイヤーが、スタック制限に適合するまで余剰のユニットを選び除去するか、余剰ユニットを隣接するへクスに置いてよい。(除去するユニットや移動先へクスの選択は非手番プレイヤーが行う。)
[6.5] 戦場の霧
 

日本軍プレイヤーは、スタックしているアメリカ軍ユニットの中身を見ることはできない。アメリカ軍ユニットのデッドパイル(除去されたユニットの山)の中身を見ることもできない。日本軍プレイヤーが防御側射撃を行った時、対象となるアメリカ軍ユニットのスタックの中を調べることができる。アメリカ軍ユニットはゲーム中、常に表を上にして置く。
日本軍プレイヤーがユニットを初期配置([3.2])を行う時、すべてのユニットは裏面を上にして置く。裏面は、移動ユニットも固定ユニットも同じである。日本軍ユニットが攻撃を受けた場合、あるいは攻撃を行った場合、それがいずれの側の攻勢側射撃であるか防御側射撃であるかに係わらず、当該ユニット(スタック)はすべて表に返され、戦闘力がアメリカ軍プレイヤーにあきらかになる。一度表にした日本軍ユニットが再び裏返しになることはない。
一度表になった(戦闘力を明らかにした)日本軍スタックは、アメリカ軍プレイヤーがいつでもその中身を見ることができる。裏返しの日本軍ユニットやスタックは、どのような理由があってもアメリカ軍プレイヤーはその中身を調べることはできない。

デザインノート: アメリカ軍は空中偵察がいつでも可能であった。さらにフィリピンゲリラ・ネットワークからの情報も得られた。

 
[7.0] 増援と交替
[7.1] アメリカ軍
  アメリカ軍の増援ユニットは6枚の支援空軍ユニットであり、ゲームターン3の始まりから使用できる。支援空軍ユニットの使用方法は通常の戦闘ユニットとは異なる。[10.23]を参照。日本軍にはいかなる増援もない。
[7.2] アメリカ軍の交替ユニット
 

ゲームターン2を含むターン2以降の各ターンにおいて、アメリカ軍プレイヤーは、除去されたユニットの中から、各師団ごとに1枚、軍団ユニットの中から1枚を交替ユニットとしてマップに登場させることができる。
交替可能なユニットの未使用枚数は、累積せず移送もできない。

例: 前回ターンで交替ユニットを登場させなかった場合でも、その未使用の枚数を次のターンで通常の交替ユニット数にプラスして使用することはできない。あるいは、ある師団から交替ユニットを登場させない代わりに他の師団から2枚以上の交替ユニットを登場させることもできない。ターン2以降の各ターンでアメリカ軍が登場させることのできる交替ユニット数は最大4枚であり、各師団から1枚、軍団から1枚が上限である。
日本軍に交替ユニットはない。

[7.3] 交替ユニットの登場
  「A. 増援/交替フェーズ」において、アメリカ軍は、交替ユニットを、日本軍ユニットが隣接していないアメリカ軍ユニットの上に置くことができる。ただし、その交替ユニットと同じ師団ないし軍団ユニットの上でなければならない。
もしこの条件を満たすユニットが存在しない場合、そのターンに交替ユニットを登場させることはできない。プレイヤーは交替ユニットの登場を、後のフェーズやターンに遅らせることはできない。
[7.4] マップに置かれた交替ユニットは、直ちに、通常の移動力と戦闘力を持つ。
[7.5]

支援空軍ユニット(計6枚)は、ターン3のはじめから利用できる。詳細は[10.23]を参照。

 
[8.0] 移動
[8.1] ユニットは移動力を消費してへクスからへクスに移動する。各ユニットの移動力は16である。ひとつのユニットの移動を完全に終えた後でなければ、次のユニットは移動できない。
アメリカ軍ユニットが初期配置でマップに登場する時は師団、軍団のグループ別に移動しなければならないが、ゲームターン1を含むターン1以降は、この拘束は受けない。すなわちスタック制限の範囲内で、師団、軍団毎の区分なしに、好みのユニットを好みの順序で移動できる。
[8.2] そのへクスに入るのに十分な移動力がない場合、そのユニットはそのへクスに入ることができない。
[8.3] 日本軍の固定ユニットは、除去される場合を除いて、初期配置で置かれたへクスから動くことはできない([3.2])。
[8.4] ユニットはスタックしたまま移動できない。ユニットの移動は一枚ごとに行い、スタック制限[6.0]は、すべてのターンのすべてのフェーズにおいて適用される。
[8.5] それぞれのへクスには固有の移動力を消費する数が定められている。
[8.6] へクスサイド
 

いくつかの地形効果はへクスの辺上に描かれている。それらは、河川、Intramuros地域の壁、100m conter line、橋である。これらのへクスサイドを越えて移動する時、余剰の移動力を消費する場合がある。

