DOWNFALL:
If the US invaded Japan, 1945
Strategy & Tactics #330ルール日本語訳 第1版 2005年8月2日
(本日本語訳はDecision Games社の許可を得て公開しています。)

翻訳において、原文で統一されていない用語は可能な限り統一しました。統一されていない用語とは、combat value、combat factor、"to hit" number、Corps support artillery、Corps support units、capture、control、activate、commandなどです。しかし、翻訳の一部においては意図的に統一されていない用語を残している部分があります。どう考えても冗長と思われる部分は簡易な表現に改めました。翻訳の間違いなどありましたらご指摘下さい。

Original game components such as a map, units, rules of the game and charts are necessary to play this game.

目次

1.0 はじめに
2.0 ゲームコンポーネント
3.0 セットアップ
4.0 勝利条件
5.0 ゲーム・シークエンス
6.0 非通常兵器セグメント

7.0 コマンドポイント (CP)
8.0 増援と補充
9.0 補給
10.0 スタック
11.0 ZOCとヘックスの支配
12.0 移動
13.0 戦闘
14.0 戦闘力の修正
15.0 オプションルール

 


1.0 はじめに
1.1 総合

「DOWNFALL: If the US invaded Japan, 1945」(以下、「DF」とする)は、1945年の第四四半期に予定され、実施されなかった日本本土の九州への米軍上陸作戦をシミュレートする。実施されなかった作戦のX-Dayの初日から三十日目までをゲームデザインするに際し、歴史的事実の詳細と分析による類推を行なった。
プレイヤーのひとりは連合軍の司令官を演じ、もう一方のプレイヤーは日本軍を受け持ち防衛戦を行う。攻勢の主体はアメリカ軍だが、両プレイヤーとも島の地形を利用し敵部隊を壊滅させることで勝利をめざす。一回のゲームは2〜4時間で終わり、ソロプレイにも適している。

1.2 ゲームスケール
1ヘックスは4.4マイル(約7キロ)、1ゲームターンは1日。各ゲームユニットは、師団もしくは師団相当、あるいは旅団をあらわし、個々のユニットは、5,000〜20,000名の兵士と50〜350両の装甲車両に相当する。


2.0 ゲームコンポーネント
2.1 総合

完全な「DF」のゲームコンポーネントは、ルールブック、マップ一枚、88個のカウンターから成る。

2.2 ダイス
戦闘結果やその他の確率的イベントを求めるため、各プレイヤーに10面ダイスがひとつ必要である。10面ダイスはゲームショップで安く販売されている。(10面ダイスの「0」は「10」と解釈する。)
あるいは、1〜10の数字が印刷されたゲーム付属のチットを、コーヒーカップなどの間口の大きい容器に入れ、これを無作為に引くことで10面ダイスの代用にしてもよい。いちど引いたチットは、次のチットを引く前に容器の中に戻し、よくかき混ぜておくこと。6面ダイスを使う場合、ルールの15.5を使用して10面ダイスの代用とすることができる。
それと別に、ゲームでは6面ダイスを使用する場面があるので、いずれにせよ6面ダイスも必要である。

2.3 マップ
ゲームマップは1945年の九州の南側をあらわし、ユニットの配置と移動を制限するヘックスが描かれている。ユニットは、常にいずれかのヘックスの中に置かなければならない。ヘックスには移動や戦闘に影響を及ぼす自然もしくは規制情報が描かれて いる。
ヘックスに描かれた自然もしくは規制情報は、ヘックスグリッドに一致させるために実際のものより多少位置が変更されている。しかし、それら情報の相関関係は、実際のキャンペーンが行われた場合、実際の司令官が遭遇したであろう空間と時間のジレンマを表現するのに十分な正確性を持っている。
それぞれのヘックスには4桁の数字が印刷されている。これらの数字は特定のヘックスを容易に参照するためのものであり(たとえば、ヘックス2010は「Kanoya」である。)、ゲームを中断しなければならない時、ユニットの位置を記録することができる。

2.4 ユニット
ほとんどのユニットは、実際のキャンペーンで予定されいた部隊編成である。それと別に、情報マーカーや記録用マーカーが付属している。ルールを読んだ上で、カウンターを枠からはずすこと。犬の耳 (カウンターとカウンターのつなぎ目だった部分。枠から外した後もカウンターから突き出ているもの。原文"Dog ears")は、市販の爪切りで取り除くのが簡単で、ゲーム中のユニットの扱いやスタックがやりやすくなる。

2.5 戦闘ユニットの例
図のユニットは、米軍第1軍団第25歩兵師団である。黒丸の「2」は2段階のステップロス値を持つことを表し、戦闘力は「5」である。このユニットはゲーム開始時、ヘックス2621に置く。

デザイン・ノート
他のウォーゲームと異なり、「DF」ではユニットに移動力を印刷していない。詳細はルール12.0を参照。

2.6 ユニットタイプ
それぞれの師団ないし旅団ユニットは、図(英文ルールブック参照)のいずれかのタイプに分類される。特にルール上の指示がない限り、これらのタイプは歴史的興味のためのものでしかない。

2.7 ユニットの国籍
ユニットの国籍は、ユニットの色で識別される。アメリカ軍の場合、ユニットの色はまた、より上位の編成の違い、すなわち、軍団を表すために用いられている。日本軍もまた、より上位の編成の違いを表すためにカラースキーム (色による識別)が用いられている。

米軍のカラースキーム
予備役部隊
第1軍団
第5軍団
第9軍団
第11軍団

日本軍カラースキーム
陸軍第36軍
陸軍第56軍
その他

2.8 歴史的識別
個々のユニットには、識別用の番号およびアルファベットの略語が印刷されている。これらは歴史的興味のためのものだが、一部はルールの中で用いられる。

Am アメリカル師団
6/ASCO 第6陸軍戦務支援コマンド・オリンピック作戦 (6th Army Service Command, Olympic)
BPF 英太平洋艦隊
C 騎兵師団
Rsv 予備役部隊

2.9 マーカー
マーカーの使用方法は、それぞれのルール該当箇所に記載の通り。

2.10 戦闘力
戦闘力は、ユニットにもっとも大きな数字で印刷されており、敵部隊との交戦力をあらわしている。(ルール13.0)

2.11 師団と旅団のステップロス
すべての地上ユニットは、1ステップ、もしくは2ステップロスで除去される。裏面に何も印刷されていないユニットが旅団規模のユニットで、1ステップロスで除去される。
裏面にも戦闘力が印刷されているユニットは師団規模で、2ステップロスで除去される。このステップの意味するところは、1) 除去されるまでにその部隊がどれだけの損害を吸収できるか、2) 潜在的にどれだけの損害を敵に与えることができるか (この意味するところはルール13.0)、である。
師団級(2ステップロス)がステップロスを被る場合、そのユニットを裏返し(ステップ値が小さく「1」と印刷された面)にする。旅団級(1ステップロス)のユニットがステップロスを被った場合、ユニットは直ちにマップから除去される。 師団級ユニットと旅団級ユニットにおいて、上記のステップロス以外、機能上なんら相違はない。
ユニットの除去は、そのユニットに含まれるすべての兵士が死亡したことを意味するものではない。ユニットの除去とは、そのユニットの兵士と装備の消耗が、軍事行動が継続できないまで達したことを意味する。

2.12 軍団と軍への所属
日本軍ユニット:

歩兵マークの左端に「36」と印刷されている8つのユニットが第36軍に属するユニットである。同様に、歩兵マークの左端に「56」と印刷されている8つのユニットが、第56軍に所属するユニットである。所属の違いがもたらす運用の違いは、ルール3.2および15.3に記載の通りである。

アメリカ軍ユニット:
アメリカ軍は4つの軍団 (第1、第5、第9、第11軍団) があり、それぞれの軍団に対し、各4の師団が所属している。所属の違いがもたらす運用の違いは、ルール10.5に記載の通りである。


3.0 セットアップ
3.1 準備

誰がどちらの側をプレイするか決まったら、次に述べる説明とユニットに印刷されたヘックス番号を見ながら、それぞれのユニットをマップに配置する。
すべてのユニットは、初回から配置されるものも増援によってゲーム途中から登場するユニットも含めて最大のステップ値の面を表にして配置する。(ただしルール6.10に例外あり)

3.2 日本軍の配置
赤地に白い線で印刷された13個の日本軍ユニットには、それぞれのユニット表面にヘックス番号が印刷されている。日本軍プレイヤーは、はじめにこの13個のユニットをそれぞれのヘックス番号と同一のヘックスに配置する。たとえば、第5戦車旅団は2819のヘックスに置かなければならない。第154沿岸配備師団は2921に置く。
これらのユニットの配置を終えたら、すべての第36軍(黒色のユニット)を、霧島山(Mount Kirishima)、すなわちヘックス3013から数えて2ヘックス以内に配置する。これらのヘックスはたとえば、2911、2912、3111、3112などである。第36軍のユニットはスタック制限の範囲内であるならスタックしてもよい。(ルール10.0)スタックする場合、もし、そこに第36軍以外の日本軍ユニットがあるなら、ルール10.0の制限内でスタックしてもよい。
最後に、すべての第56軍(オレンジ色のユニット)を「56th army Not Available」ボックスに置く。これで日本軍の配置は終了である。

3.3 アメリカ軍の配置
ヘックス番号の印刷されたアメリカ軍ユニットをそれぞれのヘックスに置く。配置するヘックスは沿岸ヘックスである。たとえば、第1軍団の橋頭堡マーカーは、2621ヘックスに置かれる。
次に、ユニット左上端に一桁ないし二桁の数字が印刷されたユニットを、「US Units Holding box」に置く。(第9軍団の橋頭堡マーカーの番号は裏面に印刷されている)
「U.S. VPs」カウンターを、マップ右上の「US Victory Point Total」の「0」のボックスに配置する。その他の艦砲射撃、航空攻撃、原子爆弾などのマーカーは、マップ外のわかりやすい場所に並べる。
最後に、アメリカ軍プレイヤーは、第9軍団の上陸地点等をルール8.6に従って計画し、紙に記録する。

3.4 アメリカ第11師団
ゲームには、1個のアメリカ第11空挺師団と1個のアメリカ第11歩兵師団が付属している。「DF」で使用するのは、常にこのいずれかのユニットである。オプションルールを採用しない限り、ゲームでは第11歩兵師団(戦闘力が5のユニット)を使用する。第11空挺師団の使い方はオプションルール15.6に記載の通り。

3.5 ゲームターン記録シート
他の多くのウォーゲームと異なり、「DF」のマップにはゲームターン記録トラックが印刷されていない。ゲームターン記録シートは、別刷りのシートで本ゲームに提供されている。プレイヤーは、このシートにペンや鉛筆で横線を引いて、ゲームの進行を記録する。ゲームターン記録シートのコピーを作ったり、透明プラスチックのフォルダにシートを入れて、後で消すことのできるマーカーなどで印をつけてもよい。


4.0 勝利条件
4.1 総合

勝利プレイヤーは、ゲームの終了の30ターン目、もしくはそれ以前のゲーム途中で決定される。(「30ターン」は、戦争当時の表現では「X-Day + 30日」 であり、 本ゲームでは「X + 30日」と表現する。)
勝利ポイントは、アメリカ軍プレイヤーのみに与えられ、勝利はアメリカ軍プレイヤーの勝利ポイントによって決定される。日本軍プレイヤーは勝利ポイントを獲得することはできない。
アメリカ軍が獲得する勝利ポイントは、次のスケジュールの通りである。もちろん、いずれかのプレイヤーが敗北を確信したなら、相手プレイヤーの同意によっていつでもゲームを終了することができる。

4.2 ターン2 ( X + 2日)、Town
X + 2日の勝利ポイントチェックフェーズにおいて、アメリカ軍が「Linked Beachheads Line」より南の沿岸部の「Town」ヘックスを2つ以上同時に支配し補給下にある時、アメリカ軍は1勝利ポイントを獲得する。(このターンで支配している「Town」ヘックスが4つでも5つでも与えられる勝利ポイントは1である。)
これ以降のいかなるゲームターンでアメリカ軍がこの勝利条件を満たしても、ここで規定した勝利ポイントを獲得することはできない。投下した原子爆弾が爆発した「Town」は、この勝利ポイント算出のための計算に含めることはできない。(ルール6.10)


沿岸部の「Town」ヘックス例

4.3 ターン7 (X + 7日)、Town
X + 7日の勝利ポイントチェックフェーズにおいて、アメリカ軍が「Linked Beachheads Line」より南の沿岸部の「Town」ヘックスを4つ以上同時に支配し補給下にある時、アメリカ軍は1勝利ポイントを獲得する。(訳注: 同時に支配した「Town」が5つでも6つでも与えられる勝利ポイントは1である。)
この勝利ポイントの計算に適用する「Town」ヘックスの中に、ルール4.2で勝利ポイントの獲得に用いた「Town」が混じっていても、その「Town」の数が1〜2つまでなら、ルール4.3の勝利ポイントの計算の中にそれらの「Town」を加えることができる。
これ以降のいかなるゲームターンでアメリカ軍がこの勝利条件を満たしても、ここで規定した勝利ポイントを獲得することはできない。投下した原子爆弾が爆発した「Town」は、この勝利ポイント算出のための計算に含めることはできない。(ルール6.10)