例: 「Wall」へクスサイドを越えて「Heavy Structure」へクスに入る時に必要な移動力は1 + 3で4移動力となる。

[8.7]
  [8.8]の例外を除いて、「Major River」へクスサイドを渡るには、そこが「橋」へクスサイドであるか、工兵による浮橋が設置されていなければならない。橋のない「Minor River」へクスサイドを越えるには1移動力を必要とする。「橋」の描かれた「Minor River」へクスサイドは余剰の移動力を消費することなしに越えることができる。
[8.8] 第672上陸支援大隊
  第XIV軍団に所属する第672上陸支援大隊は、他のユニットが河川へクスサイドを渡ることを容易にする。
これを行うには、移動ターンのはじめに第672大隊は、渡河を支援するへクスの「Major River」もしくは「Minor River」へクスサイドに隣接していなければならない。さらに、同大隊の支援を受けて渡河を行う戦闘ユニット(一枚)は、そのターンがはじまる時に第672大隊とスタックしていなければならない。
この条件を満たす戦闘ユニットは、あたかもそこに橋があるかのように余剰移動力ゼロで河川を越えることができる。このようにして移動するユニットは通常の日本軍側防御側射撃闘の対象となる([9.0])。このユニットは渡河後も通常の移動を行うことができる。
第672大隊ユニットも、同じターンに通常の移動を行うことができ、余剰の移動コストを費やすことなしに河川へクスサイドを越えることができる。第672大隊の支援によって一ゲームターンに渡河できる戦闘ユニットの枚数は一枚が上限である。
[8.9] 浮橋
 

第XIV軍団に所属する三枚の工兵ユニット(第117、532、556工兵大隊)は浮橋を建設することができる。
これを行うには移動フェーズの開始時に工兵大隊は、浮橋を建設する「Major River」もしくは「Minor River」へクスサイドに隣接していなければならない。1枚の工兵大隊ユニットが1ターンで敷設できる浮橋の数は1である。工兵ユニットの置かれたへクスが複数の河川へクスサイドに隣接している場合、アメリカ軍プレイヤーは工兵ユニットの上辺を敷設する河川へクスサイドに正確に位置させ、どの河川に浮橋を敷設するかを明示しなければならない。
この条件が整った場合、そこに橋が敷設されたとみなされ、その移動フェーズ中、アメリカ軍ユニットは何枚でも、余剰の移動コストなしで当該河川へクスサイドを越えることができる。このようにして移動するユニットは通常の日本軍側防御側射撃闘の対象となる([9.0])。
浮橋は、そこに工兵大隊が存在する限り、その場所に存在し続ける。工兵大隊が戦闘によって除去された場合、その瞬間から当該浮橋は消滅する。
さらに、浮橋を敷設した工兵大隊ユニットには次の制限が加えられる。
浮橋移動を行っているフェーズ中、その工兵大隊ユニットはいかなる移動もできない。
工兵大隊ユニットが「Minor River」へクスサイドを越える場合、通常の余剰移動コストを費やさなければならない。
移動フェーズ開始時に「Major River」へクスサイドに隣接している工兵大隊ユニットは、対岸に移動できるが、このようにして移動した工兵ユニットは、それ以降、他の戦闘ユニットの渡河を容易にすることはない。

[8.10] 第672大隊の湾岸移動
  第XIV軍団に所属する第672大隊は、単独で、あるいは他の戦闘ユニットを載せて海上を移動することができる。
これを行うには、移動フェーズ開始時に第672大隊は「Coastal」へクスに存在しなければならず、その時、日本軍ユニットが隣接していてはならない。他の戦闘ユニットを載せて海上移動する場合、その戦闘ユニットもまた移動フェーズ開始時に第672大隊とスタックしていなければならない。
この条件を満たす第672大隊(スタック)は、移動フェーズ中に一回、他の「Coastal」へクスに移動力消費ゼロで移動できる。ただし、移動先の「Coastal」へクスに隣接するへクスに日本軍ユニットが存在してはならない。
海上移動を行った第672大隊は、そのフェーズ中、その「Coastal」へクスから移動できない。スタックされた戦闘ユニットは、通常の移動を行うことができる。このようにして移動するユニットは通常の日本軍側防御側射撃闘の対象となる([9.0])。
[8.11] 100m Contour Line
  「100 Meter Contour Line」へクスサイドを越えるユニットは、移動の方向がいずれからのものであっても+1の移動力を消費する。
[8.12] Rubble (残骸)
  「Rubble」マーカーが置かれたへクスは、そのへクスの移動力に加えて+1の移動力を消費する。「Rubble」マーカーは戦闘後移動の妨げとならない([10.20)]。
「Rubble」マーカーは射線 (LOF) の遮蔽物となる([10.8])。
[8.13] 侵入禁止のへクス
 

[8.10]の例外を除いて海のへクスにユニットは入ることができない。しかし射線 (LOF) を通すことはできる。

[8.14] 敵ユニットの占めるへクスに自軍ユニットを入れることはできない。ただし、アメリカ軍支援空軍ユニットは日本軍の占めるへクスの上に置くことができ、[10.23]に記す攻撃を行うことができる。
 
[9.0] 防御側射撃 (Diffensive Fire)
  デザインノート: このルールを初めて読む場合、このセクションを飛ばして残りのルールに目を通してからここに戻ることをお勧めする。防御側射撃のルールがここに記されている理由は、それがゲームターンの順番だからである。
[9.1] 防御側射撃は、相手方プレイヤーの移動フェーズで行う。防御側射撃は、敵ユニットが味方ユニットに隣接するへクスに入った時発生する。どのような防御側射撃も自発的なものである。以下、防御側射撃を行うことができる戦闘ユニットをDFCユニット (Defensive-fire-capable unit) とする。DFCユニットが一回の相手方移動フェーズの中行える防御側射撃の回数に制限はない。
[9.2] 手順と制限
 

[10.0]に記した通常の攻撃と同じである。ただし次の変更がある。
非手番プレイヤーは、相手方ユニットが移動の過程で、自軍のDFCユニットに隣接するへクスに入った時、「防御側射撃を行う。」旨宣言することができる。
宣言された手番プレイヤーは直ちにそのユニットの移動を中断しなければならない。
防御側射撃は移動中の敵ユニットだけに対して行う。戦闘結果は、移動を中断したユニットが存在するへクスで判定する。もし移動を中断したへクスに、他の敵ユニットがいる場合、そのユニットは防御側射撃の対象とならず、何の影響を受けない。
条件が許すなら、移動ユニットは移動中に何度でも防御側射撃を受ける。

例: 手番プレイヤーがユニットを移動させる時、相手方ユニットに隣接する6つのへクス全部移動させて一周させるつもりなら、その移動ユニットは同一の敵ユニットから6回防御側射撃を仕掛けられる。
手番プレイヤーのユニットが、複数の敵ユニットに隣接するへクスに移動した場合、非手番プレイヤーは、すべてのDFCユニットの戦闘力を合計して防御側射撃を行う。DFCユニットがスタックしている場合も同じである。

[9.3] DFCユニットとならないユニット
 

次のユニットは防御側射撃を行うことができない。

  • 日本軍の固定ユニット
  • アメリカ軍の砲兵、支援空軍ユニット

次のユニットは防衛側射撃を受けることがない。

  • 日本軍の固定ユニット
  • アメリカ軍支援空軍ユニット

上記のDFCユニットとならないユニットとスタックしているDFCユニットは、単独で防御側射撃を行うことができる。(非DFCユニットはDFCユニットを無効にしない。)
アメリカ軍の砲兵ユニットは移動の結果、日本軍からの防御側射撃を受ける。[9.5]

[9.4] 防衛側射撃で使用できないユニット
  [9.2][9.3]の制限に加えて、それがDFCユニットであるか否かにかかわらず、敵ユニットに隣接していないユニットは防御側射撃を行うことができない。言い換えるなら、隣接していないユニットで防御側射撃を支援することはできない。
[9.5] 防御側射撃のDRM
  DRM(Die Roll Modifires)とは戦闘結果判定を行う際のダイスの目の修正値である。次の一般的なルールがある。
  • すべての防御側射撃は自動的に -1 のDRMが発生する。
  • 移動ユニットがアメリカ軍砲兵である時、上記とは別途に -2 のDRMが発生する。
  • 防御側射撃を受けたへクスに、既に別の自軍ユニット(移動側のユニット)が存在する場合、別途 +1のDRMが発生する。
  • これとは別に[10.12]に記載したすべてのDRMが累積的に加算される。
[9.6] Rubble (残骸)、近接戦、戦闘後前進の非適用
  防御側射撃の結果Rubbleマーカーが置かれることはなく([10.20])、近接戦が行われることもなく、戦闘後前進もない([10.17])。
 
[10.0] 攻勢側射撃 (Offensive Fire)
[10.1] 攻撃フェーズにおいて、手番プレイヤーは自軍ユニットの「レンジ」内にある敵ユニットを攻撃することができる。
戦闘結果は、攻撃側の攻撃力を合計し、ダイスを振って出た目をCRT (戦闘結果表) で参照して判定する。DRMがある場合、ダイスの目はその修正を受ける。
戦闘ユニットは最大二種類の戦闘を行なうことができる。相手方移動フェーズにおける「防御側射撃」と自軍攻撃フェーズにおける「攻勢側射撃」である。
以下、どちらが手番プレイヤーであるかにかかわらず、攻撃を行なう側を「攻撃側」とし、防御側を「防御側」とする。攻撃を行なうへクスを「ターゲットへクス」とする。
[10.2] 制限
  どのような攻勢側射撃も自発的なものである。攻撃側の各ユニットが攻撃フェーズで行なうことのできる攻撃は一回である。攻撃を行なうユニットの選択と順番は攻撃側が決める。
攻撃側は、攻撃フェーズの中で、どのユニットが攻撃しどのユニットが攻撃しないかを最初にあきらかにする必要はない。(戦闘結果を解決しながら、次の攻撃を決めてよい。)
どのユニットが攻撃を終えたかを明確にするためには、攻撃を終えたユニットを180度回転させるなどすればよい。
ターゲットへクスは常にひとつである。ターゲットへクスには一枚以上の敵ユニットが存在しなければならない。ただし、Rubbleおよび橋梁の破壊は例外である([10.19]、[10.20]、[10.21])。攻撃において、ターゲットへクスに複数の敵ユニットが存在する場合、戦闘結果はすべての敵ユニットに等しく適用され、「除去」の場合、ターゲットへクスのすべてのユニットが除去される。 (防御側射撃による戦闘結果はこの例外である。防御側射撃の戦闘結果は、移動中の敵ユニットに対してのみ適用する。[9.2])
[10.3] 手順
 