デザイン・ノート
これらの最初のふたつの勝利ポイントは、アメリカ軍がどれだけの橋頭堡マーカーを築けるかを判定するためのものである。アメリカ軍は、攻撃の初日から3日以内に大量の支援物資を上陸できる拠点を作らなければならなかった。

4.4 ターン20 (X + 20日)、Miyakonojo [都城特攻基地]
X + 20日を含むX + 20日までの勝利ポイントチェックフェーズに、アメリカ軍が都城基地 (Miyakonojo、ヘックス2514)を占領し補給下に置いた場合、アメリカ軍プレイヤーは1勝利ポイントを獲得する。
X + 20日を含むX + 20日までのターンにこのルールの条件を満たすことができなかった場合、アメリカ軍プレイヤーは勝利ポイントを得ることができない。ひとたび勝利ポイントを獲得した後に、日本軍がこの空軍基地を占領したなら、このルールによってアメリカ軍が得た勝利ポイントは失われ、失われた勝利ポイントは永久に回復しない。この空軍基地に投下した原子爆弾が爆発した場合、アメリカ軍プレイヤーはこの基地を占領しても勝利ポイントを得ることができない。(ルール6.10)

4.4 ターン20 (X + 20日)、Kanoya [鹿屋特攻基地]
X + 20日を含むX + 20日までの勝利ポイントチェックフェーズに、アメリカ軍が鹿屋基地 (Kanoya、ヘックス2010)を占領し補給下に置いた場合、アメリカ軍プレイヤーは1勝利ポイントを獲得する。
X + 20日を含むX + 20日までのターンにこのルールの条件を満たすことができなかった場合、アメリカ軍プレイヤーは勝利ポイントを得ることができない。ひとたび勝利ポイントを獲得した後に、日本軍がこの空軍基地を占領したなら、このルールによってアメリカ軍が得た勝利ポイントは失われ、失われた勝利ポイントは永久に回復しない。この空軍基地に投下した原子爆弾が爆発した場合、アメリカ軍プレイヤーはこの基地を占領しても勝利ポイントを得ることができない。(ルール6.10)

デザイン・ノート
九州の航空基地は都城と鹿屋だけではなかったが、これら2つの基地が最大級であり空港としてベストの条件を持っていた。そしてこのふたつは、カーチス・ルメイが日本本土の戦略爆撃のために、もっとも早急に求めていた航空基地の中に含まれていたのである。アメリカ軍プレイヤーがこれら2つの基地を支配しても、翌日からB-29が爆撃をはじめるわけではない。ルメイの先遣隊が、爆撃に必要な準備を始めるのである。

4.6 最終ターンまで、6/ASCO
X + 30日を含む最終ターンまでの勝利ポイントチェックフェーズにアメリカ軍が6/ASCO(ルール8.8)を上陸させた場合、アメリカ軍プレイヤーは1勝利ポイントを獲得する。
勝利ポイントを獲得した後に、6/ASCOへの補給が断たれたり、6/ASCOが除去された場合、アメリカ軍プレイヤーはこのルールによって得られた勝利ポイントは失われ、失われた勝利ポイントは永久に回復しない。

デザイン・ノート
ルール4.6は、各軍団の資産とアメリカ第6軍によって直接指揮されるより大規模な部隊の施設敷設状況を判定する。これは、アメリカ軍の侵攻がオリンピック作戦全体のスケジュールと目標を満たしているかどうかの指標である。

4.7 Kagoshima City [鹿児島市]
X + 30日の勝利ポイントチェックフェーズにおいて、アメリカ軍が「Kagoshima city」の3つのヘックス(2506/2605/2606)を同時に支配し補給下にある時、アメリカ軍は1勝利ポイントを獲得する。この勝利ポイントは「Kagoshima city」ヘックスに原子爆弾が投下されたか、爆発したか否か、何発落とされたか否かに関わりなく得ることができる。

4.8 Takarabe [財部]
X + 30日の勝利ポイントチェックフェーズにおいて、アメリカ軍が「Takarabe」ヘックス(2615)を支配し補給下にある時、アメリカ軍は1勝利ポイントを獲得する。この勝利ポイントは「Takarabe」ヘックスに原子爆弾が投下されたか、爆発したか否かに関わりなく得ることができる。

デザイン・ノート
鹿児島市と財部の二大都市は、南九州の通信、兵站の中心で司令部が置かれていた。

4.9 Mount Kirishima [霧島山]
X + 30日の勝利ポイントチェックフェーズにおいて、アメリカ軍が「Mount Kirishima」ヘックス(3013)を支配し補給下にある時、アメリカ軍は1勝利ポイントを獲得する。この勝利ポイントは「Mount Kirishima」ヘックスに原子爆弾が投下されたか、爆発したか否かに関わりなく得ることができる。

デザイン・ノート
霧島山は、南北九州の境界領となる山だった。南九州で一番高所にある山を占領することは、1847年の米墨戦争におけるチャプルテペックの丘の占領と同じ効果を日本軍に与えたと思われる。

4.10 橋頭堡マーカーの連結
X + 30日の勝利ポイントチェックフェーズにおいて、マップの「Linked Beachheads Line」より南の沿岸ヘックスのすべてに日本軍ユニットが存在せず、なおかつ日本軍ユニットのZOCがこれらの沿岸ヘックスに存在しない場合、アメリカ軍プレイヤーは1勝利ポイントを獲得する。この判定において、アメリカ軍ユニットおよびアメリカ軍ユニットのZOCは、日本軍ユニットのZOCを無効にすることはない。

デザイン・ノート
実際のオリンピック計画では、X + 48日が「橋頭堡マーカーの連結」の期限だった。しかしながら、日本軍の物資は最大でも30日しかもたなかった事、日本軍はそれ以降の補給がありえないと考えていた事から、ゲームの終了はX + 30日が最良であると考えた。

4.11 OSS/空中補給/沿岸補給の損害
アメリカ軍プレイヤーは、ユニットがOOS(補給切れ。ルール9.1)にある時、あるいは空中補給にある時、あるいは沿岸補給にある時、1ステップロスを被る度に1勝利ポイントを失う。(ルール9.0)このようにして失われた勝利ポイントは、補充(ルール8.9)あるいは、ユニットの再建によっても回復することはない。OOSになった6/ASCOは直ちに除去され、アメリカ軍プレイヤーは1勝利ポイントを失う。(ルール8.8)

4.12 橋頭堡マーカーの喪失
アメリカ軍プレイヤーは、それぞれの橋頭堡マーカーヘックスが日本軍ユニットに占領される度に2勝利ポイントを失う。失われた勝利ポイントは、後にアメリカ軍ユニットがそのヘックスを再占領しても回復することはない。

4.13 勝利ポイント0
アメリカ軍プレイヤーは、勝利ポイント0からゲームを開始する。もし、勝利ポイントが1以上になった後に勝利ポイントが0になった場合、ゲームはそこで終了し日本軍プレイヤーの勝利となる。あるいは、アメリカ軍プレイヤーがゲーム開始以来、勝利ポイントを全く獲得しない状態で勝利ポイントがマイナスになった時も同様にゲームは終了し、日本軍プレイヤーの勝利となる。

デザイン・ノート
ルール4.11、4.12、4.13に定めた勝利条件は、単純かつもっとも直接的に両プレイヤーの統率力を表している。(それゆえ点数も高い)

4.14 勝利と敗北
最終ゲームターンの終わりにおいて勝利ポイントが89である時、アメリカ軍プレイヤーの勝利となる。勝利ポイントが67である時、ゲームは引き分け、勝利ポイントが5以下である時、日本軍プレイヤーの勝利となる。

デザイン・ノート
このようなゲームにおいては、日本軍がアメリカ軍に与えた損害をもとに勝敗を判定するのが一般的かもしれない。その場合、損害は戦闘結果の副次的な結果として算定できる。(たとえば戦闘結果表に、損害を表す第二の数字を載せるなど) しかし、私のリサーチによれば、1945年の日本軍は、歴史的結果となった「無条件降伏」よりもましな条件で戦争を終結させる交渉を行うのに足るだけの損害を、アメリカ軍に与える能力はなかった。それゆえ、アメリカ軍の作戦を遅延させる日本軍プレイヤーの手腕を勝利条件とした。これまで述べた様々な勝利ポイントは、アメリカ軍の作戦レベルの計画に基づいている。日本軍プレイヤーは、これらの計画の多くを遅らせることができれば勝利できる。同様に、アメリカ軍が勝利ポイントを失うことは、政治-軍事的破壊につながるのである。(ルール4.11、4.12、4.13)


5.0 ゲーム・シークエンス
5.1 総合

「DF」において、すべてのゲームターンは、両プレイヤーが原子爆弾攻撃とカミカゼ攻撃の結果を判定することからはじまる。各ターンの終わりでは、アメリカ軍プレイヤーがどの程度勝利目標に近づいているかを判定するため、アメリカ軍の「勝利チェック」が行われる。これらの判定の間に日本軍側とアメリカ軍側のそれぞの「プレイヤーターン」があり、プレイヤーターンは常に日本軍が先である。各プレイヤーターンは、さらに「フェーズ」に細分化される。
それぞれのフェーズが終わったなら、いずれのプレイヤーも過去のフェーズに戻って忘れていたアクションをやり直したり、間違いを修正することはできない。ただし、相手側プレイヤーの了解が得られた場合はこの限りではない。

5.2 ターン・シークエンス
ターン・シークエンスは、以下の一覧の通りである。以降のルールの説明は、可能な限りターン・シークエンスに沿って行う。

I. 非通常兵器セグメント
  A. アメリカ/イギリス海軍展開フェーズ
   1. イギリス軍太平洋艦隊(BPF)のステータス・チェック
   2. 機動グループの沿岸部への展開
  B. カミカゼ・フェーズ (日本軍)
  C. 核攻撃・フェーズ (アメリカ軍)

II. 日本軍プレイヤーターン
  A. 第56軍投入チェック・フェーズ
  B. CP決定・フェーズ
  C. CP消費・フェーズ

III. アメリカ軍プレイヤーターン
  A. 増援チェック・フェーズ
  B. 補給チェック・フェーズ
  C. CP決定・フェーズ
  D. CP消費・フェーズ

IV. 勝利チェック・フェーズ

5.3 各ゲームターンの終了
各ゲームターンの終了時に、ターン記録トラックのターン記録マーカーをひとつ動かす。ゲームターンによっては、通常よりも多くの勝利ポイントを「勝利チェック・フェーズ」において判定しなければならない場合があるので注意を要する。


6.0 非通常兵器セグメント
6.1 総合

このセグメントにおいて、両プレイヤーは、それぞれ種類の異なる非通常兵器を使用する。日本軍プレイヤーは「カミカゼ」攻撃、アメリカ軍プレイヤーは核攻撃である。注意すべきことは、アメリカ軍プレイヤーの化学兵器による攻撃はこのセグメントで行わないことである。(ルール14.3)

6.2 BPFの展開
アメリカ軍プレイヤーは10面ダイスをひとつ振って、イギリス軍太平洋艦隊(British Pacific Fleet、以下「BPF」)の艦砲射撃と航空攻撃がこのターンで使用できるかを判定する。(チットを使う場合はルール2.2)
出た目が奇数である場合、このターンにおいて、いかなるBPFも利用できない。出た目が偶数である場合、BPFの艦砲射撃と航空攻撃は、このターンにおいて使用できる。ひとたび使用できるようになったBPFの艦砲射撃と航空攻撃は、アメリカ軍のそれらと全く同様に扱うことができる。

デザイン・ノート
アメリカ軍司令は、この作戦の立案の段階から、アメリカ軍の補給と支援によってイギリス海軍は行動せざるを得ないと結論を出していた。端的に言えば、イギリス海軍は、アメリカ海軍のように太平洋で独立した作戦を行うだけの支援体制を持っていなかったのである。このダイス判定は、イギリス海軍が、補給や補修にために沖縄などに撤退しなければならなかった当時の可能性を平均化したものである。

6.3 機動グループの沿岸部への展開
その日のBPFの状態が判定されたなら、アメリカ軍プレイヤーは、それぞれのアメリカ軍艦砲射撃マーカーを、マップの四つの沿岸ゾーンのいずれかに配置する。四つの沿岸ゾーンとは、「Limousine」「Roadstar」「Station Wagon」「Town Car」である。ルール6.2においてBPFも利用できる場合、アメリカ軍のマーカーと同様にこのフェーズでいずれかの沿岸ゾーン配置する。
艦砲射撃マーカーは、特定のヘックスに置く必要はない。いずれの沿岸ゾーンに置かれているかが明確であればよいのである。
艦砲射撃マーカーの配置に際して、アメリカ軍プレイヤーはいかなる制約も受けない。一箇所の沿岸ゾーンにすべてを配置することも、他の複数の沿岸ゾーンに分散して配置することも自由である。
この段階で、航空攻撃マーカーの配置は行わない。

6.4 カミカゼ攻撃
アメリカ軍プレイヤーが艦砲射撃マーカーの配置を終えたら、日本軍プレイヤーは直ちに10面ダイスを一個振り、6.6の表によって修正を受けた後、効果表6.5を参照してその日の特別攻撃の結果を判定する。効果表6.5はその日の日本軍のすべての自殺攻撃を表しており、その攻撃の中には航空機、ボート、船舶、潜水者、水陸両用艇、歩兵、市民によるものを含む。