  1. 手番プレイヤーはターゲットへクスを決め、攻撃を行う自軍ユニット(複数可)を指定する。
  2. 攻撃側のユニットの戦闘力を合計する。
  3. CRTで該当するコラムを参照し、振ったダイスの目の戦闘結果を適用する。ダイスの目は判定前にDRMの修正を受ける。

戦闘結果は直ちに適用されなければならない。本ゲームでは防御側の戦闘力は考慮されない。

[10.4] 複数のユニットによる攻撃
  複数のユニットで攻撃する場合、それぞれの攻撃ユニットは、それぞれの「レンジ」内にターゲットへクスを捉えていなければならない。(訳注: ターゲットへクスがレンジ外にある場合、そのユニットは攻撃に参加できない。)
アメリカ軍の場合、攻撃するグループは同一師団のユニットでなければならない。軍団ユニットはひとつの師団グループと一緒に攻撃に参加できる。
[10.5] 一回の攻撃フェーズの中で、同じターゲットへクスが二度攻勢側射撃を受けることはない。(訳注: 攻撃は一ターン一回まで)
[10.6] レンジ
  各戦闘ユニットには固有の「レンジ」が与えられている([2.5])。この数はターゲットへクスとの間の有効へクス数に相当し、攻撃は「レンジ」内の敵ユニットにたいしてのみ行なうことができる。レンジ数を数える場合、ターゲットへクスはカウントするが攻撃側ユニットが存在するへクスは数えない。
例: 2202の攻撃ユニットが2206をターゲットへクスとする場合、距離は4へクスと数える。「レンジ」数と等しい距離のへクスは攻撃できるが、「レンジ」数を越えるへクスは攻撃できない。
[10.7] 射線(LOF)と遮蔽物
  隣接する敵ユニット (「レンジ1」の敵ユニット) は、どのような場合でも攻撃できる。
隣接していない敵ユニット (すなわち「レンジ2」以上の敵ユニット) を攻撃するには、攻撃側の占めるへクスとターゲットへクスとの中間の、すべてのへクスに射線(LOF)が通らなければならない。LOFは攻撃側へクスの中心とターゲットへクスの中心を結ぶ直線であり、もしこの直線が遮蔽物となるへクス[10.8]の上を通る場合、ユニットはそのターゲットへクスを攻撃できない。攻撃側ユニットの占めるへクスおよびターゲットへクスそのものの地形は遮蔽物とはならない。
[10.8] 遮蔽物となるへクス
  「Urban」と「Heavy Strucure」へクスは遮蔽物である。Rubberマーカーが置かれた「Urban」と「Heavy Strucure」へクスもまた遮蔽物である。戦闘ユニット自身と「Rubble」マーカー以外のマーカーは遮蔽物とはならない。
[10.9]

Intramuros地域の「Wall」へクスは、「内部」を攻撃する時は遮蔽物とはならないが、攻撃側がとれだけの「レンジ」を持っていても、またどちらの側からの攻撃であっても、反対側の「Wall」へクスサイドを越える攻撃、すなわち「外側」への攻撃はできない。3821、3822、3921、3922へクスの内側が上記「内部」であり、それ以外のへクスはすべて上記「外側」である。

[10.10] 「100m Contour Line」へクスサイドは、どの方向から攻撃しても、どのレンジで攻撃しても遮蔽物とはならない。「100m Contour Line」へクスサイドで囲まれたエリアは(1805、1812、2120、1723、1633など)は一律に他のエリアより高い。[10.12]の通り、たとえば2224から1924を攻撃する場合、+1のDRM修正を受ける。
[10.11] DRM
 

DRMの効果は累積的であり、適合するすべての数字を合算してダイスの目に加える。注意しなければならないのはDRMはダイスの目に対する修正であり、戦闘力に対する修正ではないことである。

例: 8戦闘力のユニットが攻撃を行い、DRMが+2である場合、参照するCRTのカラムは"≦9"である。ダイスの目が2である場合、DRMの修正を受けてCRTで参照するダイスの目は4となる。DRMは正の値にもなり負の値にもなる。正の値は防御側に有利で負の値は攻撃側に有利である。