6.5 カミカゼ攻撃表

ダイス 効果
1 効果なし
2 アメリカ軍CP = 5
3〜4 アメリカ軍CP = 4
アメリカ軍航空攻撃マーカー = 3
アメリカ軍艦砲射撃マーカー = 3
日本軍CP = + 1
5〜6 アメリカ軍CP = 3
アメリカ軍航空攻撃マーカー = 2
アメリカ軍艦砲射撃マーカー = 2
日本軍MF = 4
日本軍CP = + 2
7〜8 アメリカ軍CP = 2
アメリカ軍航空攻撃マーカー = 1
アメリカ軍艦砲射撃マーカー = 1
日本軍MF = 5
日本軍CP = + 3
9〜10 アメリカ軍CP = 1
アメリカ軍航空攻撃マーカー = 0
アメリカ軍艦砲射撃マーカー = 0
日本軍MF = 6
日本軍CP = + 4
※さらにアメリカ軍は増援の上陸と補充ができない。

例:
「7〜8」の場合、このゲームターンにおけるアメリカ軍CPは2となる。このゲームターンにおいて、アメリカ軍が利用できる航空攻撃マーカーは1に減少し、艦砲射撃マーカーは1に減少する(例: 配置した艦砲射撃マーカーが4つある場合、ルール6.7に従い3つ除去され、1つがマップに残る)。このゲームターンにおいて、日本軍MFは3から5に増える。日本軍CPの判定の際、ダイスの目に+3の修正を加える。

6.6 カミカゼ攻撃のダイス修正
ゲームターンによって、カミカゼ攻撃のダイス目は次の表に従って修正を受ける。

ターン ダイス修正値
X + 1日 +1
X + 2日X + 9日 修正なし
X + 10日X + 19日 -1
X + 20日X + 30日 -2

この修正値は累積するものではない。いずれのターンでも修正値の適用は一度だけであり、X + 2日から X + 9日までのターンではいかなるダイス修正も行なわない。
修正後のカミカゼ攻撃の値が10を超える場合、カミカゼ攻撃値は10を適用し、修正後の値が0以下の場合、カミカゼ攻撃値は1とする。

6.7 カミカゼ攻撃の適用
カミカゼ攻撃の結果、アメリカ軍プレイヤーが艦砲射撃マーカーの数を減少させなければならない時、日本軍プレイヤーはマップ上の好みの艦砲射撃マーカーを減少させるべき数だけ除去する。アメリカ軍プレイヤーがどのユニットを除去するか決めることはできない。次に、日本軍プレイヤーは、アメリカ軍の航空攻撃ユニットから減少させるべき数を除去する。除去する前の艦砲射撃および航空攻撃ユニットにイギリス軍の艦砲射撃および航空攻撃ユニットが混じっている場合、これらはアメリカ軍ユニットの一部であるとみなされる。除去されたユニットはターンの終了まで回復しない。
アメリカ軍および日本軍CPの減少についてはルール7.0、日本軍MFの増加についてはルール12.2、増援の上陸と補充についてはルール8.0に記載の通り。
各ターンのカミカゼ攻撃の結果は、そのゲームターン内のみで有効である。次のゲームターンに影響を及ぼしたり、そのターンのカミカゼ攻撃で用いられた航空攻撃、艦砲射撃マーカー、CP、MFの増減が次回ターンに持ち越されることはない。

6.8 原爆
ゲーム開始時において、アメリカ軍プレイヤーは戦術用原子爆弾を9個持っている。カミカゼ攻撃(ルール6.4)が終了したならアメリカ軍プレイヤーは直ちに、原子爆弾をそのターンで何個使用するか宣言する。核攻撃はまったく行わなくともよいが、1ターンで最大使用できる原子爆弾の数は6個である。ゲーム全体で使うことの出来る原子爆弾の数は9個であり、これはゲームコンポーネントで提供されている原子爆弾ユニットの枚数と同じである。いかなる理由があってもゲーム全体の中で9個を上回る原子爆弾を使用することはできない。
そのターンで使用する原子爆弾の数を宣言したなら、アメリカ軍プレイヤーは、日本軍ユニットが置かれているヘックスに、それぞれの原子爆弾ユニットを配置する。ひとつのヘックスに2つ以上の原子爆弾ユニットを置いてもかまわない。
すべての原子爆弾ユニットを配置したなら、それぞれの原子爆弾ユニットごとに結果を判定する。複数の原子爆弾を投下した場合、個々の原子爆弾投下の結果は、その次の原子爆弾ユニットの結果を判定する前に適用しなければならない。

6.9 原爆攻撃の判定
アメリカ軍プレイヤーは、6面ダイスを一個振り、出た目の数から1を引く。これによって修正を受けたダイスの目は0〜5の整数となり、それが判定の数字となる。判定が0である場合、日本軍が被る損傷はなく、単純に原子爆弾ユニットをマップから除去する。除去された原子爆弾ユニットは、ゲームが終了するまで使用できない。
判定が1〜5の場合、その数字は日本軍が被るステップロスの総数となる。アメリカ軍プレイヤーは、原子爆弾ユニットの置かれたヘックスの日本軍ユニットに対してステップロスを行い、あるいはステップロス数を満たすだけのユニットの除去する。どの日本軍ユニットにステップロスを行うか、あるいはどの日本軍ユニットの除去を行うか、あるいはステップロスと除去をどのような組み合わせにするかはアメリカ軍プレイヤーが自由に決定できる。そして、原子爆弾ユニットは、マップに残しておく。(0判定の時と違い、原子爆弾ユニットはマップから除去しない。)

6.10 爆発の影響
日本軍:

1〜5の判定となった場合で、なおかつステップロス後も原子爆弾を投下したヘックスに日本軍ユニットが残っている場合、それらの日本軍ユニットがステップロスを被ったか無傷であるかに関わらず、それらの日本軍ユニットは、そのターン中、移動ができない。しかし、それらの日本軍ユニットは通常のZOCを持ち、攻撃を受けた場合、普通に防衛戦ができる。

アメリカ軍:
1〜5の判定となった場合、原子爆弾を投下したヘックスに隣接するヘックスにアメリカ軍ユニットが存在する場合、それらのアメリカ軍ユニットは、そのゲームターン中、移動、攻撃、戦闘後の退却、補充(ルール8.9)を受けることができない。

地形:
1〜5の判定となった場合、原子爆弾を投下したヘックスは、ゲームの終了まで「Rough (山岳地帯)」として扱われる。人工的に加工された地帯(訳注: City、Townを指すと思われる)の地形は、存在しないものとしてゲーム終了まで扱う。(勝利ポイントにも影響する。ルール4.24.3)
アメリカ軍プレイヤーは、地形を変える目的で日本軍ユニットの存在しないヘックスに原子爆弾を投下することもできる。しかし、これは実際には原子爆弾の無為な使用である。あるいは、アメリカ軍プレイヤーは、「Japanese 56th Army Available」のボックスに原子爆弾を投下することもできる。しかし、このボックス内のユニットはスタックしていないものとみなされるので、一回の原子爆弾攻撃でひとつの日本軍ユニットしか攻撃できない。


7.0 コマンドポイント (CP)
7.1 総合

両プレイヤーは、自軍ユニットを移動・戦闘させる際にCPを消費しなければならない。CPは、参謀スタッフの能力、ならびに当該アクションを実行するために必要な物質的リソースを表す。
いずれのプレイヤーも、前ターンで使用しなかったCPを次のターンに持ち越すことはできない。それぞれのターンのCPは、それぞれのターンの中で消化されなければならない。

7.2 日本軍CP
日本軍プレイヤーは、第1ターンのはじめに6CPを自動的に受け取る。第2ターンからの日本軍CPは「II. 日本軍プレイヤーターン」において、次の方法で決定する。すなわち、第56軍が投入されるか否か決定した後(ルール8.2)、日本軍プレイヤーは6面ダイスを一個振り、出た目をそのターンのCPとする。このCPは、その直前に行われたカミカゼ攻撃の結果によって変化する。すなわち各ターンにおける日本軍のCPは、最低1、最大10の範囲となる。(ルール6.2ff)

7.3 アメリカ軍CP
アメリカ軍プレイヤーは、各ターンのはじめに6CPを受け取る。このCPは、カミカゼ攻撃の結果によって減少する場合がある。(ルール6.5)

7.4 移動
ユニットが移動を行うために1CPを必要とする。スタックしたユニットが移動を行う場合、1スタックに1CPを必要とする。(すなわち、ユニットがスタックしているか否かにかかわらず、1回の移動で1CPを消費する。)
スタックによる移動の場合は、最後までスタックのまま移動しても、途中からスタックを分離して、スタックの中にあったユニットが別な方向に移動してもよく、あるいは、スタックの中のあるユニットがまったく移動せず最初から置かれたヘックスの中に止まり、他のユニットがスタックとして移動してもよい。
マップのすべてのボックス(Unit holding box)にあるユニットはスタックできない。したがって、これらのユニットは、1ユニットあたり1CPをマップへの移動時に必要とする。(ルール8.0)
各ユニットは、同一ターンの中で移動と戦闘を両方行うことはできない。(ルール13.0)
各プレイヤーは、CPをマイナスの値になるまで消費することはできない。CPは使用しない限り減ることはない。

7.5 戦闘
戦闘を行なうに際し、一回の戦闘に2CPを必要とする。スタックしたユニットが攻撃を行う場合、1スタックに1CPを必要とする。(すなわち、ユニットがスタックしているか否かにかかわらず、1回の攻撃で1CPを消費する。)
戦闘は隣接するひとつのヘックスに対してのみ行われる。攻撃側は攻撃力を分散してふたつ以上のヘックスを同時に攻撃することはできない。
スタックしたユニットが攻撃を行う場合、攻撃側プレイヤーは、スタックの中の1つ以上の任意の数のユニットを攻撃から除外することができる。たとえば、アメリカ軍プレイヤーが、2個の歩兵師団と1個の軍団配属の砲兵旅団がスタックしている場合、アメリカ軍プレイヤーは、1個の歩兵師団を攻撃から除外し、1個の歩兵師団と1個の砲兵旅団で攻撃を行うことができる。歩兵師団ユニットを除外する利点は、除外したユニットは敵の防御戦を受けないですむことである。(ルール13.213.3)

7.6 CPの制限
すべての種類のユニット、あるいはスタックは、同じターンの中でひとつのアクションしかできない。すなわち、移動と戦闘、もしくは攻撃と戦闘を一回のターンの中で同時に、あるいは連続して、あるいは分けて行うことはできない。移動か戦闘のいずれかが一回のターンの中で1回だけできる。
ルール8.9によって補充を受け取ったアメリカ軍ユニットは、そのターンにおいて移動も戦闘もできない。しかし、防御戦は通常通り行うことができ、ZOCも通常通り存在する。

7.7 コマンド・シークエンス
各ターンにおいて、それぞれのユニットの移動と戦闘はどのような順番でも行うことができ(ただしルール7.8に例外)、相手プレイヤーに対し、事前にどれだけのCPを消費するかを宣言する必要もない。たとえば、最初にあるスタックで攻撃を行い、その攻撃の戦闘結果が適用され、結果を見た後で、他のスタックの移動を決定し行ってよい。アクションを行う直前に、それに対して消費するCPを宣言すればよいのである。

7.8 連続攻撃
ルール7.6の通り、いずれの地上ユニットも1ターンの中で1回しか戦闘ができないが、複数のユニットもしくはスタックによって、同一ターンに同じヘックスを二度以上戦闘を行なうことはできる。(もちろん、それに必要なCPは別途消費しなければならない。) この攻撃を「連続攻撃」と呼ぶ。
「連続攻撃」を行う場合、プレイヤーは連続攻撃の内容を宣言し、その戦闘結果は、次のアクション(他のユニットの移動や戦闘)を行う前に適用されなければならない。1ターンで行うことのできる連続攻撃は、各プレイヤーとも1回である。
連続攻撃を行う場合、攻撃を行うそれぞれのユニットやスタックは、あらかじめ攻撃対象となるヘックス(ひとつ)に隣接するヘックス(複数)にいなければならない。攻撃側プレイヤーは、どのヘックス(ひとつ)に対して連続攻撃を行うか示し、次にどのヘックス(複数)にいる自軍ユニットが連続攻撃に加わるかを宣言する。そして、どの順番で攻撃するかを宣言する。
たとえば、日本軍プレイヤーは、「ヘックス2503を連続攻撃する。ヘックス2604の自軍スタックが第一攻撃、2605の自軍スタックが第二攻撃、2504の自軍スタックが第三攻撃。」と宣言する。
それぞれの攻撃側ユニット、もしくは攻撃側スタックごとに攻撃側プレイヤーは2CPを消費する。前述の日本軍の場合、日本軍プレイヤーは合計6CPを消費する。このCPの消費は連続攻撃の宣言と同時に行われる。戦闘の途中で相手方ユニットが全滅し、最後まで連続攻撃を行う必要がなくなった場合でも、当初に宣言したCPはすべて失われ、CPの一部や全部を回復させることはできない。

7.9 アメリカ軍の軍団級砲兵ユニット、艦砲射撃、航空攻撃マーカー
アメリカ軍が日本軍から連続攻撃を受けた場合、そしてアメリカ軍のスタックの中に軍団級砲兵ユニットがある場合、このユニットはすべてのヘックスからの日本軍の攻撃に対して戦闘支援できる。
しかし、艦砲射撃、航空攻撃マーカーは、日本軍から連続攻撃を受けた場合、いずれかひとつの日本軍ヘックスからの攻撃に対してのみ戦闘支援できる。もちろん、未使用の艦砲射撃、航空攻撃マーカーが複数ある場合、それらを連続攻撃の中のひとつひとつの日本軍の攻撃に対して使用することはできる。
アメリカ軍が日本軍に連続攻撃を行なう場合、艦砲射撃、航空攻撃マーカーは、連続攻撃の中の1セットの攻撃に対してのみ支援できる。すなわち、連続攻撃に参加するユニット(あるいはスタック)が置かれたヘックスが複数存在する中で、ひとつの艦砲射撃もしくは航空攻撃マーカーは、ひとつのヘックス内のアメリカ軍ユニットすべてに対して戦闘支援ができる。この戦闘支援は、ルール7.8で連続攻撃の内容を宣言する時に同時に行わなければならない。(そしてCPの消費と同様に、戦闘の途中で相手方ユニットが全滅し、最後まで連続攻撃を行う必要がなくなった場合でも、当初に宣言した支援ユニットはすべてマップから除去され、支援ユニットの一部や全部がそのターン終了まで回復することはない。)
アメリカ軍が連続攻撃を行なう場合、連続攻撃を行なうそれぞれのヘックスの軍団がそれぞれ異なっていてもよい。もちろん、それぞれのヘックス内においては同じ軍団で統一されている必要がある。(予備役については10.510.6)

CP消費一覧表
移動 (7.4) 1 CP
戦闘 (7.5) 2 CP
戦闘後の前進 (13.9) 0 CP
戦闘後の撤退 (13.10) 0 CP

師団ユニットのステップロスの回復 (8.9)

1 CP
師団ユニットの再建 (8.9)
1 CP
アメリカ軍の増援エントリー (8.4) 1 CP
アメリカ軍第9軍の上陸 (8.6) 3 CP

アメリカ軍の「Holding Box」のユニットのエントリー (8.9)

1 CP
日本軍第56軍「Not Available」のユニットを「Available」に移送 (8.2) 0 CP
日本軍第56軍「Available」のユニットのエントリー (8.2) 1 CP
アメリカ軍の橋頭堡マーカーを日本軍の移動によって除去 (8.5) 通常の移動
アメリカ軍の橋頭堡マーカーを日本軍の攻撃によって除去 (8.5) 通常の戦闘
アメリカ軍6/ASCOのエントリー (8.8) 4 CP
アメリカ軍空中補給ユニットのエントリー (9.7) 1 CP
アメリカ軍第11歩兵師団の降下 (オプションルール15.6) 2 CP

8.0 増援と補充
8.1 総合

増援ユニットとは、ゲーム開始時にマップに配置されていないすべてのユニットを指す。増援ユニットは、ゲームが始まってからマップに登場する。補充とは、戦力の減少したユニットを除去し、あるいは再建する方法である。日本軍ユニットに補充はない。

8.2 日本軍の増援
日本軍が利用できる増援ユニットは第56軍のユニット(計8つ)で、ゲームでは「Japanese 56th Army Not Available」のボックスに置かれるが、史実では九州北部に駐留していた。これらのユニットをすぐにゲームで使用することはできない。第56軍がマップに登場するためには、第56軍は最初の駐留地点からマップの北端まで移動しなければならない。
X + 10日のはじめの「A. 第56軍投入チェック・フェーズ」において、日本軍プレイヤーは10面ダイスを1個振る。ダイスの目が1である場合、第56軍のすべてのユニットは直ちに「Japanese 56th Army Available」ボックスに移動する。この移動にはCPを消費しない。それ以外の目が出た場合、第56軍は「Japanese 56th Army Not Available」に置いたままにする。
雑誌付属の「Turn Record Track」に、それぞれのターンで第56軍が増援として参加するのに必要な10面ダイスの目の数が印刷されている。たとえば、X + 15日においては1以上6以下の目が出た時、第56軍は「Japanese 56th Army Available」ボックスに移動できる。第56軍が「Japanese 56th Army Available」に移動するまで、「A. 第56軍投入チェック・フェーズ」において第56軍の増援判定のためのダイスを振る。
第56軍ユニットは、「Japanese 56th Army Available」に移動した直後から、日本軍プレイヤーが1ユニットあたり1CPを消費することでマップに登場させることができる。マップに登場したユニットはそのターンから通常の移動ができる。(「Japanese 56th Army Available」ボックスのユニットはスタックできないため、1ユニットにかならず1CPを消費することに注意) 消費できるCPがある限り、日本軍プレイヤーは各ゲームターンの中で、いくつでも第56軍を登場させることができる。「Japanese 56th Army Available」内の第56軍ユニットは、これらのいずれかの方法で登場させない限り、ボックスの中に永遠に置かれる。
マップに登場した第56軍は、最初のヘックスに入る時から通常の移動力を消費しなければならない。これらのユニットは、最初のヘックスに入った瞬間から、通常の移動あるいは戦闘ができる。一度マップの中に置かれた第56軍ユニットは、いかなる理由があってもマップの外に脱出することはできない。
第56軍は、アメリカ軍ユニットのあるヘックスに登場することはできない。アメリカ軍ユニットのZOCに登場することはできるが、その場合、そのユニットは直ちに移動を停止しなければならない。

8.3 アメリカ軍の増援
US Reinforcements Holding Box」には、ゲーム開始時にマップに登場しないすべてのアメリカ軍師団、軍団級砲兵ユニット、橋頭堡マーカーなどが置かれる。(ルール3.3)
これらの増援ユニットがゲームに登場するターンは、それぞれのユニットの左上に一桁から二桁の数字で印刷されている。(第9軍団の橋頭堡マーカーだけは裏面に印刷されている。)これらの数字は、ゲームに登場することが可能な最初のターンである。たとえば、第77歩兵師団は、X + 5日以降から増援が可能である。
日本軍の第56軍と同様、アメリカ軍は、これらのターン番号に必ずしも当該増援ユニットをゲームに参加させる必要はない。プレイヤーの判断で、いつまでも増援ユニットをボックスに保存してよいのである。(しかし、ルール4.6の通り、6/ASCOユニットを登場させる時期は重要である。)

8.4 アメリカ軍の増援エントリー
アメリカ軍プレイヤーは、「US Reinforcements Holding Box」のユニットをマップに登場させる場合、1CPを消費しなければならない。これらのユニットの登場は、「III. アメリカ軍プレイヤーターン」の「D. CP消費・フェーズ」に行われる。軍団に属するユニット(すなわち第1、第5、第9、第11軍団)は、それぞれの軍団の橋頭堡マーカーが置かれた橋頭堡マーカーヘックスに置かなければならない。
いずれの軍団にも属さないユニット(4つの予備役歩兵師団ユニット)は、どの軍団の橋頭堡マーカーヘックスからでもマップに登場できる。これらの予備役歩兵師団ユニットがマップに登場する場合も、1ユニットあたり1CPの消費が必要である。
これらの条件を満たす限り、アメリカ軍プレイヤーは、X + 1日の次のターンから(X + 2日から)、好みの数の増援ユニットを橋頭堡マーカーヘックスに置くことができる。
増援としてマップに登場したユニットは、そのユニットがマップに登場したターンにおいて移動することができない。増援として登場する場合、スタック制限の適用を受ける。(ルール10.0) 日本軍ユニットのZOC内に橋頭堡マーカーの置かれたヘックスがある場合、この条件単独では増援ユニットが登場する妨げにならない。

8.5 アメリカ軍の橋頭堡マーカー
橋頭堡マーカーは、スタックの計算対象とならず、戦闘力を持たず、ステップロスの対象とならず、ひとたび沿岸ヘックスに置かれたなら、移動することもできない。橋頭堡マーカーはZOCを持たない。しかしながら、橋頭堡マーカーが、同じヘックスに置かれた他の種類のアメリカ軍のユニットのZOCを妨げたり無効にすることはない。
もし日本軍ユニットが橋頭堡マーカーしか置かれていないヘックスに移動したなら、その橋頭堡マーカーは直ちに消滅する。あるいは、日本軍ユニットが橋頭堡マーカーに隣接するヘックスに位置し、なおかつその橋頭堡マーカーが他のアメリカ軍ユニットによって守られていない場合、日本軍プレイヤーは2CPを消費して攻撃を橋頭堡ヘックスに行なうことで、この橋頭堡マーカーを直ちに除去できる。もし橋頭堡マーカーの置かれたヘックスに他の米軍ユニットが存在し、戦闘の結果、その米軍ユニットのステップが1となった場合、その米軍ユニットが戦闘後退却したり(13.10)、除去された場合、その橋頭堡マーカーも直ちに除去される。これらの場合、ルール4.12を適用する。

橋頭堡サマリー
戦闘力、移動力がなく、ZOCも持たない。(8.510.712.5)
スタック制限に含まれない。(8.5)
ステップロスの対象とならない。(8.5)
再建できない。(8.9)
補給源である。(9.0)
橋頭堡が日本軍ユニットに占領されると、2勝利ポイントを失う。(4.12)
その他、「12.6 一般的な移動の制限」「13.7 橋頭堡マーカー、6/ASCO」参照。

 

8.6 第9軍の上陸作戦
アメリカ軍プレイヤーは、ゲームを開始する前に、第9軍団の上陸地点(ヘックス)と上陸日(ターン)を秘密裏に決定し記録しなければならない。上陸計画を記録した紙は、記入した面を伏せて両プレイヤーが見える場所に置く。アメリカ軍プレイヤーは、第9軍団が上陸を開始する時、この記録を日本軍プレイヤーに見せ、ルール通りであることを示す。
第9軍の上陸作戦は、X + 4日、もしくはそれ以降のターンの「III. アメリカ軍プレイヤーターン」の「CP消費・フェーズ」に3CPを消費して行なう。上陸時に戦闘が発生しても追加のCPは消費しない。
上陸地点は、沿岸ヘックスでなおかつ「Clear」の地形であるヘックス(ひとつ)で、ゲーム開始時に他の橋頭堡マーカーが置かれていないヘックスでなければならない。
第9軍団の上陸は、かならず橋頭堡マーカー、第81歩兵師団、第98歩兵師団の3ユニットから成るスタック(ひとつ)で行う。
上陸作戦を実施する前であれば、アメリカ軍プレイヤーは上陸作戦を中止することができる。たとえば、計画時に何もなかった上陸予定地点に、その後のゲーム展開の中で日本軍ユニットが移動してきた場合、アメリカ軍プレイヤーは記録した紙を日本軍プレイヤーに見せて、「現在のターンでヘックスXXXXに上陸する予定だった。上陸をキャンセルする。」と宣言することができる。(しかしルール8.7の通り、日本軍ユニットがあるヘックスに上陸を行なうこともできる。)
アメリカ軍プレイヤーは、直ちに新たな上陸計画を考え、上陸地点(ヘックス)と上陸日(ターン)を秘密裏に決定し記録する。キャンセル後に上陸可能なターンは、計画するターンから4ターン以降である。たとえば、X + 4日で上陸をキャンセルし、なおかつそのターンで新たな計画を決定し記録する場合、計画可能な次の一番早いターンはX + 8日となる。

8.7 第9軍団の上陸方法と制限
第9軍が上陸するヘックスが日本軍ユニットによって占領されている場合、通常の方法で戦闘解決を行う。(ルール13.014.0)ただし、次の例外がある。1) 日本軍ユニットは、防衛戦を行なうに際し、ルールで規定されている数の二倍の数だけダイスを振ることができる。しかし、ダイスの目がルールで規定されている以上の修正を受けることはない。2) すべての戦闘が終了した後、上陸地のヘックスに日本軍ユニットが何らかの状態で残った場合、すべてのアメリカ軍地上ユニットおよび橋頭堡マーカーは除去される。
第9軍団の上陸は、他のアメリカ軍地上ユニットと連携した連続攻撃の中で行なうことはできない。

8.8 6/ASCO
6/ASCOはX + 20日からゲームに登場する。6/ASCOをマップに登場させる際、アメリカ軍プレイヤーは4CPを消費しなければならない。(ルール4.11) 6/ASCOはX + 20日に必ずしも登場する必要はなく、それ以降のターンであればいつでもよい。
6/ASCOは、「Clear」ヘックスであればどこでも置くことができるが、そのヘックスはアメリカ軍の支配下でなければならず、日本軍ユニットに隣接していてはならない。また、橋頭堡マーカーが置かれたヘックスに6/ASCOを置くことはできない。ひとたび6/ASCOがマップに置かれたならば、除去されない限り、ゲームの終わりまでその位置を動くことはできない。
ルール4.11に関連して、OOSになった6/ASCOは直ちに除去され、アメリカ軍プレイヤーは1勝利ポイントを失う。実際には6/ASCOは消失したのではなく、予定通りの基地建設計画が行なえないほどの損害を被ったのであり、死んだに等しいということである。
6/ASCOは移動力がなく、ZOCも持たない。(しかし、他のユニットが6/ASCOとスタックした場合、そのユニットがZOCを持つことを妨げるものではない。)
6/ASCOはスタック制限のカウントに含めず、「10.5 アメリカ軍の軍団系統」の適用は受けない。

6/ASCOサマリー
X + 20日以降からマップに登場する。(8.8)
マップに登場する際、4CPを消費する。(8.8)
戦闘力、移動力がなく、ZOCも持たない。(8.812.5)
スタック制限に含まれる。(10.4)
どの軍団の橋頭堡からでも補給を受けることができる。(9.4)
沿岸補給および空中補給から補給を受けることはできない。(9.8)
OOSになると除去され、アメリカ軍プレイヤーは1勝利ポイントを失う。(8.8)
再建できない。(8.9)
その他、「12.6 一般的な移動の制限」「13.7 橋頭堡マーカー、6/ASCO」参照。