[10.12] DRMの表
 

最後のものを除いて、この表のDRMは攻勢側射撃にも防御側射撃にも適用される。

+1 戦闘が行われるへクスが「Uraban」である時
+2 戦闘が行われるへクスが「Heavy Structure」である時
+1 Rubbleマーカーのある「Uraban」、「Heavy Structure」へクス(上記に加算する)
-1 攻撃側ユニットが「100m Conter Line」の内側(高台側)であり、戦闘が行われるへクスが「100m Conter Line」の外側である時
+1 攻撃側ユニットが「100m Conter Line」の外側(低地側)であり、戦闘が行われるへクスが「100m Conter Line」の内側である時
+1 攻撃(近接攻撃を含む)が「Wall」の外側から行なわれ、戦闘が行われるへクスがその内側である時
+2 防御側が「装甲」ユニットで、攻撃側に一枚も「対装甲」ユニットがない時
+1 「橋」へクスサイドを通じての近接攻撃、もしくは第672大隊の支援による「Major River」へクスサイドを通じての近接攻撃
+2
「橋」のない「Minor River」へクスサイドを通じての近接攻撃
+1
日本軍の対空ユニットから2へクス以内に行なわれた、アメリカ軍支援空軍ユニットによる攻撃
-1 ターゲットへクスに隣接するCACユニット(複数可)の戦闘力の合計が、攻撃側の半分もしくは半分以上の戦闘力である場合 (ターゲットへクスに隣接するCACユニットが存在するへクス(複数)はすべて対象となる。)
   
-2 近接攻撃でアメリカ軍が火炎放射器/ガソリン攻撃を行なった場合(防御側射撃では適用しない)

ComsinWorld: 「日本軍対空ユニットによる +1 のDRM修正」は、攻撃するアメリカ軍側に支援空軍ユニットが存在しない場合、適用されない。「攻撃側の半分以上の戦闘力がCACユニットである場合の-1のDRM修正」の計算には、支援空軍ユニットも含まれる。

[10.13] レンジDRM
  レンジDRMは、次の二種類がある。レンジDRMは攻勢側攻撃のみに適用され、防御側攻撃では使用しない。なぜなら、防御側攻撃は常に「レンジ1」で行われるからである。

+1 2〜4へクスのレンジ
+2 5へクスを含む5へクス以上のレンジ

上記レンジDRMは[10.12]のDRMに加算される。「5へクスを含む5へクス以上のレンジ」が適用される場合、「2〜4へクスのレンジ」は適用されない。(適用する場合は上記のいずれかが適用され、両方を適用することはない。)
複数のユニットが攻撃に参加している場合、その戦闘において一番長いレンジのユニットのレンジDRMを適用する。

ComsinWorld: レンジDRMが表すものは、遠距離射撃による弾道の歪みだけではない。敵部隊に近接している味方ユニットと砲兵の連携の困難さも表現している。砲撃された場所の視界は煙で遮られ、瓦礫で歩行は困難になるからである。
ComsinWorld: 支援航空ユニットはレンジDRMの適用外である。
ComsinWorld: レンジDRMは、戦闘に参加するユニットの枚数分適用されるのではない。例: 三枚のレンジ3の砲兵ユニットがあってもその戦闘に適用されるレンジDRMは+1であり、+3ではない。

[10.14] 装甲ユニットDRM
  ターゲットへクスのユニットが装甲ユニットである場合、あるいはターゲットへクスのスタックの中に一枚以上の対装甲ユニットが含まれる場合、攻撃側は+2のDRM修正を受ける。ターゲットへクスの装甲ユニットの枚数が一枚であっても二枚であってもDRMは+2である。
ただし攻撃側ユニットに一枚以上の対装甲ユニットが存在する場合、このDRMは無効となり+2のDRM修正は適用されない。
[10.15] 防御側のスタック
  スタックしているユニットが攻勢側射撃を受ける場合、スタックしているユニットは一枚のユニットとして扱う。スタックしている二枚のうちいずれかのユニットがDRMの条件に適合するなら、もう一枚のユニットがそのDRMの対象とならない場合でも、そのDRMは適用される。
[10.16] 戦闘結果
  戦闘結果は「除去」"E"と「無効」"-"の二種類がある。「除去」の判定となったユニットは盤外に置く。「無効」となったユニットには何も影響が生じない。
[10.17] 近接攻撃と戦闘後前進
 

近接攻撃を行うことができるユニット(以下Close Assult Capable、CACユニット[2.11]とする)が一枚以上、攻撃対象となっている敵ユニット(もしくはスタック)に隣接している時、これらのCACユニットは戦闘後前進を行うことが可能である。
近接攻撃は、攻撃側のオプションであり行わなくてもよい。通常の方法で戦闘結果を求め、結果が「E」である場合、戦闘に参加したCACユニット(複数)は、除去されて敵ユニットがいなくなったへクスに入ることができる。これを「戦闘後前進」とする。
戦闘後前進を行うかどうかは、攻撃側が決定することができ、強制ではない。しかし、しかし戦闘後前進を行なう場合、次の戦闘結果の判定が出る前でなければならない。
戦闘後前進は移動力を消費しない (移動コストはゼロ)。
防衛側射撃において、近接攻撃と戦闘後前進は発生しない。
戦闘後前進の結果、防御側射撃が発生することはない。