 

8.9 アメリカ軍の補充
補充とは、補給下にあってステップロスを被った師団ユニットのステップロスを回復したり、除去されたユニットを再建することである。必要なCPを消費する限り、アメリカ軍はゲーム開始のターンから無限の補充ができる。補充は師団ユニットと軍団級砲兵ユニットしか行なうことができない。除去された橋頭堡マーカーはいかなる場合でも補充の対象とならない。

ステップロスの回復:
師団ユニットの1ステップロスを回復するために1CPを消費する。この場合、単純にユニットをひっくり返し、2ステップの面を上にする。補充を受けたユニットは、そのターンで移動および戦闘を行なうことができない。OOSのユニットは補充を受けることができない。

師団の再建:
アメリカ軍プレイヤーは除去された師団ユニットの中からひとつ選び、1CPを消費することで、1テップロスの状態で「US Reinforcements Hodling Box」にそのユニットを置く(再建)ことができる。再建したターンに、そのユニットをマップに登場させることはできない。
US Reinforcements Hodling Box」に再建されたユニットは、再建されたターンの次のターンから1CPを消費することで沿岸ヘックスに1ステップロスの状態で配置することができる。(配置に関するルールは「8.4 アメリカ軍の増援エントリー」を参照)
沿岸ヘックスに配置した師団ユニットのステップロスの回復は、沿岸に配置したのと同一ターンで行なうことはできない。沿岸ヘックスに配置したターンの次から、既に述べたステップロスの回復の方法で回復することができる。
あるいは、「US Reinforcements Hodling Box」に1ステップロスの状態で再建されたユニットを、1CP消費することで2ステップのユニットにすることも可能である。この場合でも、2ステップへのステップアップは、そのユニットを再建したのと同一ターンに行なうことはできない。再建したターンの次のターンからステップアップができる。「US Reinforcements Hodling Box」でステップアップしたユニットは、その次のターンから1CPを消費することで沿岸ヘックスに登場できる。このようにして2ステップでマップに復活したユニットは、1ステップでマップに復活したユニットと同様に、マップに復活したターンでは移動も戦闘もできない。

8.10 OOSで除去されたユニット
OOSで除去されたユニットは、いかなる方法でも再建できない。軍団級砲兵ユニットは1ステップロスしか持たないので、このユニットがOOSの状態で除去されたなら、永遠に再建できない。師団ユニットの場合、最初のステップロスをOOSの時に被り、しかし二度目のステップロスを補給下の状態で被ったなら、そのユニットは再建できる。そして、このユニットは必要なCPを消費するなら、2ステップの師団ユニットとして再建することも可能である。しかし1ステップしか持たない師団ユニットがOOSの状態で除去されたなら、その師団ユニットを再建することは永遠にできない。空中補給下にある師団ユニットが除去された場合も、同様にそのユニットは再建できない。(ルール9.7) これについてはルール4.11も参照のこと。


9.0 補給
9.1 総合

アメリカ軍ユニットが移動、戦闘を行うためには補給下である必要がある。アメリカ軍ユニットは、常に「補給下」もしくは「補給なし」(以下"out of supply"の略語で「OOS」とする) のいずれかの状態を持つ。
OOSになったアメリカ軍ユニットは、戦闘において不利を被り、移動力も制限を受ける。OOSの状態は補給が回復するまで何ターンでも継続するが、OOSによって師団/旅団ユニットが除去されることはない。アメリカ軍プレイヤーは、そこへ進めばOOSになることが確定的である、あるいは予見できるヘックスに対してもユニットを進めることができる。

デザイン・ノート
アメリカ軍の阻止砲爆撃によって補給が日に日に困難になることを知っていた日本軍は、物資を極限まで使ってアメリカ軍に対抗するつもりだった。それゆえ、その時の作戦的・戦術的状況がどの様であれ、本ゲームのすべての日本軍ユニットは補給下にある。そして、本ゲームがX + 30日で終了する理由のひとつもそこにある。(日本軍の物資はそこで尽きてしまう)
もっとも楽観的な日本の当時の戦争指導者でさえ、アメリカ軍上陸と同時に九州への補給は不可能になると考えていた。そして、どのような手段でも補給を再開する方法はなかったのである。

9.2 補給チェック
「III. アメリカ軍プレイヤーターン」の「B. 補給チェック・フェーズ」で、アメリカ軍プレイヤーは補給チェックを行う。ここで判定した各ユニットの補給状態は、次回ターンの補給チェックまで変更されない。

9.3 軍団の補給路
一般的に、アメリカ軍の補給は、沿岸へックスに置かれた橋頭堡マーカーから行われる。橋頭堡マーカーから連続したヘックス(以下、「補給路」)で地上部隊ユニットまで到達できる時、補給が行われたと見なされる。ただし、橋頭堡マーカーとその補給の対象となる部隊ユニットは同じ軍団に所属していなければならない。補給路のルート、ヘックスの数、および地形の種類に制限はない。沿岸ヘックス(一部分が陸地になった海のヘックス)は補給路となり得る。ある軍団の補給路が他の軍団の補給路と交差してもよい。
しかし、海ヘックスサイドを挟んで補給路を結ぶことはできない。また、日本軍ユニットが置かれたヘックス、ならびに日本軍ユニットによって作られたZOCを補給路ヘックスとすることはできない。ただし、日本軍のZOCを無効にするためにアメリカ軍ユニットを置いたヘックスは、補給路ヘックスとすることができる。(ルール11.7)
一度除去された橋頭堡マーカーは、それ以降ゲームに参加できない。(ルール8.5) そのため、橋頭堡マーカーが除去された軍団の部隊ユニットは、ゲームの終わりまで他の方法によって補給を受けない限りOOSとみなされる。(ルール9.69.7)

9.4 アメリカ軍予備役部隊と6/ASCO
4つのアメリカ軍予備役ユニット(第6、第7、第11、第96師団)と6/ASCOは、どの軍団の橋頭堡マーカーからでも補給を受けることができる。アメリカ軍予備役ユニットならびに6/ASCOは、それぞれが別々の軍団の橋頭堡マーカーから補給を受けてもよいし、単一の橋頭堡マーカーから補給を受けてもよい。補給を受ける橋頭堡マーカーをターンごとに変えてもよい。

9.5 OOSの効果
OOS になった軍団級砲兵ユニットは、日本軍ユニットを攻撃することができず、日本軍ユニットから攻撃された場合、防衛戦をすることもできない。
OOSになったすべての種類の師団級ユニットは、攻撃戦のダイスの目においてマイナス2の修正を受ける。(ルール13.4)
OOSになったすべての種類の師団級ユニットは、防御戦のダイスの目においてマイナス1の修正を受ける。(ルール13.4)
OOSになった6/ASCOは直ちに除去され、アメリカ軍プレイヤーは1勝利ポイントを失う。(ルール8.8)
ユニットがOOSにある時、あるいは空中補給にある時、あるいは沿岸補給にある時、1ステップロスを被る度に1勝利ポイントを失う。 (ルール4.11)
OOSになったすべてのユニットは、移動力が1MFとなる。(ルール12.2および12.7のOOSにより移動力が1MFとなったユニットは、移動に際し地形の影響を受けない。どのようなヘックスに移動する場合でも1MFで移動でき、川ヘックスサイドの効果は無視される。ただし、海ヘックスサイドを越える移動はできない。)

9.6 沿岸補給
鹿児島湾ヘックス(Kagoshima Bay)を含むすべての沿岸ヘックスに存在するアメリカ軍ユニットは、そのヘックスに止まる限り「沿岸補給」を受けることができる。沿岸補給しか受けられないすべてのアメリカ軍ユニットは、移動力が1MFとなり、攻撃戦のダイスの目においてマイナス1の修正を受ける。防御戦のダイスの目においてはなんら修正を受けない。

9.7 空中補給
「III. アメリカ軍プレイヤーターン」の「B. 補給チェック・フェーズ」において、アメリカ軍プレイヤーは、空中補給ユニットをいずれかひとつのヘックスに置くことで、そのヘックス内のすべてのユニットに「空中補給」を行うことができる。空中補給ユニットは、沿岸ヘックスに置いてもよい。空中補給を受けた部隊ユニットは、次回ターンの「B. 補給チェック・フェーズ」まで、通常の補給下にあるものとみなされる。(次回ターンの「B. 補給チェック・フェーズ」において、アメリカ軍プレイヤーは、同じヘックスに空中補給をしてもよいし、別なヘックスに空中補給を行ってもよい。)
オプションルール「15.6 第11歩兵師団の降下」によって第11歩兵師団が降下を行ったターンでは、空中補給を行うことはできない。この場合、空中補給ユニットは第11歩兵師団が降下したヘックスに置かれるからである。
空中補給は、アメリカ軍プレイヤーが補給のためにCPを消費する唯一の作戦である。空中補給ユニットをマップに置く度にアメリカ軍プレイヤーは1CPを消費する。(オプションルール15.6でアメリカ軍プレイヤーは2CPを消費するが、このうちの1CPは空中補給ユニットのためのものである。)

9.8 6/ASCO
6/ASCOユニットの補給源は橋頭堡マーカーのみであり、沿岸補給および空中補給は6/ASCOユニットの補給源とはならない。補給源となる橋頭堡マーカーはいずれの軍団でもよく、ターンごとに補給源とする橋頭堡マーカーが変更されてもよい。もし、6/ASCOユニットが、いずれの橋頭堡マーカーとも補給路でつながらない場合、沿岸補給および空中補給があったとしても、6/ASCOユニットは除去される。(ルール4.6)

9.9 艦砲射撃、航空攻撃マーカー
すべての艦砲射撃、航空攻撃マーカーは常に自動的な補給下にある。しかし、地上ユニットは、艦砲射撃、航空攻撃マーカーによって補給を受けることはできない。すなわち、OOS、もしくは沿岸補給を受けている地上ユニットが、艦砲射撃、航空攻撃マーカーの戦闘支援を受けても、それらの地上ユニットの補給状態が良くなることはない。


10.0 スタック
10.1 総合

スタックとは、ひとつのヘックスに複数のユニットを積み重ねることである。いずれのユニットも敵ユニットとスタックすることはできない。マップのボックスの中のユニットはスタックできない。
スタックにおいてユニットの数を数える場合、すべての地上ユニットは、ステップロスの数、師団級か旅団級か否か、軍団級砲兵ユニット、6/ASCOであるか否かにかかわらず、1ユニットとして数える。

10.2 スタックによる移動
スタックしたユニットは単独のユニットと同様に移動することができる。地形によって受ける影響も、単独のユニットが受ける影響と同じである。

10.3 日本軍のスタックとスタック制限
日本軍ユニットは3ユニットまでスタックできる。スタックは異なる軍団に所属するユニットでも行うことができ、このようにしてスタックしたユニットは通常通り、移動、攻撃戦、防衛戦、退却、前進を行うことができる。
戦闘後の退却あるいは前進によって、日本軍ユニットが4個以上のスタックを余儀なくしなければならない場合、日本軍プレイヤーはスタック制限を越えるユニットを除去しなければならない。除去するユニットは日本軍プレイヤーが選択でき、除去されたユニットはゲームが終わるまで使用することはできない。

10.4 アメリカ軍のスタック
アメリカ軍ユニットは3ユニットまでスタックできる。ただし、軍団級砲兵ユニットは、この制限に拘束されず、1スタックあたり1ユニットまでスタックに加えることができる。すなわち、アメリカ軍の最大のスタック数は軍団級砲兵ユニットを加えた場合4ユニットである。軍団級砲兵ユニットは、1ヘックスに1ユニット以上置くことはできない。

10.5 アメリカ軍の軍団系統
異なる軍団に属するユニットをスタックすることは可能だが、その場合、アメリカ軍の「CP消費フェーズ」において、このスタックに含まれるすべてのユニットは1MFとなる。さらに、攻撃戦および防衛戦において、このスタックに含まれるすべてのユニットはOOSとして扱う。(空中補給および沿岸補給があってもOOSとなる。)

10.6 アメリカ軍予備役と6/ASCO
第6、7、11、96師団の予備役(RSV)ユニット、および6/ASCOユニットは、相互にスタックすることができ、あるいは他の軍団に属する地上ユニットとスタックすることが可能である。ただし、どのような場合でもルール10.4の適用を受ける。たとえば、2個の予備役ユニット、1個の6/ASCO、いずれかの軍団に属する1個の軍団級砲兵ユニットの計4個をスタックすることは可能であり、なおかつルール10.5のペナルティの適用は受けない。理由は、予備役ユニットと6/ASCOは「浮遊部隊」であり、これらの部隊は一時的にいずれかの軍団系統化に組み入れることができるからである。
また、ある軍団とスタックしていた予備役ユニットや6/ASCOが移動して、他の軍団とスタックしても軍団の所属は瞬時に変更されるのであり、いなかるペナルティを被ることはない。

10.7 スタックの制限を受けないユニット
すべての情報用マーカー、アメリカ軍の橋頭堡マーカー、航空攻撃、艦砲射撃マーカーは、スタック制限の対象とならない。

10.8 アメリカ軍のスタック制限
アメリカ軍プレイヤーがユニットを移動したり戦闘を行った後で、ルール10.410.510.6に違反するスタックを行った場合、アメリカ軍プレイヤーはスタック違反となるユニットを除去しなければならない。除去するユニットはアメリカ軍プレイヤーが選択でき、除去したユニットはゲームが終わるまで使用することはできない。


11.0 ZOCとヘックスの支配
11.1 総合

ZOCは、隣接するヘックスに対する当該ユニットの戦術的砲火力ならびに機動力を通じての戦闘力を抽象的に表したものである。
すべての地上ユニットは、隣接する6つのヘックスにZOCを持つ。ZOCは敵ユニットの移動(ルール11.5)、アメリカ軍の戦闘後の退却(ルール13.0)、アメリカ軍の補給路(ルール9.3)を妨害する。
11.7 ヘックスの支配」に示したように、ZOCがかならずしも勝利ポイントの算出における「ヘックスの支配」とならないことに注意する必要がある。

11.2 ZOCを持たないユニット
アメリカ軍6/ASCO、およびすべての橋頭堡マーカー、艦砲射撃、航空攻撃ユニットは、ZOCを持たない。他のすべての情報用マーカーも同様にZOCを持たない。しかし、これらのユニットがZOCを持つ他の種類の地上ユニットと同じヘックスに置かれていても、地上ユニットは通常のZOCを持つ。

11.3 ZOCの制限
海ヘックスサイドを越えてZOCを持つことはできない。たとえば、ヘックス2409にある地上ユニットはヘックス2410にZOCを持つことはできない。他のすべての地形は、ZOCを妨げない。OOS、沿岸補給、空中補給となった地上ユニットもまた通常通りZOCを持つ。
複数のユニットが同一ヘックスにZOCをおよぼしたとしても、そのヘックスにおけるZOCの効果に変化はない。スタックしたユニットが及ぼすZOCの効果は、単一のユニットが及ぼすZOCの効果と同一である。敵味方のそれぞれのユニットが、同一のヘックスにZOCを持つ場合、ZOCはそれぞれ有効である。

11.4 補給路に対する影響
アメリカ軍の補給路は、日本軍のZOCを通じて引くことができない。しかし、日本軍のZOCにアメリカ軍ユニットが置かれている場合、そのヘックスを通じて補給路を引くことができる。

11.5 移動に対する影響
移動の過程において、アメリカ軍、日本軍ともに、敵のZOCに自軍ユニットが入ったなら、入ったヘックスにおいて移動を停止しなければならない。移動を開始する時点で、既に敵ZOCに置かれていたユニットは通常の移動コストで敵ZOCから出ることができる。このようにして敵ZOCから脱出したユニットが、その移動の過程で新たな敵ZOCに入った場合、そのユニットは進入した敵ZOCヘックスにおいて移動を停止しなければならず、それ以上の移動はできない。従って、各地上ユニットは、移動開始時点で敵ZOCに置かれていたなら、敵ZOCから敵ZOCへ直接移動することができるが、その時点で移動を終了しなければならない。
他の自軍ユニットが敵ZOCに置かれていても、それによって敵ZOCが無効になることはない。

11.6 戦闘後の撤退に対する影響
戦闘後の退却を行う時、敵ZOCに移動することはできない。しかし、退却するヘックスに他の自軍ユニットが置かれている場合、そのヘックスにおける敵ZOCは無効になり、そのヘックスに退却することができる。(ルール13.10) 敵ZOCは、戦闘後の前進に対してはいかなる効果も及ぼさない。

11.7 ヘックスの支配
それぞれのヘックスが自軍ユニットのZOC下にある場合、あるいはそのヘックスに自軍ユニットが存在する場合、それらのヘックスは自軍の「支配」下にある。支配の状態は勝利ポイントの算出に用いられる。
ただし、そのヘックスに自軍ユニットが存在せず単に自軍ZOC下にあるだけの場合で、なおかつ次のいずれかの状態にある時、支配したとはみなされない。1) 同時に敵ユニットのZOCである時。2) 敵ユニットがそのヘックスに存在する時。
以前に敵のユニットが置かれ、あるいは敵ZOCにあったヘックスでも、現在敵ユニットがなく、なおかつ敵ZOCでもなく、そのヘックスが現在自軍のZOC下にあるなら、そのヘックスは自軍の支配にある。
たとえば、霧島山(ヘックス3013)に日本軍ユニットがなく、なおかつそのヘックスが日本軍ZOCにないなら、アメリカ軍は3013に隣接するヘックスに地上ユニットを進めることで3013を支配することができる。しかし、もし日本軍ユニットが3013に隣接するヘックスに存在するなら、両軍のZOCが3013に重複して存在する結果になり、アメリカ軍は3013を支配できない。この場合、アメリカ軍ユニットを3013に移動すれば、アメリカ軍は3013を支配できる。あるいは、3013に隣接する日本軍ユニットが何らかの理由で3013に隣接しないヘックスに移動すればよい。
アメリカ軍橋頭堡マーカーを除去するには、日本軍ユニットは橋頭堡マーカーの存在するヘックスに進入すればよい。橋頭堡マーカーは日本軍ユニットがそのヘックスに入った時点で除去される。日本軍は通常の移動の方法で進入してもよいし、戦闘後の前進によって進入してもよい。


12.0 移動
12.1 移動ポイント (MF)

基本的に、各ユニットおよびスタック(以下、両方を称して「ユニット」とする)が1ヘックス移動するごとに1MFを消費する。日本軍の移動はヘックスの地形の影響を受けないが、アメリカ軍ユニットは地形の影響を受ける。
移動を行う場合、各ユニット(あるいはスタック)ごとに、「CP消費・フェーズ」において1CPを消費しなければならない。
ユニットのMFがステップロスによって変化することはない。2ステップロスのユニットがステップロスを被り1ステップになっても、そのユニットのMFは同じである。
移動に際して、各ユニットは、そのユニットが使用できるMFをすべて使う必要はないが、使用しなかったMFを次のターンで使用したり、他のユニットにMFを与えることはできない。

12.2 日本軍の歩兵、戦車ユニットのMF
沿岸配備師団ユニットを除くすべての日本軍ユニットは3MFを持つ。日本軍ユニットは移動に際してヘックスの地形および川ヘックスサイドの影響を受けない。日本軍ユニットのMFは、カミカゼ攻撃の結果によって最大6MFまで増える場合がある。(ルール6.5)

12.3 日本軍の沿岸配備師団ユニットのMF
3個の沿岸配備師団ユニット(第154、156、206師団)は0MFであり、ゲーム初期配置の位置から動くことができない。これらのユニットは除去によってマップから取り除かれるだけである。カミカゼ攻撃によって日本軍プレイヤーのMFが増加してもこれらのユニットは0MFである。

12.4 アメリカ軍のMF
橋頭堡マーカーと6/ACSOを除くすべてのアメリカ軍地上ユニットは、補給下にある場合8MFを持つ。移動に際して、アメリカ軍ユニットは地形および川ヘックスサイドの影響を受ける。それぞれの地形効果はマップに印刷された地形効果表を参照のこと。原則的に、橋頭堡マーカーと6/ACSOユニットを除くすべてのアメリカ軍地上ユニットは、「Clear」ヘックスを移動する時は1MFを消費し、それ以外のヘックスを移動する時は2MFを消費する。川ヘックスサイドを横断する場合はさらに1MFを消費する。OSSと判定されたすべてのアメリカ軍地上ユニットは、移動力が1MFとなる。(ルール9.5)

12.5 橋頭堡マーカー、6/ACSO、艦砲射撃、航空攻撃ユニットのMF
橋頭堡マーカーと6/ACSOは移動できないユニットである。これらのユニットは除去によってマップから取り除かれるだけである。
艦砲射撃、航空攻撃ユニットは無限のMFを持ち、ルール14.5および14.6の適用を受ける。

12.6 一般的な移動の制限
一般的に、各ユニットは移動によって相手方プレイヤーのユニットが占めるヘックスに進入することはできない。ただし唯一の例外があり、それは日本軍プレイヤーのユニットが、橋頭堡マーカーもしくは6/ACSOしか存在しないヘックスに進入できることである。この例外による移動を行った場合、日本軍ユニットが進行したヘックスに存在する橋頭堡マーカーもしくは6/ACSOは直ちに除去される。そして日本軍ユニットに残存のMFがある場合、それらのユニットは、橋頭堡マーカーもしくは6/ACSOを除去した後に、移動を通常の方法で継続することができる。
地上ユニットは海ヘックスサイドを横断することができない。(ただしアメリカ軍ユニットが増援もしくは補充によって橋頭堡マーカーに登場する場合はこの限りではない。) たとえば、地上ユニットがヘックス2409から2410に移動することはできない。

12.7 アメリカ軍ユニットが1MFになる場合
OOSと判定されたユニット(ルール9.5)および異なる軍団とスタックしたユニット(ルール10.5)は1MFとなる。これらの理由で1MFになったユニットは、日本軍の移動ルールと同じ規定(ルール12.2)で移動を行う。すなわち、地形に関わらず1ヘックス移動することができ、川ヘックスサイドの効果は無視される。(しかし、海ヘックスサイドを越えて移動することはできない。)

12.8 スタック移動の注意
スタックしたユニットが移動する時、ルール12.412.5の違反をふせぐために、ユニットをスタックしたまま移動するのではなく、個別に移動することを勧める。この場合でも、1つのユニットの移動が完了してから次のユニットの移動を行うべきである。相手プレイヤーが同意しない限り、いったん移動を終えたユニットの移動をキャンセルしたり、違う場所に置きなおすことはできない。


13.0 戦闘
13.1 シークエンス

戦闘はMAYアタックであり、どのような場合でも強制されることはない。戦闘は、各プレイヤーの「CP消費・フェーズ」に2CPを消費して行う。攻撃側の戦闘単位は、ひとつのユニット、もしくはひとつのスタックである。戦闘は、隣接するひとつのヘックス内のすべての敵ユニットに対して行う。陸上ユニットは海ヘックスサイドを挟んで攻撃することはできない。
スタックで攻撃を行う場合、スタックの中のすべてのユニットが攻撃に加わる必要はない。攻撃側プレイヤーは、攻撃に先立ち、スタックの中の任意のユニットを攻撃から除外することができる。

13.2 日本軍による攻撃
1. 展開

日本軍プレイヤーは、攻撃を行うユニット(あるいはスタック。以下「ユニット」と総称する)を、マップの「Battle Board」に移動し、それらのユニットが置かれていたヘックスに「Attacker Hex」マーカーを置く。
アメリカ軍プレイヤーも同様に防御ユニットを「Battle Board」に移動し、そのヘックスに「Defender Hex」マーカーを置く。アメリカ軍プレイヤー(防御側)は、攻撃を受けたヘックスに存在するすべての自軍ユニットを「Battle Board」に移動しなければならない。
「Battle Board」に配置する時、中央の赤い点線に隣接する三つのボックスに、それぞれの軍の師団/旅団ニットを置き、アメリカ軍に軍団級砲兵ユニット、航空、艦砲ユニットがある場合は、それらをやや後方のボックスにそれぞれ置く。攻撃側、防御側のユニットの構成によっては、すべてのボックスが埋まるとは限らない。

2. アメリカ軍の防御射撃/砲爆撃
「Battle Board」に置かれたすべてのアメリカ軍ユニット(師団、旅団、軍団級砲兵ユニット、航空、艦砲ユニットを含む)は、日本軍の師団/旅団ユニットに防御射撃/砲爆撃を試みる。1ユニットごとに10面ダイスを振り、戦闘結果は直ちに適用される。
航空攻撃ユニットが「Battle Board」に存在する場合、すべてのアメリカ軍師団/旅団ユニット(軍団級砲兵ユニットは対象外)は+1のダイスの目の修正を得る。艦砲射撃マーカーが「Battle Board」に存在する場合、すべてのアメリカ軍師団/旅団ユニット(軍団級砲兵ユニットは対象外)は+2の修正を得る。これらの修正は相互に有効であり、両方の修正を同時に適用することができる。(従って最大+3のダイスの目の修正が可能である。)

3. 日本軍の攻撃
「2. アメリカ軍防御射撃/砲爆撃」の攻撃後、生き残った日本軍ユニットは、「13.4 戦闘の方法」のステップに従い、アメリカ軍師団/旅団、もしくは軍団級砲兵ユニットを攻撃する。(軍団級砲兵ユニットを攻撃できるのは、それが唯一のアメリカ軍側地上ユニットである場合のみである。)

4. アメリカ軍の撤退宣言
この時、アメリカ軍は戦闘に参加しているユニットに対して撤退を宣言することができる。撤退宣言を行った場合、アメリカ軍は「3. 日本軍の攻撃」で被った損害から1ステップを減ずることができる。損害が0である場合、アメリカ軍プレイヤーは撤退を宣言することはできない。(「13.10 戦闘後の撤退」参照)

5. マップへの再配置
両プレイヤーは戦闘後に残ったユニットをマップに再配置する。戦闘の結果減退したステップロスがある場合、そのステップロスがそのままマップ上のユニットに反映されるよう注意する。艦砲射撃、航空攻撃ユニットは、一時的にマップの外に置く。

6. アメリカ軍の戦闘後撤退
アメリカ軍プレイヤーが「4. アメリカ軍の撤退宣言」において撤退を宣言していた場合、生き残ったすべてのアメリカ軍ユニットは撤退しなければならない。(ルール13.10)