[10.18] 河川と橋梁
  「Major River」へクスサイド越しの戦闘の場合、「橋」へクスサイド・浮橋・第672上陸支援大隊の場合を除いて、近接攻撃および戦闘後前進を行なうことはできない。「橋」へクスサイド・浮橋・第672上陸支援大隊による「Major River」へクスサイド越しのCACユニットを含む戦闘の場合、DRMの修正を受ける場合がある。([10.12])
「Minor River」へクスサイド越しの戦闘の場合、橋がある場合でもない場合でも、近接攻撃および戦闘後前進は可能だがDRMの修正を受ける場合がある。([10.12])
[10.19] 橋梁の破壊
 

ゲームターン3を含むターン3以降において、プレイヤーはマップに印刷された「橋」へクスサイドの橋を破壊することができる。
橋梁の破壊は攻勢側射撃フェーズで行い、次のDRM修正を受ける他は通常の戦闘結果と同じ方法で行なう。(適用されるDRMは以下だけであり、その他のDRMは適用されない。)

-2 攻撃側ユニットに工兵ユニットがある場合、1枚ごとに-2
+1 攻撃側ユニットの中に、橋へクスサイドに隣接していないユニットが存在する場合、その枚数に係わりなく+1
+1 敵ユニットが橋のいずれかの端のへクスに存在する時
+2 敵ユニットが端の両端のへクスに存在する時

戦闘結果が「E」である時、その橋は破壊され、「橋梁破壊」マーカーをその上に置く。

[10.20] 瓦礫(Rubble)
  戦闘結果で「E」が出た場合、攻撃側プレイヤーはダイスを一回振り、ダイスの目が6である時、ターゲットへクスにRubbleマーカーを置く。このダイスはいかなるDRMの修正を受けない。

Rubbleマーカーは戦闘後前進([10.17])および火炎放射器/ガソリン攻撃([10.22])にいかなる影響も及ぼさない。(しかしRubbleマーカーのあるへクスでの戦闘はDRMの修正を受ける。[10.12])
「Urban」「Heavy Structure」へクスのRubbleマーカーは、その後行なわれる戦闘のDRMに影響する。([10.12])
一度置いたRubbleマーカーはゲームの終わりまで除去できない。
どのような戦闘が行なわれても同じへクスに二枚上のRubbleマーカーが置かれることはない。

[10.21] 建造物の破壊
 

ゲームターン3を含むターン3以降において、プレイヤーは「Urban」「Heavy Structure」へクスの建造物を破壊し、Rubbleマーカーを置くことができる。
建造物の破壊は攻勢側射撃フェーズで行い、次のDRM修正を受ける他は通常の戦闘結果と同じ方法で行なう。(適用されるDRMは以下だけであり、その他のDRMは適用されない。)

-2 攻撃側ユニットに工兵ユニットがある場合、1枚ごとに-2
+1 建造物の破壊攻撃を行なうすべてのユニットが、対象へクス(「Urban」もしくは「Heavy Structure」へクス)に隣接していない時
+1 対象へクスが「Heavy Structure」である時

戦闘結果が「E」である時、その建造物は破壊され、Rubbleマーカーをその上に置く。

[10.22] 火炎放射器/ガソリン攻撃 (FGA)
 

ゲームターン3を含むターン3以降において、アメリカ軍プレイヤーは、「Urban」もしくは「Heavy Structure」へクスに対し、火炎放射器/ガソリン攻撃(FGA)を行なうことができる。これを行なうには次の条件を満たす必要がある。

  • 攻撃に参加しているユニットの中に少なくとも二枚以上のCACユニットが存在すること
  • それらのCACユニットがターゲットへクスに隣接していること
  • さらに、それらのCACユニットがターゲットへクスを挟んで正反対の位置にあること

例: ターゲットへクス3228に対する攻撃で、一枚のCACが3227に存在するなら、もう一枚のCACユニットは3229に存在しなければならない。
上記の条件を満たすなら、FGAに加わるその他の攻撃側ユニットは、それがCACであるか否かにかかわらず、どこに置かれていてもよい。
FGAでは-2のDRMの修正を行なう。ターゲットへクスにRubbleマーカーが存在する場合でもFGAを行うとができる。ただしその場合でも[10.12]に定めたRubbleマーカーによるDRMの修正は適用される。

デザインノート: 実際の戦闘では、アメリカ軍は最初に火炎放射器で日本兵を建造物の中に追い込んだ。その後にドラム缶に入ったガソリンを持ち込んで、天井や壁の穴から流し込み、放火した。FGAは手間のかかる攻撃だった。それゆえCACユニットがターゲットへクスを取り囲むように置くルールとした。