7. 日本軍の戦闘後前進
アメリカ軍ユニットがすべて除去されるか、あるいは戦闘後撤退を行った場合、日本軍プレイヤーは戦闘後生き残ったユニットのすべて、あるいは一部を、アメリカ軍ユニットが存在していたヘックスに進めることができる。(ルール13.9)

13.3 アメリカ軍による攻撃
1. 展開

アメリカ軍プレイヤーは、攻撃を行うユニット(あるいはスタック。以下「ユニット」と総称する)を、マップの「Battle Board」に移動し、ユニットが置かれていたヘックスに「Attacker Hex」マーカーを置く。
日本軍プレイヤーも同様に防御ユニットを「Battle Board」に移動し、そのヘックスに「Defender Hex」マーカーを置く。日本軍プレイヤー(防御側)は、攻撃を受けたヘックスに存在するすべての自軍ユニットを「Battle Board」に移動しなければならない。
「Battle Board」に配置する時、中央の赤い点線に隣接する三つのボックスに、それぞれの軍の師団/旅団ニットを置き、アメリカ軍に軍団級砲兵ユニット、航空、艦砲ユニットがある場合は、それらをやや後方のボックスにそれぞれ置く。攻撃側、防御側のユニットの構成によっては、すべてのボックスが埋まるとは限らない。

2. アメリカ軍の準備砲爆撃
アメリカ軍のユニットの中に軍団級砲兵ユニット(砲兵)が存在する場合、アメリカ軍は準備砲爆撃を行なうことができる。アメリカ軍プレイヤーは、「Battle Board」上のいずれかの日本軍ユニット(ひとつ)を示し、そのユニットに対して、「13.4 戦闘の方法」に従った攻撃を1回行なう。「Attacker Hex」と「Defender Hex」との間に川ヘックスサイドがあっても、準備砲爆撃は何ら修正を受けることはない。アメリカ軍の艦砲射撃、航空攻撃ユニットは準備砲爆撃に何ら寄与するものではない。

3. 日本軍の防御射撃/砲爆撃
アメリカ軍の準備砲爆撃後に生き残った日本軍ユニットは、、「13.4 戦闘の方法」に従い、アメリカ軍に防御射撃/砲爆撃を行なう。日本軍が攻撃できるユニットはアメリカ軍の師団/旅団ユニットであり、軍団級砲兵ユニットに対して攻撃を行なうことはできない。戦闘結果は直ちに適用される。

4. アメリカ軍の攻撃中止宣言
「3. 日本軍の防御射撃/砲爆撃」において、アメリカ軍が1以上のステップロスを被った場合、アメリカ軍は攻撃中止を宣言することができる。攻撃中止宣言を行った場合、アメリカ軍はその時に被った損害から1ステップを減ずることができ、双方の「Battle Board」上のユニットはもとあったヘックスに戻される。損害が0である場合、アメリカ軍プレイヤーは攻撃中止を宣言することができない。

5. アメリカ軍の攻撃
攻撃中止を行なわなかった場合、生き残ったアメリカ軍ユニットは、「13.4 戦闘の方法」のステップに従い、日本軍師団/旅団を攻撃する。艦砲射撃マーカーが攻撃に参加している場合、すべてのアメリカ軍の攻撃は+1の修正を得る。航空攻撃ユニットが攻撃に参加している場合、すべてのアメリカ軍ユニットの攻撃は+1〜+2の修正を得る。これらの修正は相互に有効であり、両方の修正値を加算して適用することができる。

6. マップへの再配置
両プレイヤーは戦闘後に残ったユニットをマップに再配置する。戦闘の結果減退したステップロスがある場合、そのステップロスがそのままマップ上のユニットに反映されるよう注意する。艦砲射撃、航空攻撃ユニットは、一時的にマップの外に置く。

7. 戦闘後前進
日本軍ユニットがすべて除去された場合、アメリカ軍プレイヤーは戦闘後生き残ったユニットのすべて、あるいは一部を、日本軍ユニットが置かれていたヘックスに進めることができる。(ルール13.9)
(訳注: 「13.10 戦闘後の撤退」によればアメリカ軍は「13.3 アメリカ軍による攻撃」においても撤退が可能であるが、原文にはそれがどの時点でできるか書いていない。おそらく「4. アメリカ軍の攻撃中止宣言」が「13.10 戦闘後の撤退」を適用する場面と思われる。すなわち、攻撃中止と撤退は、ゲームでは同じ意味なのである。)

13.4 戦闘の方法
攻撃側の地上ユニットが2ステップを持つ場合、そのユニットは1回の攻撃の中で2度ダイスを振ることができる。(この二度目の攻撃を「二次攻撃」とする。) 1ステップしか持たない地上ユニットは、1回の攻撃の中で1度だけダイスを振ることができる。
戦闘は次のステップで行う。

  1. ユニットの宣言
    攻撃側プレイヤーは、自軍のどのユニット(ひとつ)が相手側のどのユニット(ひとつ)を攻撃するかを宣言する。
  2. 戦闘判定
    宣言をしたなら、攻撃側プレイヤーは10面ダイスを1個振り、その数字を攻撃ユニットとして宣言したユニットの戦闘力と比較する。出た目が攻撃ユニットの戦闘力と等しいかそれ以下である場合、攻撃は成功する。出た目が戦闘力より大きい場合、攻撃は失敗となる。
    ただし、OOS (補給なし) と判定された軍団級砲兵ユニットは、日本軍ユニットを攻撃することができず、日本軍ユニットから攻撃された場合、防衛戦をすることもできない。OOSの師団級ユニットは、攻撃戦のダイスの目においてマイナス2の修正を受け、 防御戦のダイスの目においてマイナス1の修正を受ける。(ルール9.5)
  3. 戦闘結果の適用
    攻撃が成功した場合、相手側のユニットは1ステップロスを直ちに被る。すなわち、相手側ユニットが2ステップである場合、そのユニットを裏返し1ステップを表示する。既に相手側ユニットが1ステップであったり、もともと1ステップしか持っていないユニットである場合、そのユニットは除去される。除去したユニットはマップの外に置く。
  4. 二次攻撃
    攻撃側が2ステップを持つユニットである場合、もう一回このプロセスを繰り返す。二次攻撃の場合、最初に攻撃した敵ユニットと異なる敵ユニットを攻撃してもよい。すなわち攻撃相手の敵ユニットを指定し、10面ダイスを振り、戦闘の判定ならびに戦闘結果の適用を直ちに行なう。二次攻撃はプレイヤーの選択によって行わなくともよい。

どの敵ユニットを攻撃するかは、それが「Battle Board」上にある限り、自由に選択してよい。(ただし重要な例外ルール13.6)
攻撃を行うユニットが複数存在する場合、すべての攻撃の組み合わせを事前に相手側プレイヤーに宣言する必要はない。すなわち、ひとつのユニットの戦闘結果が出た後、次のユニットがどの相手側ユニットを攻撃するかを決定すればよい。ただし、どのような場合でもダイスを振る前に、どのユニットがどのユニットを攻撃するかを宣言しなければならない。
アメリカ軍 ユニットがOOSにある時、あるいは空中補給にある時、あるいは沿岸補給にある時、1ステップロスを被る度に1勝利ポイントを失う。 (ルール4.11)

13.5 勝負は1ラウンド
それぞれの勝負は1ラウンドであり、ダイスを1回振ったなら、戦闘結果は直ちに適用される。他のウォーゲームの類似システムのように「ラウンド」が繰り返されることはない。(ルール7.87.9の「連続攻撃」参照)

13.6 アメリカ軍軍団級砲兵ユニット
日本軍プレイヤーは、「Battle Board」上のアメリカ軍の軍団級砲兵ユニットを攻撃対象に選ぶことはできない。ただし、「Battle Board」に、アメリカ軍の師団/旅団ユニットがまったく存在しない場合、日本軍はアメリカ軍軍団級砲兵ユニットを攻撃することができる。
あるいは当初はアメリカ軍の師団/旅団ユニットが「Battle Board」上に存在したが、戦闘の結果すべてのアメリカ軍の師団/旅団ユニットが除去され、結果的に「Battle Board」上にアメリカ軍軍団級砲兵ユニットしか存在しなくなった場合もまた、日本軍はアメリカ軍軍団級砲兵ユニットを攻撃できる。しかし、アメリカ軍師団/旅団ユニットが攻撃の結果1ステップでも残っている場合、日本軍はアメリカ軍軍団級砲兵ユニットを攻撃することはできない。
アメリカ軍の軍団級砲兵ユニットは、そのユニット単体では、いかなる自発的な攻撃もできない。アメリカ軍プレイヤーが攻撃コマンドを実施する場合、少なくとも1個の師団/旅団ユニットがそのヘックスに存在しなければならない。

13.7 橋頭堡マーカー、6/ASCO
橋頭堡マーカー、もしくは6/ASCOが存在するヘックスが攻撃を受けた場合、アメリカ軍プレイヤーはこれらのユニットを「Battle Board」に置くことはできない。これらのユニットは、同じヘックスにある(「Battle Board」に移動した)アメリカ軍師団/旅団ユニットのすべてが除去された場合、自動的に除去される。戦闘の結果、1ユニットでもアメリカ軍師団/旅団ユニットが「Battle Board」に残った場合、同じヘックスにあった橋頭堡マーカー、もしくは6/ASCOは無傷で残る。

13.8 沿岸配備師団
日本軍の沿岸配備師団は、他の日本軍師団/旅団と同じ方法で攻撃を行なうことができる。ただし、戦闘後前進はできない。

13.9 戦闘後の前進
戦闘後の前進は、アメリカ軍および日本軍の双方が行なうことができる。
戦闘後の前進は、攻撃側ユニットだけが行なう。防御側ユニットはいかなる場合であっても戦闘後の前進はできない。
戦闘後の前進ではいかなるCP、MFも消費しない。(ルール13.213.3の7) 戦闘後に前進できるヘックスは1ヘックスであり、防御側の敵ユニットが占めていたヘックスに対して行なう。
戦闘後の前進は任意であり、攻撃側はかならずしも戦闘後の前進を行う必要はない。攻撃側は、攻撃に参加したすべてのユニットを前進させてもよいし、ユニットの一部のみを前進させてもよい。しかし、戦闘後前進の結果がスタック制限を越えるような移動はできない。敵ユニットのZOCは、戦闘後の前進を妨げるものではない。

13.10 戦闘後の撤退
戦闘後の撤退は、アメリカ軍だけが行なうことができる。戦闘後の撤退によって、アメリカ軍は戦闘結果によるステップロスを1減ずることができる。
アメリカ軍が攻撃側である時に撤退を宣言した場合、その攻撃はそこで中止となり、攻撃に参加している他の師団/旅団はそれ以上日本軍を攻撃することができない。そして攻撃に参加したすべてのアメリカ軍ユニットは、「Attacker Hex」マーカーが置かれたヘックスに戻される。
アメリカ軍が防衛側である時に撤退を宣言した場合、攻撃に参加しているすべての師団/旅団はマップに戻され、「Defender hex」マーカーに隣接するヘックスに、次の条件に基づいて置かれる。(「Defender hex」マーカーが置かれたヘックスは空にしなければならない。)

  1. 撤退するユニットは、海ヘックスサイドを越えることはできない。
  2. 撤退するユニットは相手側ユニットのZOCに入ることはできない。ただし、戦闘に参加していない自軍ユニットが日本軍ユニットのZOCに置かれている場合、そのヘックスのZOCは無効となり、この場合、そのヘックスに撤退することができる。
  3. 撤退するユニットはスタック制限を越える結果となるヘックスに撤退できない。
  4. もし、「Attacker Hex」に隣接するヘックスに空のヘックスがあり、なおかつそのヘックスが日本軍ユニットのZOCでない場合、アメリカ軍プレイヤーは、仮にスタックの制限の範囲内であったとしても、アメリカ軍ユニットが占めるヘックスに撤退することはできない。
  5. スタックされているアメリカ軍ユニットが撤退する場合、原則的にスタックしたまま撤退を行なう。ただしこれまで述べた制限に抵触する場合のみ、スタックを分解して複数のヘックスにユニットを撤退させることができる。
  6. いずれの場合でも、スタックもしくはユニットが撤退できるヘックス数は1ヘックスであり、隣接するヘックスに対してのみ行なわれる。
  7. 撤退時にこれらの条件を満たすことのできないユニットは除去される。
  8. 戦闘後の撤退において、いかなるCPもMFも消費しない。
  9. 撤退した後のスタックもくはユニットが、その新たに移動したヘックスにおいて、さらなる攻撃に見舞われた場合、そのスタックないしユニットは通常通り防衛戦を行なう。このプロセスは二度でも三度でも、何回でも繰り返される。
  10. 撤退する時の攻撃に関わった艦砲射撃、航空攻撃ユニットは、マップから除去する。これらのユニットは次のターンまで使用できない。
  11. 撤退に際して、アメリカ軍プレイヤーは戦闘に関わった一部のユニットだけ撤退させ、一部を残すことはできない。撤退する場合はすべてのユニットを撤退させなければならない。移動力0の橋頭堡マーカーと6/ASCO(ルール12.5)は、撤退せずに当初のヘックスに止まる。これらのユニットは、たとえば日本軍の戦闘後の前進などによって除去される。(ルール13.9)