[10.23] アメリカ軍支援空軍ユニット
 

ゲームターン3を含むターン3以降から、アメリカ軍プレイヤーは、支援空軍ユニットによる攻撃ができる。
6枚付属する支援空軍ユニットは、それぞれ一ゲームターン中一回を上限に、攻勢側射撃の中で使用する。支援空軍ユニットはマップ上のどこでも攻撃でき、戦闘によって破壊されることはない。(ただし、日本軍の対空砲DRMの修正は受ける。[10.12])
支援空軍ユニットを使う時は、これを日本軍ユニットの上に置けばよい。支援空軍ユニットは、支援空軍ユニット(複数)だけでも攻撃を行うことができ、あるいは他の支援空軍ユニットや戦闘ユニットと一緒に攻撃を行うこともできる。一回の攻撃で使用できる支援空軍ユニットの数に制限はない。(訳注: 1ターン6枚の制限内であれば一度に何枚使用してもよい。)

ComsinWorld: 近接攻撃と支援空軍ユニットを一回の戦闘の中で同時に使用することは、何ら問題はない。1へクス5kmのゲームスケールを考えるなら、同じへクスに空爆と近接攻撃を同時に行うのはありえないように見える。しかし、1ターンが3日であることから、地上部隊が一時的に撤退した時に空襲が行われる、と解釈できるからである。

 
[11.0] 間接砲撃
[11.1] 間接砲撃のシンボルが印刷された砲兵ユニットは間接砲撃を行うことができる。間接砲撃によって、通常は射線(LOF)が遮られ砲撃できないへクスを砲撃することができる。
[11.2] 間接砲撃は、どのような種類の地形によっても遮られない点を除いては、通常の攻勢側射撃と同じ方法で行う。同一の戦闘の中で、間接砲撃と直接砲撃を混ぜて行うことができる。
アメリカ軍の間接砲撃は、それがレンジ内であるなら、マップ上のどこにでも行うことができる。日本軍が間接砲撃を行う場合、ターゲットへクスが他の日本軍ユニット(以下スポッティングユニットとする)のレンジ内でなければならない。スポッティングユニットは、その戦闘に参加しているユニットでも、戦闘に参加していないユニットでもよい。スポッティングユニットが現在の戦闘に参加していない場合、そのユニットは後に他の戦闘を行なうことができる。スポッティングユニットが現在の戦闘に参加している場合、スポッティングユニットの戦闘力も攻撃側の戦闘力に加える

 
  マップのエラッタ
 

戦闘結果表の「9以下 <」の記号は「≦」である。戦闘結果表の「50以上 >」の記号は「≧」である。
“Non-cumulative Range DRM for Offensive Fire”の“+2”のラインは“If firing at a target five or more hexes away.”が正しい。


地形   移動コスト 射線の遮蔽 (LOF) DRM
Clear 1 - 0
Urban 2 遮蔽物となる +1
Heavy Structure 3 遮蔽物となる +2

Airfield 1 - 0

100m Counter Line +1 条件によって遮蔽物* +1か-1**
橋のないMajor River 通行不可 - 近接攻撃不可
橋のないMinor River +1 - 近接攻撃の時+1
0 - 近接攻撃の時+1
海岸および海 [8.10][8.13] 他の地形による 他の地形による
Rubbleマーカー +1 遮蔽物となる +1***
Wall +1 [10.9] [10.12]


*「100m Conter Line」の内側(高台側)への攻撃の時、「100m Conter Line」へクスサイドは遮蔽物とならないが、攻撃ユニットが「100m Conter Line」の外側(低地側)である時、「100m Conter Line」を超えて反対側の「100m Conter Line」の外側(低地側)を攻撃する場合、「100m Conter Line」は遮蔽物となる。[10.11]

**攻撃側ユニットが「100m Conter Line」の内側(高台側)であり、ターゲットへクスが「100m Conter Line」の外側である時-1、攻撃側ユニットが「100m Conter Line」の外側(低地側)であり、ターゲットへクスが「100m Conter Line」の内側である時+1[10.12]
***このDRMは、そのRubbleマーカーが置かれているへクスのDRMに加算される。

ComsinWorld: 「Urban」と「Heavy Structure」は別々の地形であり、「Urban」へクスの上に「Heavy Structure」が乗っているのではない。すなわち、「Heavy Structure」の+2のDRMが適用されるなら、「Urban」の+1のDRMが適用されることはない。それゆえ、一般にDRMの適用は累積されるが、「Urban」と「Heavy Structure」のDRMが同時に適用されることはない。