13.11 日本軍の撤退
日本軍は撤退することができない。

13.12 追加の攻撃成功
日本軍側がすべての戦闘結果のためのダイスを振り終わらないうちに、戦闘に参加したアメリカ軍ユニットのすべてが除去された場合、日本軍はいずれかの除去したアメリカ軍ユニットを仮想敵として最後までダイスを振り続け、「追加の攻撃成功」を獲得することができる。「追加の攻撃成功」を獲得した場合、アメリカ軍プレイヤーは撤退を宣言することができない。したがってアメリカ軍プレイヤーは撤退によって1ステップロスを回復することができない。この「追加の攻撃成功」は、圧倒的に優勢な火力によって退却が不可能になる状況を表す。


14.0 戦闘力の修正
14.1 総合

ユニットに印刷された戦闘力は、地形、艦砲射撃、航空攻撃、補給の有無、によって修正を受ける。これらの修正はどのような場合でも相互に累積的である。たとえば、OOSとなったアメリカ軍の師団ユニットが川ヘックスサイドを越えて日本軍を攻撃する場合、師団ユニットの戦闘力は、川ヘックスサイドによって-1、OOSによって-2の修正を受けるので、結果的に-3の修正となる。
修正の結果、戦闘力が0マイナスになる場合がある。このような場合でも「Battle Board」に置いたユニットは敵の防衛戦を受けなければならない。

14.2 地形
戦闘力はヘックスの地形およびヘックスサイドの地形によって修正を受ける。それぞれの修正値はマップの地形効果表を参照すること。防衛戦における戦闘力はこれらの地形の影響を受けない。
アメリカ軍軍団級砲兵ユニットは、川ヘックスサイドの影響を受けない。

14.3 アメリカ軍の攻撃において変化する修正値
アメリカ軍が攻撃側である場合に限り、地形効果表に記載された通り、6種類の地形の修正値はダイスの目によって変化する。ダイスはアメリカ軍による戦闘毎に一回振る。(訳注: "each time US units attack"という原文から、それぞれの防御射撃/砲爆撃や攻撃戦、防御戦ごとではなく、双方のユニットを「Battle board」に移動した時に一度だけ振って決定するものと思われる。)
この変化は、アメリカ軍による化学攻撃の結果の不確実性を表している。(アメリカ軍は本作戦において相当量の化学兵器を用意しており、修正値が変化する6種類の地形は、化学兵器の使用が予定されていた地形である。)

14.4 アメリカ軍の補給
アメリカ軍の攻撃戦および防衛戦における補給の影響は、ルール9.59.69.7を参照。

14.5 アメリカ軍の航空攻撃支援
アメリカ軍プレイヤーが利用できる航空攻撃ユニットはイギリス軍のものを含めて最大5個である。(イギリス軍ユニットの使用についてはルール6.0)
アメリカ軍の地上ユニットが攻撃を行なう場合、あるいは攻撃を受けた場合、アメリカ軍プレイヤーはその戦闘に航空攻撃ユニットを参加させるかどうか決定しなければならない。航空攻撃ユニットが参加した戦闘において、アメリカ軍プレイヤーのすべての師団/旅団ユニットは、それが攻撃戦であるか防衛戦であるかに関わらず、+1の戦闘力修正を受ける。
各航空攻撃ユニットは、1ターンにおいて1回のみ使用できる。
アメリカ軍が攻撃側である「連続攻撃」(ルール7.8)において、ひとつの航空攻撃ユニットは、いずれかひとつの攻撃しか支援できない。すなわち、連続攻撃において、攻撃側の地上ユニット(あるいはスタック。以下「ユニット」とする)が占めるヘックスは複数発生するが、航空攻撃ユニットが支援できるヘックスはそのうちのひとつだけである。この支援対象のヘックスは連続攻撃前に決定する必要はなく、連続攻撃を行ないながら、必要と思った時点で支援を行なうヘックスを決定し宣言、支援を行使すればよい。(そして、もちろん、ひとたびあるヘックスに対して支援を行なったなら、それ以外のヘックスにあったユニットを支援することはできない。)
日本軍がアメリカ軍に連続攻撃を行なった場合、ひとつの航空攻撃ユニットが支援できるヘックスは攻撃を受けたアメリカ軍ユニットが占めるヘックス(ひとつ)である。複数のヘックスから行なわれる日本軍の攻撃に対し、アメリカ軍プレイヤーは、どのヘックスからの攻撃に対して支援をするかを決定しなければならない。この支援対象のヘックスは連続攻撃を受けた時点で決定する必要はなく、連続攻撃を受けながら、必要と思った時点で支援を行なう戦闘を決定し宣言、支援を行使すればよい。(そして、もちろん、ひとたびある戦闘に対して支援を行なったなら、それ以外の戦闘を支援することはできない。)
これらの条件を満たす限り、航空攻撃ユニットはマップ上のどのヘックスでも支援でき、いかなる方法でも日本軍からの攻撃を受けることはない。

14.6 アメリカ軍の艦砲射撃支援
ルールは14.5とまったく同じである。ただし、艦砲射撃支援を受けることのできるアメリカ軍地上ユニット(あるいはスタック)は、沿岸ヘックス、もしくは沿岸ヘックスに隣接するヘックスでなければならない。沿岸ヘックスに存在する地上ユニットは+2の戦闘力修正を受ける。沿岸ヘックスに隣接するヘックスに存在する地上ユニットは+1の戦闘力修正を受ける。それ以外のヘックスにおいて艦砲射撃支援を受けることはできない。
各艦砲射撃マーカーは、1ターンにおいて1回のみ使用できる。
これらの条件を満たす限り、航艦砲射撃マーカーは、「A. アメリカ/イギリス海軍展開フェーズ」の「2. 機動グループの海岸部への展開」で配置された沿岸ゾーン内のどの沿岸ヘックス、およびそれに隣接するヘックスでも支援でき、いかなる方法でも日本軍からの攻撃を受けることはない。


15.0 オプションルール
15.1 総合

プレイヤーは、以下のオプションルールのいずれかあるいは複数を採用することで、オリンピック作戦の他の可能性を探ることができる。

15.2 原子爆弾の不使用
「DF」は、広島と長崎に原子爆弾を投下したにもかかわらず日本が降伏しなかったため、オリンピック作戦が行なわれたことを前提としている。原子爆弾を嫌悪するプレイヤーは、原子爆弾に関するルールをすべて除外してプレイすることができる。その場合、本ゲームにおけるオリンピック作戦の前提は、アメリカ軍が原子爆弾を使用しなかったために九州上陸作戦を行なったことになるか、あるいはアメリカ軍が原子爆弾を開発できなかったから、となる。

15.3 日本軍第56軍の早期配置
歴史的に、日本はおどろくほど正確にアメリカ軍の最初の本土上陸が九州であることを予見していた。であるなら、日本軍が同じように上陸作戦が直ちに行なわれることを予見していたとしても不思議ではない。そのような場合、最初のアメリカ軍が上陸を行なう以前から第56軍は九州に移動していたであろう。この可能性をシミュレートするために、第56軍の投入のためのダイスをX + 10日からではなくX + 1日から行う。

15.4 マジック作戦と第36軍
ノルマンジー上陸作戦において、連合軍の暗号解読プロジェクト「ウルトラ作戦」が大きな役割を果たしたが完璧ではなかったように、日本軍に対する暗号解読「マジック作戦」も大きな成果をあげながら完全ではなかった。1945年の夏の後半に日本軍第36軍が東京から九州に再配置した時も、完全に配置地域が判明していたわけではなかったのである。
この可能性をシミュレートするために、ゲーム開始に先立ち、日本軍プレイヤーは6面ダイスを1個振り、出た目の数を2で割り(1.5などの場合は2とする)、このようにして出た1〜3の数値の数だけ日本軍プレイヤーは第36軍のユニットをルールで指定したヘックスではなく、アメリカ軍地上ユニットの存在しないヘックスに置く。このヘックスは沿岸ヘックスでもよい。そして普通通りゲームを開始する。

15.5 10面ダイスの代わりに6面ダイスを使う
10面ダイスがなく、チットも使用したくない場合、6面ダイス2個とルールブック本文R16の表を使って10面ダイスの代用とすることができる。すなわち、6面ダイスを2個振り、その結果をR16の表で照合するのである。「First Die Roll」と「Second die Roll」の順番は重要なので、同時に2個のダイスを振る場合は色の異なるダイスを使用して、いずれが「First Die Roll」であるかを明確にする必要がある。

15.6 第11歩兵師団の降下
ゲームの開始時、アメリカ軍プレイヤーは、第11歩兵師団をX + 22日、もしくはそれ以降のターンから、通常の歩兵師団として登場させるか空挺師団として降下させるか選択することができる。

計画:
アメリカ軍プレイヤーはゲーム開始前に、第11師団を通常の歩兵師団として使用するか空挺師団として使用するかを紙に記録し、実際にその師団がマップに登場するまで日本軍プレイヤーに見えないよう伏せておく。この決定は、ターンがX + 22日になったなら変更することができない。しかし、第11師団(歩兵か空挺かいずれかの形)がマップに登場する日を変更することはX + 22日以降でもできる。

第11歩兵師団を空挺部隊として使用する場合、アメリカ軍プレイヤーは、日本軍プレイヤーに対して秘密裏に、第11歩兵師団を降下させるターンと、降下させるヘックス(ひとつ)を紙に記さなければならない。この記録は、実際に降下させるターンより少なくとも4ターン前でなければならない。もっとも早く降下できるターンはX + 22日であるから、このターンに第11歩兵師団を降下させるのであれば、X + 18日、もしくはX + 18日より以前のターンにこの計画を紙に書かなければならない。降下できるヘックスは、「Clear」もしくは「Town」である。「Fortification」、「City」ヘックスに降下させることはできない。
降下するターンが来た場合、アメリカ軍プレイヤーは、降下をキャンセルしたり延期することができるが、もしそのターンに降下させるならば、降下は紙に記載したヘックスに行なわなければならない。降下を延期する場合、新たな降下ターンは4ターン以上先でなければならない。(現在のターンに4を加えた数字が、直近で可能な降下ターンである。)

降下のプロセス:
降下は、紙に記載したターンの「D. CP消費・フェーズ」に、2CPを消費して行う。降下ヘックスには第11歩兵師団ユニットと空中補給マーカーを同時に置く。2CPの内訳は、1CPが降下、1CPが空中補給マーカーである。
降下をキャンセルした場合、いかなるCPも消費しない。
第11歩兵師団は、日本軍ユニットが存在するヘックスに降下することはできない。しかしながら、降下を計画する段階で、日本軍ユニットが存在するヘックスを降下ヘックスとすることは可能である。(降下を行うターンまでにその日本軍ユニットを撤退もしくは除去できなった場合、降下はできない。)
降下を行うヘックスが日本軍ユニットのZOCである場合、アメリカ軍プレイヤーは10面ダイスを振り、1〜5である場合、第11歩兵師団は1ステップロスを被り降下に成功する。6〜9の場合、いかなる損害もなく降下に成功する。10の場合、第11歩兵師団は除去される。ZOCが複数の日本軍ユニットによって作られていても、ダイスの目に修正はない。
降下した第11歩兵師団は、そのターン中、補給下にあるものとみなされる。しかし、降下したターンで第11歩兵師団は移動することも戦闘を開始することもできない。

降下後:
降下を行ったターンの次回ターンから(X + 22日に降下したなら、X + 23日から)、第11歩兵師団は通常の歩兵ユニットと同様に扱う。(しかし、第11歩兵師団ユニットとユニットを交換することはしない) すなわち、空中補給を受けたターンは補給下にあり、受けなかったターンはOOSと判定される。第11歩兵師団は、1ターンに1回の降下しかできない。
これらの条件を満たすのであれば、第11歩兵師団は第9軍団の上陸地点と同じヘックスに降下できる。

15.7 原子爆弾の使用数
X - Dayまでに、アメリカが9発の原子爆弾を開発できたか否かについては、歴史的議論の対象である。この不確実性をシミュレートするために、ゲーム開始前に日本軍プレイヤーに見えないように6面ダイスを1個振り、コーヒーカップかティーカフップをかぶせてダイスの目が見えないようにしておく。このダイスの目に3を加えた数が、そのゲームにおいてアメリカ軍プレイヤーが使用できる原子爆弾の数である。(4〜9の数字) 日本軍プレイヤーはゲーム終了までこのダイスを見ることはできず、ゲーム終了後に確認のためにダイスを見ることができる。


 

ゲーム・サマリー
タイトル Downfall
デザイナー Ty Bomba
メーカー Decision Games
発売  2005年
価格 22ドル

ゲームシークエンス 独自
戦闘発生  隣接する敵ユニット
攻撃発生 メイアタック (例外なし)
ZOC
味方ユニットとのスタック 3枚まで
敵ユニットのヘックスへの進入 不可 (例外あり)
イニシアチブ ×
戦闘結果 独自(ステップロスあり)
砲爆撃支援
航空支援
航空戦 ×
水上戦 ×
補給ルール
コマンド・コントロール ×
気象ルール ×
増援ルール
勝利条件 勝利ポイント

ユニットスケール 旅団/師団、5,000〜20,000名
ターンスケール  1ターン1日
マップスケール 1ヘックス4.4マイル(7km)
シナリオ数 0
ユニット数

65

マーカー数 23
マップ フルマップ一枚
別紙チャート あり
英文ページ数 16ページ
類似ルール Victory in Normandy