忘れやすいルール
 
  • 日本軍の間接射撃の時のみ、スポッティングユニットを必要とする。[11.0]
  • 2へクス以内に日本軍に対空ユニットがある場合の支援空軍ユニットの攻撃は+1のDRM。[10.20]
  • 戦闘後の「Rubble」判定。[10.20]
  • 攻撃に加わるユニットの半分以上がCACである場合の-1 DRM。[10.12]
DRMまとめ
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+1 戦闘が行われるへクスが「Uraban」である時
+2 戦闘が行われるへクスが「Heavy Structure」である時
+1 Rubbleマーカーのある「Uraban」、「Heavy Structure」へクス(上記に加算する)
-1 攻撃側ユニットが「100m Conter Line」の内側(高台側)であり、戦闘が行われるへクスが「100m Conter Line」の外側である時
+1 攻撃側ユニットが「100m Conter Line」の外側(低地側)であり、戦闘が行われるへクスが「100m Conter Line」の内側である時
+1 攻撃(近接攻撃を含む)が「Wall」の外側から行なわれ、戦闘が行われるへクスがその内側である時
+2 防御側が「装甲」ユニットで、攻撃側に一枚も「対装甲」ユニットがない時
+1 「橋」へクスサイドを通じての近接攻撃、もしくは第672大隊の支援による「Major River」へクスサイドを通じての近接攻撃
+2
「橋」のない「Minor River」へクスサイドを通じての近接攻撃
+1
日本軍の対空ユニットから2へクス以内に行なわれた、アメリカ軍支援空軍ユニットによる攻撃
-1 ターゲットへクスに隣接するCACユニット(複数可)の戦闘力の合計が、攻撃側の半分もしくは半分以上の戦闘力である場合 (ターゲットへクスに隣接するCACユニットが存在するへクス(複数)はすべて対象となる。)
   
+1 2〜4へクスのレンジ
+2 5へクス以上のレンジ
   
  攻勢側射撃のみ
 
-2 近接攻撃でアメリカ軍が火炎放射器/ガソリン攻撃を行なった場合
   
  防御側射撃のみ
 
-1 すべての防御側射撃は自動的に -1 のDRMが発生
-2 移動ユニットがアメリカ軍砲兵である時 (上記とは別途発生)
+1 防御側射撃を受けたへクスに、既に別の自軍ユニット(移動側のユニット)が存在する場合
   

 


ゲーム・サマリー
タイトル Manila'45: Stalingrad of the Pacific
デザイナー Joseph Miranda
メーカー Decision Games
発売  2007年
価格 22ドル

ゲームシークエンス 移動後に攻撃
戦闘発生  ユニットのレンジ
攻撃発生 MAYアタック
ZOC なし
味方ユニットとのスタック 2枚
敵ユニットのヘックスへの進入 不可 (例外なし)
イニシアチブ ×
戦闘結果 除去
砲爆撃支援
航空支援
航空戦 ×
水上戦 ×
補給ルール ×
コマンド・コントロール ×
気象ルール ×
増援ルール
勝利条件 日本軍ユニットの完全除去

ユニットスケール 大隊、中隊
ターンスケール  1ターン3日
マップスケール 1ヘックス0.3マイル (5km)
シナリオ数 1
ユニット数

130

マーカー数 16
マップ ハーフマップ1枚
別紙チャート なし
英文ページ数 14ページ
類似ルール なし

ComsinWorld

Clarification: The "3" on the US aircraft units it their game turn of arrival; the "10" is their combat factor.

A thing to keep in mind about the range modifiers: it's not just about ballistics over distance. They also represent the difficulty inherent in coordinating such fires with closer-in units when operating in conjested, smoke-filled, built-up, urban terrain.

"+1 Anti-Aircraft Fire" Don't forget, this applies only if the US is attacking with air strikes.

Question: While I understand that the combat modifiers are cumulative, I didn't think the urban modifier was cumulative with the built-up modifier. I saw it as being in one hex (urban) or the other (built-up) and hence the modifier is either +1 or +2, but not +3 (for both). Did i miss a rule? Is terrain cumulative as well?
Answer: You are correct: "Urban" is one kind of terrain, which has its own fire modifier DRM; "Heavy Structure" is another kind terrain, which has its own fire modifier DRM.

Question: Just a quick question to verify - Is airpower allowed to support a close assault combat? I'm thinking yes, but the close proximity of friendlies at this scale might make that dicey. Hard to bomb the enemy with your own troops crawling over the same rubble.
Answer: The combat system in the game, though, presents that as part of the accumulation of fire power brought to bear against a hex over an entire, unitary, three-day period. In reality, though, at some time(s) during those three days, word goes out from the HQ handling the attack or close assault: "The planes are set to hit at 1400 hours. Everybody break off and fall back 100 meters at 1350."

Question: Air power support close combat
"-1 if half or more of the attack force comes from CAC units adjacent to the target."
It doesn't seem right to loose this when you add air support. Shouldn't this only apply to the ground attack?
Answer: A lot of this represents coordination issues. You have to choose between going in with close assault for the better die roll, or piling on more firepower to get the higher column.

Question: "[10.13] If different units are firing at different ranges in the same offensive fire, the longest of those ranges applies to all the firing units in that combat."
When you count the number of "the firing unit", and if US Air Support markers are also participated in the combat, should you include the number of air markers for "the firing unit" counting?
Answer: When it comes to picking your range DRM: you pick one -- the one for the longest range involved in that combat -- and apply it. You do NOT use one range modifier for every range involved in that battle.